2018年12月11日の東京株式市場は続落しました。
終値は前営業日比71円48銭(0.34%)安の2万1148円02銭でした。
終値ベースでは3月28日以来、8カ月半ぶりの安値です。
朝方は大きく下げてから上昇まで戻した米国市場の流れを引き継ぎ
買いが先行しましたが、イギリスの離脱案採決延期が伝わったことで
マイナスに転じました。 本日も最後までしっかりお読みください。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【米国市場の動向】
米国市場は反発しました。
ダウ工業株30種平均は反発して、
前営業日比34ドル31セント(0.1%)高の2万4423ドル26セント、
ナスダック総合株価指数も反発して
前営業日比51.268ポイント(0.7%)高の7020.520で取引を終えました。
反発はしましたが、市場の不安定さは増加しています。
朝方は507ドル安まで進みました。
下落の要因はイギリス、
EU離脱を巡る議会投票を延期したと伝わり
経済混乱につながるとの懸念が広がったことが市場の心理を悪化させました。
朝方は下げの要因になって、急速に戻る要因にもなったのはアップル、
中国の裁判所が一部の旧型のiPhone販売差し止めの
仮処分を出したとクアルコムが発表したことで、
3%の下げで市場を混乱に陥れましたが、
新しいOSを搭載した端末は継続して販売できるとの観測で
急速に戻しました。
市場は大きな変動幅を持つ不安定な動きが続きます。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【日本市場の動向】
日本市場は507ドルを下げてから急速に戻し
上昇で終わった米国市場の動きを好感して
買いが先行してスタートしました。
米国市場の要因に加え、113円台と円安が進むことが
市場を押し上げましたが、
米中貿易摩擦をめぐる懸念は根強く、朝方にすぐ下落に転じました。
マイナス幅を広げた後は、前日の終値を挟んでの
方向感なしの動きが続き、
投資家心理の改善がみられないまま取引を終えました。
中国関連銘柄に売りが広がった他、
前日に引き続き証券・商品先物取引業種、
銀行、保険業などの金融銘柄にも売りがでました。
一方、前日は利益確定に押された小売、食料品などの
内需関連が買われて上昇率上位を占めました。
日経の日足は上下ヒゲをもつ短陰線を形成しました。
前日の高値と安値を切り下げているので、
形の上でも下落、ただし下ひげの方が長いので
下げ止まりのサインを一回出してきました。
ボリンジャーバンドの-2σを押し下げながら下向き、
バンドウォークに入っているので、
下げトレンドの継続と強くなっていることを示しているので、
10/26の安値を割り込む可能性もあります。
21,000円の節目も同じ位置にあることから
一旦一回は止まってくれる可能性があるのか、
確認したい位置まで来ています。
東証1部の売買代金は2兆5012億円、
売買高は14億7631万株でした。
東証1部の値下がり銘柄数は1745、
値上がりは324、変わらずは54銘柄でした。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【日本市場の総合分析: 今後の投資戦略】
今週の注目材料の一つだった英国の離脱協定案の採決が
先送られました。
米国市場がまず大きく反応し507ドルの下げを見せた後、
かろうじて上昇で終わったものの市場の混乱は増してしまいました。
「合意なしの離脱、経済が混乱」なにがなんだかわかりません、
のような質問があったので少しまとめます。
イギリスとEUの離脱交渉は2017年6月に始まり、
離脱の方法を定めた離脱案がつい最近の2018年11月のにまとまりました。
はい、これでめでたく離脱(めでたいことではないかも知れませんが)とはいかず、
離脱案は英議会での承認を得ることで有効になり、
その採決が11日に予定されていました。
野党第1党の労働党は最初からその離脱案に大反対していましたが、
メイ首相の味方になってくれるはずの与党・保守党の中からも
強い反発があり、採決は難しいと見られていましたが、
同日になっていきなり「採決延期」という行動に出たわけです。
前日までも「延期はない」と言い続けた挙げ句の結果なので、
「しどろもどろ」もいいところ、と市場は評価しています。
先週末行なった2019年の投資戦略講演では米中貿易摩擦を
来年のリスク要因として引き続き意識する必要があると解説しましたが、
フランスの「黄色いベスト」、落ち着きのないイギリスの首相など
欧州の政治不安定も大きなリスク要因になります。
市場の不透明要因を反映して日本市場も方向感を失っているので、
空売りのポジションはしばらく利益を伸ばし、
買いはまだ控えるのがよいでしょう。
特に石油・石炭製品は随分下げてきたように見えますが、
下げが加速しているので、明確な下げ止まりのサインがみられるまでは
手を出さないでください。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【各市場の動き】
日経平均(円)
21,148.02 -71.48(-0.34%)
NYダウ(ドル)
24,423.26 +34.31(0.14%)
ドル・円
113.17 – 113.18 +0.54(0.47%)
ユーロ・円
128.51 – 128.55 -0.18(-0.13%)
ジョン・シュウギョウにより毎日更新される日経概況のバックナンバーは
TBLのホームページでご覧頂けます。
http://www.tbladvisory.com/topics/