2025年6月10日の日経概況及び今後の展望

長期金利上昇が一服

本日のハイテク関連上昇の背景には、米長期金利の動向変化があります。先週金曜日に急激に上昇していた米10年債利回りが一服し、下落に転じたことで、金利上昇に敏感なハイテク株に買いが戻りました。

金利の高値切り下げパターンが継続すれば、ハイテク株への注目が続くとみられます。当分は冴えない金利動向が継続する見込みで、この流れが続けばハイテク関連銘柄には継続して注目が集まりそうです。

失速要因：TSMCショックで貿易制裁の影響露呈

日本市場後半の失速要因は、台湾の半導体大手TSMC関連のニュースでした。TSMCの5月売上は前年同月比40%増と好調でしたが、注目すべきは4月の最高記録から8.3%減少していることです。この減少の主要因は、最大顧客であるNVIDIAを含む米系企業の中国向け販売制限です。

トランプ政権の貿易制裁が半導体サプライチェーンの中核企業にまで影響を及ぼしていることが明確となり、この材料を受けて日本の半導体関連銘柄にも売りが波及しました。

貿易紛争の実体経済への波及

今回のTSMCの売上減少は、米中貿易紛争が単なる政治的な駆け引きを超えて、実体経済に深刻な影響を与え始めていることを示す重要なシグナルです。

世界最大の半導体受託製造企業であるTSMCの業績変化は、グローバル半導体サプライチェーン全体への影響を意味しており、日本の半導体関連企業にとっても看過できない事態となっています。

グロース市場：一人勝ちの展開

市場全体が失速する中、東証グロース市場は堅調な動きを見せました。

グロース250指数は1.52%上昇し、一人だけ力強い形となりました。実体も大きく、上ヒゲはついているものの下ヒゲが短く、まだ上昇する力があることを示すテクニカル形状となっています。

5月から継続して注目を集めているグロース市場の堅調さが際立っており、銘柄選定においてもグロース株への注目度が高まっています。

投資戦略

今週は重要な経済指標発表が控えており、荒れやすい市場環境が予想されます。しかし、金利動向の変化やグロース株の堅調さなど、好材料も存在しており、適切な銘柄選択により収益機会を捉えることが可能とみられます。

貿易制裁の影響を受けにくいセクターや、グロース市場での有望銘柄への注目が重要となりそうです。