【市場の総括】
2025年6月5日の東京株式市場は反落しました。終値は前日比192円96銭(0.51%)安の3万7554円49銭で取引を終えました。テクニカル的には200日移動平均線が抵抗となり、高値圏での警戒感から売りが優勢となりました。
しかし、本日の下落は単純なテクニカル要因だけではなく、米国で発表された経済指標の悪化が主要因となっています。
||米国市場はISM、ベージュブックの結果で下落
前日の米株式市場は5営業日ぶりに反落し、前日比91ドル90セント(0.21%)安の4万2427ドル74セント、ナスダックは3日続伸し、前日比61.531ポイント(0.31%)高の1万9460.489、S&P500種も3日続伸し、前日比0.44ポイント高の5970.81で取引を終えました。
ダウ平均は高くスタートしたものの、最終的には91円下落となりました。一方でナスダックは金利低下の恩恵でわずかに上昇し、市場内でのセクター格差が鮮明となりました。
この動きが日本市場にも波及し、主要銘柄が下げる一方で、半導体・ハイテク関連銘柄が上昇することで、日経平均の下げ幅は限定的な範囲にとどまりました。
【 今後の投資戦略】
米国経済指標の大幅悪化が市場を直撃
本日の市場動揺の最大要因は、米国の経済指標悪化でした。
ISM非製造業指数が予想大幅下回る
ISM非製造業(サービス業)指数が49.9と、市場予想の52を大幅に下回る結果となりました。この数字は4月の51.6からさらに悪化しており、景気減速への懸念が広がりました。
特に注目すべきは以下の項目です:
- 企業活動と生産が大幅減速:前月53.7から大きく落ち込み
- 新規受注がマイナス5.9:これは非常に悪い数字で、企業活動の縮小を示唆
ベージュブックも悲観的な内容
FRBが発行するベージュブック(地域経済報告書)も悲観的な内容となりました。前回報告から「経済活動がわずかに減速している」「見通しもわずかに悲観的になった」とまとめられており、全米12の地域連邦準備銀行の調査結果が一致して経済の弱さを示しています。
関税政策の負の波及効果が鮮明に
これらの指標悪化の背景には、トランプ政権の関税政策の負の波及効果があります。関税政策の不透明感により、企業は新規受注や事業活動を抑制せざるを得ない状況となっており、実際の経済データにその影響が現れ始めています。
米中間やアメリカ・ヨーロッパ間の関税措置が、物価上昇だけでなく企業活動の抑制にも繋がっていることが明確になりました。
どんな資産に注目すべき?
🔹 ディフェンシブ株(景気に左右されにくい会社)
例:ヘルスケア・電力・通信・日用品
不況でも使われ続けるモノやサービスを提供している企業です。
🔹 債券や債券ETF
例:TLT(米国長期国債ETF)、IEF(中期国債ETF)
金利が下がれば、債券価格は上がるので、チャンスになります。
🔹 大型グロース株(成長企業)
例:アップル、マイクロソフト、アマゾン、エヌビディア
金利が下がると、お金の借入れコストが減り、成長企業がより強くなる傾向があります。
【各市場の動き】
株式指標 | ||
---|---|---|
日経平均(円) | 37,554.49 | -192.96(-0.51%) |
TOPIX | 2,755.17 | -29.96(-1.08%) |
為替(日本時間 16:00) | ||
---|---|---|
ドル・円 | 143.17 - 143.18 | -0.91(-0.63%) |
ユーロ・円 | 163.34 - 163.35 | -0.72(-0.43%) |
ユーロ・ドル | 1.1407 - 1.1409 | +0.0021(0.18%) |
海外株式 | ||
---|---|---|
NYダウ工業株30種(ドル) | 42,427.74 | -91.90(-0.21%) |
S&P500種 | 5,970.81 | +0.44(0.00%) |
ナスダック | 19,460.489 | +61.531(0.31%) |
債券・金利 | ||
---|---|---|
長期(10年)国債金利(%) | 1.460 | -0.040 |
米10年国債(%) | 4.353 | -0.103 |