2024年11月6日の東京株式市場は大幅に続伸しました。終値は前日比1005円77銭(2.61%)高の3万9480円67銭で取引を終えました。トランプ氏当選が確実になるにつれて大きなトランプトレードが発生しました。
日中は激しい動きを続けました。ハリス氏の優勢が伝わった午後には大きな下落も見られましたが、トランプ氏に傾くと上げ幅を拡大しました。 波乱の続きでしたが、最後は4ケタ上昇で本日の高値付近で終りました。
||米国市場はトランプ期待で上昇
前日の米株式市場は反発して前日比427ドル28セント(1.02%)高の4万2221ドル88セント、ナスダックは反発して前日比259.187ポイント(1.42%)高の1万8439.171、S&P500種も反発して70.07ポイント(1.22%)高の5,782.76で取引を終えました。
【 今後の投資戦略】
予想したよりあまりにもあっさりと終わってしまいました。これだけ騒いで全神経をこちらに向けてきたトレーダーたちは虚しさも感じるほど、1日足らずでトランプ氏当選が決まりました。 虚しさを感じるのは3分ぐらいにしといて、ここからは金融市場の展望を考えて、自分の投資行動を改めるべきでしょう。
各金融市場に与える影響について分析して求められる行動についても解説していきます。
<まず全体的な見方について>
大きな絵を先みましょう
トランプ氏の政策は、減税や規制緩和を通じて経済成長を促進すると考えられます。一方、リスク要因としては前回の在任期間でも起きたことですが、貿易摩擦や財政赤字の拡大とインフレ懸念です。これらの要因が複合的に作用し、各市場の動向に影響を与えると考えられますので、単純に一つの分野だけを考えることはできません。特に、為替市場や商品市場では、政策の具体的な内容や国際的な反応により、変動が予想され、変動性も高まると思うので、注意が必要です。
【株式市場】
先高観に基づく投資判断が必要です。
米国株式市場: トランプ氏の勝利を受け、米国株式市場は先物を通じて上昇しています。S&P 500先物及び、ダウ平均先物は1%超、ナスダック100先物は1.5%を超える上昇幅を見せています。
特に、テスラやトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループなど、トランプ氏の政策に関連する企業の株価が大幅に上昇しています。当然といえば当然ですが。
展望:減税政策や規制緩和の期待から、中・長期的な上昇が期待されます。特に特定のセクターでより大きい上昇が見込まれます。もちろんその反対のセクターも存在します。下にまとめます。
- エネルギー、防衛、金融セクターが恩恵を受ける可能性が高いでしょう。
- 一方、環境関連や再生可能エネルギー企業は下方圧力を受ける可能性があります。
日本株式市場: トランプ氏の勝利により、日経平均株価が4万円を超える可能性が指摘されており、夜間先物取引ではすでに4万円を突破しています。特に、銀行株が買われる動きが見られます。また、円安傾向が強まれば、輸出関連企業の株価が上昇する流れが見られるでしょう。
展望:米国市場の動向に連動して変動する可能性が高いのはもちろんのことですが、現在注目されている分野は継続して資金が向かうと判断します。注意点もありますので、しっかりチェックしておきましょう。
- 米国の関税引き上げの影響が懸念されるので、トヨタ自動車などの自動車セクター、米国への依存が高いパナソニックなどの家電は慎重に値動きをチェックしましょう。
- 日本でも防衛関連は注目に値します。特にIHIはトランプ氏当選と共に、業績予想の上方修正と増配を発表する抜群のタイミングでストップ高まで進みました。 過熱感満載なので、少し落ち着いてから押し目を狙って買っていく戦略が良いでしょう。
【為替市場】
現状は154円まで円安・ドル高が進んでいます。
トランプ氏の勝利により、ドルが強含み、円安・ドル高の傾向が見られます。これは、トランプ氏の経済政策が米国経済の成長とインフレを促進し、連邦準備制度理事会(FRB)の金利引き下げ期待を後退させるとの見方が背景にあります。また、貿易摩擦のことも考慮に入れる必要があります。
展望:
- トランプ政権下での財政拡大政策や保護主義的な通商政策により、ドル高が進む可能性があります。
- 日米金利差の拡大も円安要因となる要因として動きます。
【長期金利】
現状はトランプ氏の財政拡大政策への期待から、米国10年債利回りは上昇(債券価格は下落)し、4.469%にまで達しました。これは、インフレ圧力の高まりと連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が影響しています。
展望:
- トランプ氏の財政拡大政策がそのまま進められる場合は、長期金利の上昇に拍車がかかる可能性が高いでしょう。
- ただし、FRBの金融政策や経済状況によっては、FRBと衝突を起こして上昇幅が抑制される可能性もあることを忘れないようにしましょう。
【商品市場】
ゴールドが急落、原油も下落していますが、下値が硬い状況です。
商品市場こそ経済政策に左右されやすいですが、中東地域の供給事情など国際的に絡むことも多いところなので、複雑な動きが予想されます。特に注目する部門はゴールドと原油。
- 金(ゴールド): ドルの強さが増すにつれて、逆相関にある金価格は下落傾向になりがちです。投資家がリスク資産に資金を移す動きも影響しています。 ただし、中国との衝突、中東地域など地政学リスクの高まりによる政治的不確実性の増加から、安全資産としてのゴールドの需要が増加し、価格が上昇する可能性も秘めています。
- 原油: トランプ氏のエネルギー政策が米国の石油・ガス生産を増加させるとの期待から、原油価格は下落しています。供給過剰への懸念が背景にあります。原油は短期と中・長期に分けて考える必要があります。
- 短期的には原油価格が景気拡大による需要拡大に期待した上昇が見られる可能性があります。
- 中・長期的には供給増加により価格が安定化する可能性があります。
【最後に考慮すべきリスク要因】
最大のリスク要因はトランプ氏、Himselfです。
ここで長々と述べているすべての予想は現在市場や世界に出ているファクトに基づいて私が分析したことに過ぎません。実際の市場反応は、トランプ政権の具体的な政策内容や実行力、国際情勢、経済状況など、多くの要因に左右されます。トランプ氏の突発的な行動や市場への影響を全く考慮しない政策変更は前回の在任期間中に証明されたものです。したがって市場には常に不安と変動性が高まる要因が混在することでしょう。
すべての投資の基本になることでもありますが、政治イベントによる市場の反応は予測が困難な場合がほとんどであるため、分散投資や定期的なポートフォリオの見直しなど、リスク管理戦略を適切に実施することは必須です。
【各市場の動き】
株式指標 | ||
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日経平均(円) | 39,480.67 | +1,005.77(2.61%) |
TOPIX | 2,715.92 | +51.66(1.94%) |
為替(日本時間 15:00) | ||
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ドル・円 | 153.99 - 154.01 | +1.72(1.12%) |
ユーロ・円 | 165.54 - 165.56 | -0.26(-0.15%) |
ユーロ・ドル | 1.0749 - 1.0751 | -0.0139(-1.27%) |
海外株式 | ||
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NYダウ工業株30種(ドル) | 42,221.88 | +427.28(1.02%) |
S&P500種 | 5,782.76 | +70.07(1.22%) |
ナスダック | 18,439.171 | +259.187(1.42%) |
債券・金利 | ||
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長期(10年)国債金利(%) | 0.980 | +0.050 |
米10年国債(%) | 4.282 | +0.003 |