【世界市場の総合分析: 今後の投資戦略】
||週末の米国市場は軟調
週末19日の米国市場は反落しました。ダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落して、前営業日比109ドル28セント(0.3%)安の3万3426ドル63セント、ナスダック総合株価指数も3営業日ぶりに反落して、前営業日比30.941ポイント(0.2%)安の1万2657.897で取引を終えました。S&P500種も反落して、前日比-6.07(-0.14%)の4,191.98で引けました。
債務上限問題を巡る協議について、悪材料が出たことが投資家心理を萎縮させました。共和党の交渉担当者が協議は生産的ではないため、中断すると発言したことが見通しの不透明感を高めました。
地域銀行の経営危機が再燃するとの懸念が広がり、銀行株が下げたのも重石となりましたが、下値は固く、下げ幅は限定的な範囲に留まりました。
|| 日本市場関連は軟調、底値は固く
まず、週末の日経平均先物の動向です。大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落、6月物は80円安の3万0820円で今週の取引を終えました。昼間にバブル崩壊後の高値をつけたことで利益確定の売りが出たのが下落要因ですが、下げ幅は限定的で、まだ強さを保ったままです。
同時に動いたシカゴ市場における日経平均先物は大阪取引所と大差のない要因で、小幅安で終わりました。6月物は前日比50円安の3万0855円で引け、大阪にくらべると35円安、底値が固いのも同一。
日本株のADR(米預託証券)は売りが出ました。債務上限問題で米国市場が軟調なことを受け、みずほをはじめ、3メガバンク株には売りが出て、ホンダ、パナソニック、シャープなどの製造業、ソニーが下げました。
|| 日本市場は利益確定をこなしながら底硬い展開を予想
日本市場は強含みの底硬い展開が予想されます。ポジティブ要因は二つ。
まず、好調な企業業績と銀行経営の硬さなど、ファンダメンタルの強さです。米国市場が地方銀行の乱高下が悩める場面があるなど、まだ銀行経営を巡っての不透明感が解消されない中、日本の強さが際立つことになっています。
次、旺盛な外国人買いの継続など良好な需給。5月2週まで集計された投資部門別売買高では外国人の買いが7週連続の買い越しで、特に買い越し金額は5月1週目から2週目にかけて3.5倍の上昇をみせました。
7週連続の買い越しの後でも買いの意欲は衰えておらず、来週もその流れは続くことでしょう。ただし、順調に上げ続けるばかりとは考えにくいでしょう。上値を抑える要因についても理解しておく必要があります。
|| 米国の景気動向が鍵
上値を抑える要因は米国の景気動向で、来週の注目材料は26日に発表される4月の米個人消費支出(PCE)物価指数。前月から減速するとの予想が出ていますが、予想を上回れば、利上げの可能性が高まります。
Fed Watchによる利上げ予想は先週より若干の上昇(0.25%の上昇可能性が15.51%から17.35%に上昇)。わずかな上昇ではありますが、PCEの結果が実際に前月より強い数字になる場合は、利上げ観測は一気に高まります。その際、米国にはハイテク株への下落圧力がかかり、日本市場は半導体関連が厳しい動きとなる可能性が高いので、26日はこの指標の結果に注目するのがよいでしょう。
先週の上昇には東京エレクトロン(8035)の急騰やアドバンテスト(6857)の上場来高値更新などが牽引しただけに、米国のハイテク株が打撃を受ける場合は、下げも早くなるので注意が必要です。
一方、PCEの結果が市場に圧力をかけない数字で終わり、債務上限問題も出口が見えてきた場合は、上記の値嵩株が見直されるとともに、割安で放置されているハイテク銘柄が見直されるので注目です。
例えば、レーザーテック(6920)は5月に入るまで下げ続けてきましたが、急騰しながら大きな下げトレンドが変わる兆しを示してきました。長く付き合える銘柄として注目してよいでしょう。
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【各市場の動き】
株式指標
日経平均(円) | 30,808.35 | +234.42(0.77%) |
TOPIX | 2,161.69 | +3.84(0.18%) |
為替
ドル・円 ※ | 137.96 – 137.98 | +0.15(0.10%) |
ユーロ・円 ※ | 149.07 – 149.12 | +0.01(0.00%) |
ユーロ・ドル ※ | 1.0804 – 1.0808 | -0.0012(-0.11%) |
海外株式
NYダウ工業株30種(ドル) ※ | 33,426.63 | -109.28(-0.32%) |
S&P500種 | 4,191.98 | -6.07(-0.14%) |
ナスダック | 12,657.897 | -30.941(-0.24%) |
債券・金利
米10年国債(%) | 3.681 | +0.032 |