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週間展望および投資戦略2023年6月26日- 6月30日

【世界市場の総合分析: 今後の投資戦略】

6月の最終週となる来週、世界経済の動きと合わせて詳しく考察していきます。

|| 週末の米国市場は弱い展開

米国市場は続落と反落で下落しました。ダウ工業株30種平均は5営業日続落して、前営業日比219ドル28セント(0.6%)安の3万3727ドル43セント、ナスダック総合株価指数は反落して、前営業日比138.093ポイント(1.0%)安の1万3492.516、S&P500指数も反落して-33.56(-0.76%)  の4,348.33ポイントで取引を終えました。

6月の米製造業PMIが市場予想を下回り、景況悪化の懸念が再燃、市場心理が悪化したのが下落の要因となりました。22日にイングランド銀行(イギリスの中央銀区)、スイス、ノルウェーの中銀が政策金利を引き上げ、金融引き締めが長期化する懸念も市場を押し下げました。

パウエル議長を始め、FRBの高官が年内に追加利上げが2回あることを暗示し続けることも景気後退への懸念を高めて、市場は上昇要因を見つけるのが難しいほど。

Dow 30種平均

S&P 500

ナスダック指数


|| 日本関連は全面安の展開

米国市場の軟調を受けて、日本関連の指標も全面安の展開となりました。大阪市場の日経平均先物は夜間取引で下落、70円安い3万2600円で一週間の取引を終えました。シカゴ市場の日経平均先物夜間取引は大幅に下落して810円安の3万2635円で終えました。

日本株のADR(米預託証券)も全面安の展開で、特に証券、銀行など金融系の下げが目立ちました。米国株式相場が軟調であることが重石となり、目立つ下落、証券の野村が-3%、ホンダ、ソニーGなどの下落も目立ちました。


||日本市場は上値の思い展開で調整入りを想定

日本市場は上値の思い展開で、一時下値を探る展開を予想します。日本市場の方向性を握っているのは2つの要因。「欧米の利上げ継続」が株価圧迫要因で、「外国人の旺盛な買い意欲」がそれです。

まず、欧米の利上げ継続についてはニュースを通じて報道されている通り、イギリスの中央銀行、イングランド銀行が22日、3会合ぶりに0.5%という大幅な利上げを発表した他、スイスの中央銀行「スイス国立銀行」もインフレ圧力が再び高まっていることに対して、0.25%の利上げを実施、ノルウェーの中央銀行も22日、政策金利を0.5%と大幅に引き上げ、3.75%にすると発表しました。

欧米においては株式市場への下方圧力をかける要因で、日本市場もその流れで一人勝ちが続くとは限らないでしょう。実際に米国市場の主要3指数は揃って6月16日の高値を頂点にして、調整入りの流れが鮮明になっています。日経は少しズレはありますが、6月19日を頂点にして調整が進む様子です。


||外国人の買い意欲は続くか

次の要因は支えの要因として、外国人の買い意欲。5大商社が代表的な例で、日本市場における外国人の動向は12週連続の買い越し。2012年11月11日―13年3月16日まで18週に及ぶアベノミクス相場に後6週で迫ってきました。

ウォーレン・バフェット氏による日本株の買い増しが明らかになり、4月以降は海外投資家の日本株への資金シフトが本格化しました。外国人の買い越しが続く間、日経平均は上昇するのが普通のパターンであり、今回の大相場もそれを証明しています。

これがどこまで続くのか。今回の相場がアベノミクスの時とどこが違うのか、相違点について調べると、富裕層が増えているアジアからの投資が増えていること。アベノミクスの時は欧米系の投資による買い越しが大半を占めており、今回は中国を筆頭にアジアの資金が大きく動いていると推測されています。

それを考慮する場合、欧米が引くとアジア勢が押し寄せる、アジアが引いたところに欧米勢が入るなどの循環が続くなら、日本株買いの流れはもうちょっと続くのではないでしょうか。ただし、来週の動きによって、その継続性がためされるので、ここは綿密にチェックしていきます。

下押し要因が積み上がっているので、積極的に買いポジションを閉じて、ショートトレード(空売り)を仕掛けるべきか?それについてはちょっと待った!を。政府がそうはさせないリスクについて理解する必要があります。


|| リスクは市場を歪める政府の行動

市場に少しでも身を置いたことがある人なら、ここにきてそろそろ本格的な押し目があってもいいタイミングというのは何回もあったはず。そのたびに児童手当の拡充・所得制限の撤廃・支給期間「中学生まで」を「高校生まで」に延長、出産費用の保険適用導入、選択的週休3日制度普及への取り組みなど、いわゆる「異次元の少子化対策」など、「株価を下げさせないぞ」的な的外れな政策を乱発してきた政府。

自然に調整を挟むことで市場はより健全な姿になるものですが、同じ「異次元」が入る金融緩和で10年以上歪んだ市場を作り出してきたことに、さらに不可解な歪みを与え続けています。このタイミングで、速報で報じられたのはマイナカード不備対応が不十分だと思う76%の意見を反映して、内閣支持率が8ポイント低下の39%とのファクト(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA225IV0S3A620C2000000/?n_cid=BMSR3P001_202306252000)。

株価が調整に入る際に合わせて、支持率低下で慌てた政府がまたいかなる「異次元」を繰り広げるか。正常な動きに合わせてショートトレードを入れた場合は、その歪みによって踏み上げられることも考えられるので、注意が必要です。

反対に政府が積極的に進めると公言する半導体関連、AI、デジタル関連は中・長期的な上昇の前に乱高下が見られやすくなるので、やはり注意が必要です。1日の値幅で利益をとりに行くデイトレードには向いているといえるでしょう。

SOX指数

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【各市場の動き】

株式指標

日経平均(円)32,781.54-483.34(-1.45%)
TOPIX 2,264.73-31.77(-1.38%)

為替

ドル・円 143.72 – 143.74+1.94(1.36%)
ユーロ・円156.57 – 156.62+0.69(0.44%)
ユーロ・ドル1.0894 – 1.0898-0.0100(-0.90%)

海外株式

NYダウ工業株30種(ドル) 33,727.43-219.28(-0.64%)
S&P500種4,348.33-33.56(-0.76%)
ナスダック13,492.516-138.093(-1.01%)

債券・金利

米10年国債(%)3.740-0.055
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