2017年5月31日の東京株式市場は4日続落しました。
終値は27円28銭(0.14%)安の1万9650円57銭でした。
米国市場が続落した流れを引き継ぎ、
指数は下げましたが、そもそも参加者が少ない
様子見ムードの相場で、雇用統計の発表に備えて、
その流れはより強くなりそうです。
4日続落とはいうものの、4日間の下げ幅の合計は36円で、-0.19%
底値が固いとポジティブな見方をするのがいいでしょう。
本日も最後までしっかりお読みください。
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【米国市場の動向】
前営業日の米国市場は続落と反落しました。
ダウ工業株30種平均は続落して、
前営業日比50ドル81セント(0.2%)安の2万1029ドル47セントで、
ナスダック総合株価指数は8営業日ぶりに反落し、
前営業日比7.005ポイント(0.1%)安の6203.189で取引を終えました。
材料出尽くし感が鮮明で、
各指数が最高値圏で高止まりしていることが
利益確定を優先する動きに誘導しています。
市場の材料になる景気指標が強弱入り混じる展開で、
明確な方向を示すには力不足でした。
4月の 個人消費支出(PCE)は前月比で増加しましたが、
PCEデフレーター(*)の上昇率が3月から縮小しました。
*PCEデフレーター
名目個人消費支出(名目PCE)を実質個人消費支出(実質PCE)で割ったもの。
簡単に説明するとPCEデフレーター変化率がプラスであればインフレーション、
マイナスであればデフレーションと判断される。
FRBが重視するのは価格変動が激しいエネルギー、食品を
除いた「コアPCEデフレーター」(日本のコア・インフレ率と同様の指標)。
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【日本市場の動向:ファンダメンタル】
30日朝たのSGX日経平均先物は前日に引き続き方向感の乏しい上昇スタートで、
25円高の1万9715円で始まりました。
日本市場は前日の米国市場が休場であることで、
参考になる材料に欠け、方向感を失った展開、
1円46銭安の1万9681円11銭 で寄り付きました。
ギリシャ支援問題に関する報道で、先行き不透明感が強まり
ユーロ安・円高が進行、下げ幅を拡大して100円以上の下げ幅を
見せる場面も見られました。
売りが一巡して、19,500円の節目に近くと、
押し目を拾う動きに変わり、下げ幅を縮めました。
プラスに転じる場面も見られましたが、
小幅の下落で本日の取引を終えました。
週末の主要イベントを控えて、様子見ムードは深まる一方ですが、
本日の動きは下げ止まりを示唆する意味をもたせてくれました。
東証1部の売買代金は概算で3兆176億円、
8日以降の大きさでした。
売買高は20億1898万株、東証1部の値下がり銘柄数は1282、
値上がりは622、変わらずは112銘柄でした。
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【日本市場の動向:テクニカル分析】
日経の日足は上下ひげを持つ短陽線を形成しました。
4日ぶりの陽線ですが、明確な上昇を示すよりは
「下値が支えられています」と示唆する持ち合いの形です。
安値で25日線に支えられる動きが続き、
テクニカル的に意識されていることを示しています。
しかし、高値では一目均衡表の転換線に抑えられ、
25日線と転換線の間に日足が挟まる小動きになりました。
動かないのでつまらないというよりは5/18から続く短期的な
持ち合いが煮詰まってきたという見方をするのがいいでしょう。
煮詰まったものはどちらかにブレイクします。
上か下かはもちろん不明ですが、
現在の形では上にブレイクしやすいという見方をします。
前日からの見方は変わらず、
上値も重い様子で、下げの目処をタッチしてから
今週は低調な商いと共に様子見の相場が続くとみられます。
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【日本市場の総合分析: 今後の投資戦略】
リスクオンになれない投資家の資金が向かうのは
中・小型か新興市場、それを反映してマザーズは
年初来高値を更新しています。
保持している方はそろそろ過熱感が意識されるタイミングなので、
利益確定のタイミングを真剣に考える時期です。
今週末までは大型から資金がシフトする動きが続きそうです。
前日はついアツク語ってしまい、いくつかの質問も頂きました。
話の出発点は有効求人倍率がバブル期を超え、
雇用市場は売り手市場が絶好調だということ、
しかしぬかよろこびしていいのかという疑問で締めくくりました。
(そもそも「有効求人倍率」はなんですか?という質問もありましたが、
それくらいはググってくださいね。自ら努力するのも大事です)
景気の判断をする際に重要な指標になる雇用関連指標。
雇用の改善を図る時は2 つの視点が必要です。
雇用の数はもちろん大事ですが、それ以上に雇用の「質」も大事です。
2017年5月23日に更新された厚生労働省の統計によると
現金給与総額は前年比0.2%の減少で、
2015年6月以来11カ月ぶりに減少に転じています。
一方、所定外労働時間は前年比1.5%の増加ですが、
残業代などの所定外給与は0.6%増に止まっています。
わかりやすく言えば、「雇用は増えたけど、賃金は増えない、むしろ減っている」、
つまり、雇用の増加分に相応しない給与の動きだということです。
さらに言えば「残業時間が増えた分の給与は支払われていない」
との解釈にもつながります。
まとめて考えると、給与所得を押し上げるほどの職業では
雇用が増えてないということで、
給与水準の低い職種において雇用が増えているのではないか?と
考えられても無理はないですね。
企業は儲けて、景気はいいというのに
「私の給料からはそんな実感が湧かない」のはこれが一つの原因であり、
素晴らしい業績から考えると日本の株価が割安になっている
要因にもなっているのではないでしょうか。
これ以上深く入ると、紙面が溢れて本1冊くらいになりそうなので、
ここまでにしておきますが、
持ち合い相場の中で言いたいことを言う
いいチャンスをもらったとポジティブな気分になれる本日です。
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【各市場の動き】
日経平均(円):19,650.57 -27.28 -0.14%
NYダウ(ドル):21,029.47 -50.81 -0.24%
ドル(円): 110.81-82 -0.26円高 -0.23%
ユーロ(円): 123.79-83 +0.06円安 +0.04%