2015年8月11日の東京株式市場は5日ぶりに下落しました。
終値は前営業日比87円94銭(0.42%)安の2万0720円75銭でした。
好調な企業業績と大幅に反発した米国市場の動きを受けて
幅のある上昇でスタートしましたが、
場中に発表された中国当局による人民元の切り下げを受け、
輸出関連株やインバウンド関連銘柄に業績悪化懸念が広がることで、
すべての上昇幅を打ち消して下落に転じました。
前営業日の米高市場は大幅な反発になりました。
ダウ 30種平均は大幅に8日ぶりに反発して
前営業日比241ドル79セント(1.4%)高の1万7615ドル17セント、
ナスダック市場も3営業日ぶりに反発して
前営業日比58.255ポイント(1.2%)高の5101.799で取引を終えました。
中国・上海株式相場の上昇、
ウォーレン・バフェット氏による大型買収案件の発表、
原油先物相場の上昇などを材料に大幅に反発しました。
そもそも7日に渡る続落で、自律反発になりやすい位置にきていました。
昨日の解説では、
「テクニカル的には下ひげの長い
下げ止まりの形をして、NY指数の取引をされる方は
短い反転を狙ってみるタイミングに来ていると判断できます。」と伝えましたが、
早くも1日でその動きが現れました。
注意すべき点は、これでいきなり上昇モードへの切り替えではないということです。
少し戻ることで、上では戻り待ちをしている投資家が多いので、
すんなりとあげてくれたりはしない可能性が高いでしょう。
日本市場はニューヨーク市場の大幅な反発と先高観の継続で、
買いが先行、上昇してスタートして5日続伸の期待が持たれました。
130円を超える上昇幅で6月24日につけた取引時間中の高値(2万0952円)まで
後少しのところまで迫ってきました。
短期の利益を確定する動きで、上げ幅を縮める場面もみられましたが、
100円前後の上昇幅を維持しながら堅調に推移しました。
好調な動きに水を差したのは中国の動きでした。
11日、中国の中央銀行が人民元の実質的な2%切り下げを発表、
なりふり構わぬ手段を使って輸出競争力の回復を狙いました。
一つの通過が1日で2%動くというのはどれだけ大きいインパクトがあるのか、
FX取引をしたことのある方は十分経験していると思います。
買いの勢いが強く、リスクオフの姿勢になった投資家が優勢で
下値を抑え込むことなく維持していた相場は一転、
上昇幅をすべて打ち消して、下落に転じました。
下落幅は87円と大きくはありませんが、上昇幅から考えての反転ぶりは
ローラーコースター並みのダイナミックさがあります。
テクニカル的には前日の大きな陽線からさらに空を開けた大陰線を形成、
高値圏において 、迷いのサインが鮮明に出てしまいました。
しかし、2ヶ月以上の期間で見ると、6/24日から始まった
上昇の三角持ち合いパターンを上放れした形になり、
明日もこの高値を切り上げるか、下値でも三角形の上辺が
支えとして認識されると、新たなトレンドが始まると判断してよいでしょう。
しかし、支えになる25日線まで切り下げると反対の方向に動くことで、
現在の位置は「どちらか、動く方向について行く」ところにあります。
ファンダメンタルとテクニカル両方をまとめて考えると、
大きなニュースで200円以上の下げまで進んだというのは
高値圏で利益を取るキッカケが欲しかった投資家の心理を読み取ってくれたような
ニュースで、下値に近づくとすかさず押し目買いが入ってきていると考えられます。
結局は2万円から2万1,000円に到達しない1,000円のボックス圏の中で動く
相場が続くことになり、本日の高値を一回は上放れして
上昇してくれる動機が欲しいところですね。
昨日に引き続き、 日本市場に対する先高観に変更はありません。
不安定な動きが続く時に注目された内需・インバウント系の株に軒並み
売りが膨らんだので、しばらくは注意が必要です。
■各市場の動き
日経平均(円):20,720.75 -87.94 -0.42%
NYダウ(ドル):17,615.17 +241.79 +1.39%
ドル(円):124.77-78 +0.27円安 +0.22%
ユーロ(円):137.56-60 +1.12円安 +0.82%