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債券と金利の関係~債権と金利の関係シリーズ2~

債券シリーズ2は債券と金利です。債券と金利は切っても切れない関係です。しかし、その関係というのがあまり理解されてないことも多いです。まず、簡単にテストをしてみてから、次に進んでみましょう。
早速ですが、下記の記事を読んでみましょう。

日米欧で金利が上昇(債券価格は下落)している。日本では20日の国内債券市場で新発10年物国債利回りが一時0.725%と9年8カ月ぶりの水準まで上昇した。原油高を受けて世界的にインフレが再燃するとの懸念が高まり、各国で債券売りの動きが広がっている。

2023年9月20日 日経経済新聞”グローバルマーケット”解説記事より

この記事は日経新聞から抜粋したものです。原油が高くなってインフレ懸念で金利が上昇し債券が売られて価格が下落している、という内容です。この内容を読みながらすーっと理解できるなら、ここからの先は読み進まなくても大丈夫です。あなたには簡単すぎる内容でしょう。

そうじゃない場合、どこがひっかかりますか?うん?というところはどこですか?まず、最初の文章でつまづくということはありませんか?”金利が上昇(債券価格は下落)”ってなんのこと?私も最初はなんのことがさっぱりわかりませんでした。

金利と債券価格はどうして反対に動く?

では、なぜ金利が上昇すると債券が売られ価格が下がるのでしょうか。よく分からない方もいると思います。そこで、今回は債券と金利の関係についてわかりやすく説明します。 

※債券にはいろんな種類がありますが、この記事では金利との関係が強い「国債」に絞って説明します。

いきなり二つの関係を説明するのは無理があります。国債と金利の関係を理解するにはまず、金利について理解する必要があります。なのでまずは、金利から説明していきます。

金利とは、利回りとは?同じ意味?

金利ときくと、何を思い浮かべますか。銀行の預金金利や住宅ローン金利、ニュースで紹介される金利など、人によって思い浮かべる金利は違うのではないと思います。でも、そもそも金利とは何でしょうか。

例えば住宅を買うためにお金を借りたい場合は銀行に借りることがほとんどです(住宅ローン)。そのとき、タダで貸してくれる銀行なんてありませんよね。借りたお金を返すさいには元金に加えて、更にお金を追加して返す必要があります。追加したお金が金利となります。

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図1 金利とは

つまり、金利とは、お金を貸し借りするときにかかる「費用」です。お金の「手数料」や「レンタル料」と考えると分かりやすいですね。尚、金利は割合となります。

利回り

金利と区別しておきたいのが利回りです。
利回りとは、投資に対する利益の割合で、一定期間当たりの平均で示したもの。利益には利息や売却損益が含まれています。1年間の利回りを指すことが一般的です。

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図2 利回り

金利が資金の貸し借りに対する費用であるのに対し、利回りは投資のパフォーマンスを測定するための指標と言えます。これ、大事な概念なのでしっかり理解するようにしましょうね。金利の定義がわかったところで今度は金利にはどんな種類があるのかも学んでみましょう。

金利の種類

金利にはいくつか種類があります。
例えば、期間で分けると長期金利と短期金利、名目金利と実質金利、固定金利と変動金利、 基準金利と適用金利などなど、聞くだけではわかるようでわからないものが並んでいます。いきなり全部理解するのは難しいので、ここでは国債と関係してくる長期金利と短期金利について説明します。これが景気と密接に関係しているので、期間でわけたこの金利が分かれば半分以上はわかった気になっても大丈夫です。

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図3 金利の種類

1. 短期金利は言葉通りに短い期間で取引される金利のことで、主に金融機関の間で取引されるさいに付く金利のことです。例えば銀行は、企業や個人とだけではなく、他銀行とも取引することがあります。そのときに設定されている金利が短期金利です。銀行間の金利なので、私たちは目にすることがなく馴染みがないものにはなります。
代表例として日本は「無担保コール翌日物」、アメリカは「FFレート」というものがあります。アメリカが「政策金利を利上げ」という時にいう政策金利がFFレートを指します。

