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週間展望および投資戦略2023年8月7日- 8月11日

【世界市場の総合分析: 今後の投資戦略】

|| 先週を振り返る:不安定で軟調な一週間

先週を少し振り返ってみましょう。7月31日- 8月4日は非常に不安定な動きとなりました。週明けで7月の最終営業日である31日の日経平均は米国株高と円安に恵まれ大幅高、8月の初日も同様の動きで、2営業日で700円を上げる堅調な流れとなりました。TOPIXも年初来高値を連日で更新しました。

市場を襲ったのはピッチによる米国債格下げという爆弾。米国の長期金利が上昇、日本市場は真っ先にその影響を消化しました。米国市場が大安で反応すると日経はさらに大きくさげ、2営業日で1300円超の下げ幅を記録しました。

|| 週末の米国市場は下落

週末に入る4日の米国市場は続落しました。ダウ工業株30種平均は3営業日続落して、前営業日比150ドル27セント(0.4%)安の3万5065ドル62セント、ナスダック総合株価指数は4営業日続落して、前営業日比50.477ポイント(0.4%)安の1万3909.238、S&P500種株価指数も続落して前日比-23.86(-0.52%)の4,478.03で取引を終えました。

朝方は雇用統計の結果を反映して買いが先行しました。7月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で18万7000人増、市場予想を下回りました。5月、6月の雇用者数の伸びが下方修正されたこともくわわり、利上げ圧力が和らげるとの観測が広がり、上げ幅290ドル記録する場面もありました。

今回の数字で注目されたのは平均時給。同統計で、平均時給の数字は前年同月比の上昇率が4.4%、市場予想を上回る結果に。FRBによる利上げのリスクが改めて意識され、売りに転じました。

|| 上値の重い展開が予想される来週

来週の市場は上値が重く、変動性のある相場になるでしょう。盛り上がりに欠ける最初の要因は営業日の少なさ。金曜の11日は山の日で休場、営業日は4日となります。特に木曜日は米国の7月CPI(消費者物価指数)発表があります。

日本時間で木曜日の夜になるため、CPIの結果、それに対する米国市場の反応を確認する前に3連休入りとなり、動きづらい環境が整います。その他の錯乱要因は日米とも金利の動向。

長期金利の上昇が今週の市場を混乱させた主な要因となりましたが、来週も引き続き変動性を高める要因となるでしょう。金利、それに絡み為替の方向、まだまだ続く決算発表の結果による市場へのインパクトまで考慮すると、安定した流れを想定するのは難しくなります。

|| ハイテク株の動向に注意

金曜日の個別動向で気になったのは日本市場ハイテク系の軟調ぶり。任天堂は第一四半期の大幅な増益発表で好感されるはずなのが2.9%安で追い込まれ、レーザーテック、キーエンス、村田製作所、太陽誘電などのハイテク大手が軒並み下落で取引を終えています。

さらに懸念を加速させたのは、4日の夜発表されたアップルの決算結果。2023年4~6月期決算は、減速のサインが著しく、売上高が前年同期を下回りました。売上高が前年同期を下回るのは3四半期連続の記録です。

アップルに加えて、メタ、テスラも下げてハイテク関連への懸念が広がりやすいが、アマゾン・ドット・コムは決算結果が好感され、8%高で終えのは支援材料になります。

来週は米国市場の決算発表がピークを過ぎて9日のウォルト・ディズニーくらいが注目される中、日本市場では3日連続で注目を集める決算発表が予定されています。

8日:ソフトバンク、9日:ソニー、10日:東京エレクトロン。その結果によってはさらに市場に波乱を呼び込む可能性があるので、注意が必要です。10日の消費者物価指数に続き、11日は7月生産者物価指数、8月ミシガン大学消費者信頼感指数が予定されているので、日本の決算発表予定を合わせると毎日なにかの変動性要因が入っています。

|| 金利動向によっては建設・不動産などに注目する戦略も

週末の市場できになるのは米国の10年物国債の動向。9ヶ月ぶりの高いレベルを記録した前日の高値まで超えて、4.204%まで進む場面がありましたが、急落して4.038%まで一気に下落しました。1日の下落率-3.37%は3月10日から24日まで続いた急落局面以来の大きさです。

日本の長期金利もピークが8月3日の0.654%と2014年7月以降の記録で、金曜日は下げに転じました。

金利動向は常に変動する要因を持っているので、金利に敏感に反応する建設、不動産などいわゆる金利敏感業種は幅のある動きを繰り返す可能性があります。短期の値幅を取りに行く場合は注目に値するでしょう。

建設業界の動向

不動産業界の動向

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暑さがピークを迎えつつある週末。久しぶりに日本に戻って横浜の赤れんが広場と山下公園の横を運転していると、余りの暑さで人が少なくがらがら。黙々と信号を出してくれる横に立つ電信柱も暑さで倒れそう。

あまり無理をせずに体にご自愛ください。


【各市場の動き】

株式指標

日経平均(円)32,192.75+33.47(0.10%)
TOPIX 2,274.63+6.28(0.28%)

為替

ドル・円 141.74 – 141.76-1.15(-0.80%)
ユーロ・円 156.05 – 156.10+0.04(0.02%)
ユーロ・ドル 1.1010 – 1.1014+0.0092(0.84%)

海外株式

NYダウ工業株30種(ドル) 35,065.62-150.27(-0.42%)
S&P500種4,478.03-23.86(-0.52%)
ナスダック13,909.238-50.477(-0.36%)

債券・金利

米10年国債(%)4.044-0.133
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