【市場総括】
2023年8月2日の東京株式市場は反落しました。終値は前営業日比768円89銭(2.30%)安の3万2707円69銭。米国の格下げが大きく影響して下落しました。ナスダックが下落したことを受け、売りが先行してスタート、長期金利の上昇も懸念材料、フィッチ・レーティングスが米国格付けの引き下げとのニュースが伝わり、下げ幅は2013年最大に達しました。
本日も最後までしっかりお読みください。
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【米国市場の動向】
米国市場は続伸と反落でまちまちな動きとなりました。ダウ工業株30種平均は続伸して、前営業日比71ドル15セント(0.2%)高の3万5630ドル68セント、ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落して、前営業日比62.111ポイント(0.4%)安の1万4283.913、S&P500種株価指数も反落して前日比-12.23(-0.26%)高の4,576.73で取引を終えました。
好決算が好感され、ダウは上昇しましたが、金利動向が投資家心理を抑えて上昇幅は限定的でした。朝方はキャタピラーのEPSが市場予想を上回り、指数を持ち上げました。寄与度は150ドルで、9%高まで伸びました。
一方、4%を挟んで推移していた長期金利が再び上昇に転じ、4.05%まで伸びました。金利の影響を受けやすいナスダックの銘柄が売られ、指数も下落。また、連日の高値更新で利益確定のタイミングが出やすかったことで、S&P500種株価指数は反落しました。
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【日本市場の動向】
日本市場は米国の格下げが大きく影響して下落しました。米国市場でナスダックが下落したことを受け、売りが先行してスタート、長期金利の上昇も懸念材料として動きました。
さらに大手格付け会社フィッチ・レーティングスが米国格付けの引き下げとのニュースが伝わり、下げ幅は2013年最大に達しました。さらに遡ると2022年9月14日の下げ幅である796円安以来の大きさでした。
業種別の動きでは33業種中、3業種のみが上昇、30業種が下落する全面安の様子。鉱業、輸送用機器、非鉄金属が上昇、その他内需倉庫が限定的な下げ幅で守りを固めました。
前日に続き、金融関連が弱く、証券、保険業が下落率1,2を占め、電機・ガス業、精密機械など前日に強かった業種が利益確定に押されました。
【日本市場のテクニカル分析】
日経の日足は実体が下離れする下向きのギャップをあけました。一目均衡表が意識される動きが続き、安値が止まったのは上雲の先行スパン1、終値では重なった基準線と転換線を割り込み、一時的に勢いが弱まる動きに入りました。
7月28日のような動きになると想定すると、ここから上に跳ね上がることで先行スパン1で支えられることになります。ただし明日も本日の安値を割り込んで下落するとともに、雲の中に入っていくと一目均衡表の各指標がレジスタンスに変わり始めました。
その場合、高値を結ぶ線は下に変わり、新たな三角保合を形成します。当分はわかりにくい動きになりやすいので注意が必要でしょう。
商いは本日も盛り上がり4兆円超えを記録。東証プライムの売買代金は4兆4846億円、売買高は18億3485万株。東証プライムの値下がり銘柄数は1503、値上がりは287銘柄、変わらずは45銘柄でした。
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【世界市場の総合分析: 今後の投資戦略】
いきなり米国の格下げとは。意外な材料が日本の市場を襲い、この材料を消化する最初の先進国市場となりました。参考になる指標がない中、週末にむけての様子見もあるので、「とりあえず売っておこう」という雰囲気が市場を覆いました。
それにも関わらずこれまた意外な動きをしたのは米国株式指数の先物。朝7時に大きく下落したものの、10:55まではむしろ下げ幅を縮小する動きで、その後は下げに転じましたが、下げ止まってから15時まで推移しました。
格下げの材料が米国市場を大きく下げる材料になると思う場合は、先物の暴落で現れるはずですが、そんな気配は弱い。17:30に再び引き下げた後は切り返しに変わったので、通常の動きの範囲ではないかと思っても無理はないでしょう。
結局は今夜の米国市場がどのように消化するかを見守ることに。米国市場が意外と落ち着いた動きをすると、本日大きく売りが入った市場は巻き戻しによって踏み上げられる可能性もあります。
本日の安値を割り込んで下がることを確認しない限りは、トレンドが下に変わったと早計で空売りを膨らませる行動は控えるのがよいでしょう。注目したいのは本日大きく下げた値嵩株たち。ファーストリテイリングを始め、東京エレク、アドバンテスト、信越化学などは大きく切り返す可能性があるので、短期的なトレードを好む場合は、値幅取りによいでしょう。
【Key Word】米国の格下げ
フィッチ・レーティングスが1日、外貨建て長期債務格付けを最上位の「トリプルA(AAA)」から「ダブルAプラス(AA+)」に引き下げたこと。
米国債の格下げが騒がれる理由は、米国債が世界で最も安全な資産とされているため。米国債の格下げは、米国の経済や財政が悪化しているとの見方を示すが、今回は債務上限問題など政治的混乱も入っていることで、市場もまだどのように反応すべきか迷っている様子。
世界中の金融市場に大きな影響を与えるプロセスの一例は米国債の格下げ→米国債の利回りが上昇(米国債の価格は下落)→他の国債の格付けにも影響→他の格付け機関の評価にも影響。
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【各市場の動き】
株式指標
日経平均(円) | 32,707.69 | -768.89(-2.30%) |
TOPIX | 2,301.76 | -35.60(-1.52%) |
為替
ドル・円 ※ | 143.28 – 143.30 | +0.57(0.39%) |
ユーロ・円 ※ | 157.44 – 157.46 | +0.75(0.47%) |
ユーロ・ドル ※ | 1.0987 – 1.0989 | +0.0008(0.07%) |
海外株式
NYダウ工業株30種(ドル) | 35,630.68 | +71.15(0.20%) |
S&P500種 | 4,576.73 | -12.23(-0.26%) |
ナスダック | 14,283.913 | -62.111(-0.43%) |
債券・金利
米10年国債(%) | 4.030 | +0.073 |