2. 長期金利は10年物国債の利回りのことを意味します。金利と言っているのに、利回りが指標となるので注意が必要です。ここが混乱する要因でもありますね。ニュースで長期金利が上昇した、と耳にしたことがあるかもしれませんが、これは金利自体が上がったのではなく、10年物国債の利回りが上昇した、ということです。代表例は日本もアメリカも10年物国債の利回りです。

短期金利と長期金利の一番の違いは期間です。ここでそれを明確にします。
短期金利:1年以内の金融商品の金利
長期金利:1年以上の金融商品の金利

また、短期金利は中央銀行が誘導、コントロールしています。長期金利は短期金利をベースにしていますが、景気の動向や世界情勢などによって決まるので、コントロールすることはできません。ただし、現在日本はYCC(Yield Curve Control)によって日銀がコントロールしている状態になっています。つまり、本来は市場に任せる機能に介入しているということになります。YCCについてはこれだけでも別のテーマで記事が書けるくらいなので、別の記事で紹介することにします。

利上げ

最近ニュースでよく聞くアメリカFRBの「利上げ」について考えていきます。
「利上げ」とは、金利を上げること。では、ここまで学んできた金利の中で、いったい何の金利を上げるということなんでしょうか。それは政策金利のことなんです。

でも次の疑問が湧いてくると思います。政策金利って何?
政策金利とは短期金利のことを指しています。つまり、政策金利=短期金利なります。中央銀行(アメリカはFRB、日本は日銀)は金融政策のために、短期金利の上げ下げを行っているので「政策金利」と呼ばれています。

アメリカが行っている利上げというのは、政策金利(短期金利)を上げていることになります。では、実際どのくらい上がっているのか見てみましょう。

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図4-1 FFレート(米国)
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図4-2 無担保コール翌日物(日本)

図4はアメリカと日本の政策金利の推移です。アメリカでは2022年3月から継続的に利上げを行い、約1年半で約5%も上昇しています。一方、日本は2016年1月にマイナス金利を導入し、政策金利をマイナス0.1%にし続けています。

例えば、アメリカでは100万円貸すと5%の金利がつくことになり、105万になって返却されます。それに対し、日本では-0.1%の金利なので、100万貸したら99万9000円になって返ってきます。どっちにお金を貸したら得か一目瞭然ですね。

政策金利は短期金利のことなので金融機関同士が取引する金利となり、私たちにはあまり関係ないと思うかもしれません。でも、政策金利はいろんなところに影響しています。

銀行間の金利が上がれば、基本的には他の金利(国債の金利、住宅や車のローン、借入金利など)にも上昇が波及しやすくなります。ローンが上がれば個人は家や車を買いにくくなり、借入金利があがれば企業は設備投資などを控えるようになります。そうなると経済活動にも影響が出てきますね。経済が弱まると、高いお金を払ってでもモノを買おうとする人が減るため、インフレは落ち着きます。
逆に金利が下がると、ローンは組みやすくなって個人の購買力が強くなり、企業は融資をうけやすくなって新しい経営や設備投資に意欲的になります。利下げすることで経済活動を活発にし物価を上昇させ、景気を回復を促しています。これがアメリカが利上げをすると景気が後退すると懸念される理由です。

国債と金利の関係

ずっと金利の話をしてきましたが、国債の話もしていきます。
今は株式も債券も電子化されオンラインで取引される国債ですが、昔は紙での取引でした。

実際の債券って、みたことありますか?ないですよね。ここにサンプルが一つありますのでご覧ください。

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図5 紙の国債

償還期日や利息の支払期日、クーポンコードなど必要な情報が記載されています。また名前を記載した国債もあったようです。
償還日まで保管する必要がありますが、何十年物だと紛失してしまいそうですね。

