【市場総括】
2023年8月3日の東京株式市場は続落しました。終値は前営業日比548円41銭(1.68%)安の3万2159円28銭。二日続けて米国の格下げにより大きく下げでスタート。米国の雇用関連指標の好調ぶりな結果も加わり、下げ幅を拡大する中、直近、上昇を続けてきた日本市場は利益確定のタイミングを待っていた要因もあり、米国株の急落はさらに下落幅を増幅させました。
本日も最後までしっかりお読みください。
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【米国市場の動向】
米国市場は下落しました。ダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落して、前営業日比348ドル16セント(1.0%)安の3万5282ドル52セント、ナスダック総合株価指数は続落して、前営業日比310.466ポイント(2.2%)安の1万3973.447、S&P500種株価指数も続落して前日比-63.34(-1.38%)の4,513.39で取引を終えました。
米国債の格下げと長期金利が市場の心理が悪化させました。前日、世界市場が格下げに反応して揺れると、米国市場も下落でスタートしました。下げ幅は大きくありませんでしたが、追い討ちをかけたのは雇用関連指標の結果。
7月のADP全米雇用リポートは非農業部門の雇用者数が前月比32万4000人増市場予想を大きく上回りました。FRBの利上げ停止観測が後退して長期金利が上昇、ナスダック市場は下落率が2%を超えました。
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【日本市場の動向】
日本市場は二日続けて米国の格下げにより大きく下げられました。米国市場では雇用関連指標の結果も加わり、長期金利が上昇したことでナスダックが下落したことも強い影響として伝わりました。
直近、上昇を続けてきた日本市場は利益確定のタイミングを待っていた要因もあり、米国株の急落はさらに下落幅を増幅させました。TOPIXも続落し、33.41ポイント(1.45%)安の2268.35で取引を終え、連日の高値更新から動きが変わりました。
業種別の動きは前日より悪化して33業種中、2業種のみが上昇、31業種が下落する全面安の様子が続きました。海運業、パルプが上昇して、食料品、倉庫などの内需系も底堅い動き。
前日は上昇した3業種の一つだった非鉄金属が下落率1位に転落、鉱業、輸送用機器も早速利益確定におされました。
【日本市場のテクニカル分析】
日経の日足は実体が下離れする下向きのギャップを2営業日連続であけました。前日の解説「明日も本日の安値を割り込んで下落するとともに、雲の中に入っていくと一目均衡表の各指標がレジスタンスに変わり始めます。」の通り、雲の中に入りました。
基準線と転換線はまだ重なっている状態で、前回の安値(7月28日、7月12日)を割り込んでないので、まだ暴落の領域に入っていません。両方の安値は支えられるポイント、その前に32,000円が支えになり下げ止まるかも確認のポイントです。
東証プライムの売買代金は4兆3391億円、売買高は17億9463万株。東証プライムの値下がり銘柄数は1666、値上がりは158、変わらずは11銘柄でした。
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【世界市場の総合分析: 今後の投資戦略】
市場は米国債の格下げで騒がれています。アジア、ヨーロッパ市場が揺れることを目撃した米国は、大幅な下落で同じ反応を見せました。「米国市場が意外と落ち着いた動きをすると、本日大きく売りが入った市場は巻き戻しによって踏み上げられる可能性もあります。」と解説した前日の前提とは反対に動きました。
今後の市場はどうなるのか?投資家にとってはこれが最も大きい関心事でしょう。参考のために過去の格下げ事例をみてみましょう。米国債の格下げは今回が初めてではありません。
格付け会社大手のスタンダード・アンド・プアーズが2011年8月5日に米国の長期債務格付けを「トリプルA」から「ダブルAプラス」へ1段階引き下げました。
ダウ工業株30種平均は2011年7月21日に直近の高値を形成して下げていたところに、拍車がかかり、発表から4日後の8月9日まで16.84%も下落しています。
では、今回もそのような動きになるかというと、その可能性は低いと予想します。前回は16.84%下落したと書いていますが、実際に発表された8月5日から8月9日までに限定する場合は8.23%で下げ止まり、切り替えしています。
今回の格下げが大きな混乱をきたさないと判断する根拠は2つ。
- すでに1回経験していることから、耐性ができている、よって対処の仕方もわかっている
- 前回の格下げでは米国の景気が大きく後退することはなく、今回も米国の景気が堅調で、景気後退に陥る可能性は低い
ただし、米国債の運用機関では、格下げによる米国債の一時的な売りがでるなど、落ち着くまでは時間が必要になります。それを考慮しても落ち着きを取り戻したら、再び上をぬくのではないか、と考えています。
日本市場への影響も気になるところですが、明日の雇用統計結果まで揃って、来週前半で材料の折り込みが済むと、買いの戦略で攻めたいところですが、やはり慎重なアプローチが要求されます。
ちなみに、2011年の格下げで日本市場は10月5日まで下げトレンドが続き、8月5日の高値から10月5日の安値まで、11.89%下げています。日本への影響がより深く、長いことがわかります。
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【各市場の動き】
株式指標
日経平均(円) | 32,159.28 | -548.41(-1.68%) |
TOPIX | 2,268.35 | -33.41(-1.45%) |
為替
ドル・円 | 142.81 – 142.83 | +0.18(0.12%) |
ユーロ・円 | 156.00 – 156.02 | -0.76(-0.48%) |
ユーロ・ドル | 1.0922 – 1.0924 | -0.0068(-0.61%) |
海外株式
NYダウ工業株30種(ドル) | 35,282.52 | -348.16(-0.97%) |
S&P500種 | 4,513.39 | -63.34(-1.38%) |
ナスダック | 13,973.447 | -310.466(-2.17%) |
債券・金利
米10年国債(%) | 4.086 | +0.056 |