2021年9月3日の東京株式市場は5営業日続伸しました。
終値は前営業日比584円60銭(2.05%)高の2万9128円11銭でした。
米国市場は失業保険申請件数が市場予想を下回ったことが好感され
買いが進みましたが、雇用統計を前にして上昇幅は限定的でした。
週末は雇用統計が市場予想を大幅に下回る結果でダウが下落、
ナスダックは上昇しました。
金曜日の日本市場は買いが先行してスタート、昼休み前に菅首相の自民党総裁選への
不出馬表明ニュースが出ると、一気に上昇しました。
来週も上昇トレンドを強める動きが予想されます。
本日も最後までしっかりお読みください。
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【米国市場の動向】
米国市場は上昇しました。
ダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発して、
前営業日比131ドル29セント(0.4%)高の3万5443ドル82セント、
ナスダック総合株価指数は続伸して、
前日比21.796ポイント(0.1%)高の1万5331.177で取引を終えました。
前日はADP全米雇用リポートが市場予想を下回り、
投資家心理が悪化しましたが、
週間の新規失業保険申請件数が市場予想を
わずかに下回り、心理が改善しました。
翌日は雇用統計の発表を控えていることで、
積極的に買い上げる動きにはつながらず、
上昇幅は限定的な範囲でした。
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【日本市場の動向】
日本市場は米国市場の上昇を背景に
買いが先行してスタートしました。
寄り付き10分後に高値を形成した後は
利益確定に押される展開になりましたが、
11時を過ぎてから市場が大きく動きました。
菅総理が自民党総裁選への不出馬を表明、
辞任する意向を固めると、
市場は大幅に上昇に転じました。
15時まで一貫して上昇、
本日の高値付近で取引を終えました。
33全業種が上昇、特に鉄鋼は+4.13%で大躍進、
電気機器、機械などの景気敏感業種に買いが進み、
証券、その他金融業などの金融関連にも買いが集まりました。
日経の日足は丸坊主に近い陽線を形成しました。
前日の終値から上放れしてスタート、
そのまま上昇して上向きのギャップ(実体レベル)を
3日連続であけました。
次の抵抗になることが予想された
7/13はもちろん、29,000円も一気にぬけて、
来週の動き次第では30,000円も視野に入ります。
トレンドが大きく変わってから
さらに加速する流れになりましたが、
過熱感は意識され始めますので、
ボラティリティの高まりが予想されます。
東証1部の売買代金は概算で2兆6395億円、
売買高は10億5806万株でした。
東証1部の値上がり銘柄数は896、
値下がりは1197で、変わらずは96銘柄でした。
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【日本市場の総合分析: 今後の投資戦略】
今週はテクニカル分析上、
大きなトレンドが変わったと解説してきました。
下げトレンドからの転換で
上昇が期待されていた局面で
菅首相が自民党総裁選への不出馬を表明したことが
上昇トレンドを一気に強めました。
コロナ対策が迷走、支持率が低下して
衆院総選挙で与党が大敗する懸念が
意識されていましたが、
その懸念が一気に吹っ飛んでしまったような材料でした。
外国人投資家が嫌うのは
不景気よりも政局の不安定、
それを考慮すると本日午後からの上げは
変化への期待のみならず、
政局の不安定リスクが低下したことが
歓迎された分も載っていると判断されます。
これからのポイントはこの材料によって加速がついた
上昇基調が継続するかです。
与党の大敗リスクが後退したので、
外国人の資金が流入しやすい環境が整い、
新政権への期待が重なると
3万円を伺う展開になると予想します。
もちろん、現政権のコロナ対応は不信され
国民の不満が高まっていた分、
政策への期待ほどの施策が出ない場合は
政局不安のリスクは再び高まりますが、
当分は上値を追うような動きになるでしょう。
週末は注目の指標発表があり、米国市場はそれを
織り込んで下落しました。
ダウ工業株30種平均は下落して、
前営業日比74ドル73セント(0.2%)安の3万5369ドル9セント、
一方、ナスダック総合株価指数は3営業日続伸して、
前日比32.339ポイント(0.2%)高の1万5363.516で取引を終えました。
8月の雇用統計は非農業部門の就業者数が
市場予想72万人増に対して
23万5000人増にとどまりました。
景気回復への懸念で株式市場は売りが先行、
140ドル超まで下落幅が広がりましたが、
後半に持ち直す動きで下げ幅を縮小、
ナスダックは上昇して終わりました。
後半の反応を見る限り、雇用統計が市場予想を
大幅に下回ったことの影響は
限定的な範囲と止まると予想されます。
それを示すのがシカゴ市場の日本株先物の動向です。
3日の終値は大幅に続伸して、前日比985円高の2万9595円、
3日の大取終値を435円上回りました。
雇用統計の結果を反映する動きはほとんど見られず、
菅義偉首相が総裁選への不出馬を表明したことで
期待による買いが進んだ結果です。
まとめてもう一度考える場合、日本株は来週
上昇トレンドを強める動きとなることが予想されます。
菅総理の発表をきっかけに金曜日に節目の29000円を突破したばかりですが、
自民党総裁選、役員人事、続く衆院選など、
政治イベントが目白押し、
政策期待で株高に拍車がかかる可能性があります。
8月第4週(8月23~27日)の投資部門別株式売買動向を参考にすると、
2週連続で外国人が売り越し、
個人は2週ぶりに売り越しています。
この逆行現象が観察されると買いが強まる傾向があるので
売りポジションを持ち越している場合は警戒が必要です。
注目する部門はトレンドが発生した場合に
資金が集まる値嵩株(例えば半導体の東京エレクトロン、ファーストリテイリングなど)、
政策期待の際に物色されやすい
インフラ・建設関連です。
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【各市場の動き】
日経平均(円)
29,128.11 +584.60(2.05%)
ドル・円
109.96 – 109.98 -0.04(-0.03%)
ユーロ・円
130.62 – 130.64 +0.31(0.23%)
ユーロ・ドル
1.1878 – 1.1879 +0.0032(0.27%)
NYダウ工業株30種(ドル)
35,443.82 +131.29(0.37%)
S&P500種
4,536.95 +12.86(0.28%)
ナスダック
15,331.177 +21.796(0.14%)
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