余談はさておき、国債と金利の関係に話を戻します。
国債には償還期間があり、短いものや長いもが存在しています。
日本の場合、一定の金利がつく国債として2年、5年、10年、20年、30年、40年の期間のものがあります。因みに個人向け国債としては、3年(固定利付)、5年(固定利付)、10年(変動利付)があります。購入が少額から可能で、一定期間経過後の中途換金も可能です。
米国債は1年以上のものはもちろん、3ヵ月や6ヶ月、12ヶ月など1年未満の国債もあります。

いろんな償還期間の国債がありますが、期間によって金利は異なります。期間が短い国債の場合、金利は政策金利に連動しやすくなります。実際に見てみましょう。

 

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図6 米国債3カ月とFFレート

青い線が米国債3カ月、オレンジの線がFFレートですが、ほぼ同じ動きをしています。景気や金融政策は2年くらい先まではある程度予測できるため、金融政策の1つでもある政策金利に連動しやすいと言えます。

では、期間が長い国債10年物はどうでしょうか。10年先の景気や金融政策を予測できるでしょうか。10年後はインフレになっているのか、それともデフレなのか…どうなっているのかは、ほとんど予測不可能です(それができれば誰も苦労はしませんよね)。そのため期間の長い国債は、金融政策の影響も受けますが、長い目で経済を見たときの予想に影響される部分が大きくなります。

例えば、経済の影響が関係してきます。経済が強い(インフレ)なら利上げして金利をあげていきます。逆に弱いなら利下げして金利を下げる対応をするはずですね。また、需要も関係してきます。今の日本の国債を買うなら、株式に投資した方がよいと思う人が多いと思います。もし今後、アメリカのように日本も金利が上昇してきたら、きっと国債に投資しようと思う人が増えるはずです。

このように、10年物のように期間が長い国債は、金融政策だけでなく、長い目でみた経済の強さや需給、他いろんな要因が総合的に反映された金利と言えます。

国債価格と金利の関係

今度は価格に焦点をあてたいと思います。
結論から言うと、次のとおりです。

金利があがると、国債価格は下がる
金利がさがると、国債価格は上がる

国債価格と金利は逆の動きをするシーソーの関係だと言えますね。でもなんで金利が上がると、国債価格は下がるのでしょうか。例えでみていきましょう。

金利2%の国債があります。
この国債を100万で買うと、1年間で2万円を受け取ることができます。
でも金利5%の国債が出てきたらどうでしょう。
100万分を買えば、1年で5万円を受け取ることができます。
どっちの国債を買いたいでしょうか?

もちろん、金利5%の国債を買いたいと思うはずです。そうなると金利2%の国債は魅力が減って買う人が減っていきます。では買ってもらうためにはどうするのか。金利2%を上げることがムリなら、価格を100万ではなく95万でいいですよ、と下げますよね。これが「金利があがると国債価格が下がる」ということです。

金利が下がると逆になります。
金利2%の国債がすでに売買されていて、金利1%の国債がでてきても全く魅力はありません。金利2%の国債を買いたい人が増えるので、100万で買えたものが101万や102万に価格が上かがっていきます。「金利がさがると国債価格が上がる」ということになります。

金利は国債価格に影響を及ぼしますが、金利だけではありません。最後の債券シリーズ3では為替や株価との関係をお話しますので、ぜひそちらもご覧ください。

おわりに

いかがでしたか?債券と金利は思った以上に深く、関係性も難しいですね。この2つはニュースでもよく耳にすることなので、知っていると経済についてより理解が深まりますし、投資戦略にも役立つと考えます。
最後に、もう一度こちらの記事を読んでみてください。きっと、なるほど!と読めるようになっていますよ。それでも難しいのは最後の文章ですね。原油高→インフレ→債券売り、これはなんで?それがシリーズ3が必要になる理由です。お楽しみに!

日米欧で金利が上昇(債券価格は下落)している。日本では20日の国内債券市場で新発10年物国債利回りが一時0.725%と9年8カ月ぶりの水準まで上昇した。原油高を受けて世界的にインフレが再燃するとの懸念が高まり、各国で債券売りの動きが広がっている。