空売りを始めた方が必ず知っておきたい「空売り規制」。株価が前日の終値から10%以上下落すると51単元以上の空売りができなくなるなどのルールが金融商品取引法施行令という法律によって決められています。
この記事では、空売り規制がどのようなものなのか、初心者の方にもわかるように詳しく解説します。空売りがどのようなものか知りたい方は、まずはこちらの記事をご覧ください。
参考:空売りとは?具体例つきでわかりやすく解説!下落相場でも利益を出そう
空売り規制とは?
空売り規制とは、わざと株価を下落させるといった不正な空売りを防ぐための規制です。空売りとは、証券会社から株式を借りて「売り」から取引をする取引手法で、株価が下落したときに利益が出ます。
株価は、一般的に上昇するスピードよりも下落するスピードのほうが早いといわれているため、空売りをうまく活用すれば大きな利益が狙えます。しかし、空売りにはいくつかの規制があり、守らないと罰則があるので注意が必要です。
空売り規制にはいくつか種類がありますが、主なものは3つになります。
- 空売り価格規制
- 明示・確認義務
- 残高報告
なかでも空売り価格規制は空売りで利益を出したい方に深く関わってくるため、本記事で詳しく解説します。
空売り価格規制について詳しく解説
空売りのなかでも、特に空売りで利益を出したいトレーダーに大きく関わる空売り価格規制について詳しく説明をします。空売り規制のポイントについて知っておかないと、思わぬ罰則を受ける可能性がありますので、しっかり確認しましょう。
空売り価格規制とは?規制されるとどうなる?
空売り価格規制とは、株価終値が前日より10%以上下落した時に直近の株価以下で51単元以上の新規の空売りが禁止される規制です。もし、注文を出していても、空売り規制に抵触すると、金融商品取引所で注文が失効します。
空売り価格規制になるタイミングは?
空売り価格規制は、前日終値より10%以上株価が下落したときに発動します。空売り規制が発動する株価のことを、トリガー価格(トリガー値段)といい、トリガー価格に抵触したときに規制が発動する方式をトリガー方式といいます。
当日の終値ではなく、前日終値から10%以上下落した瞬間に空売り価格規制の対象となります。
空売り価格規制のあと株価はどうなる?
空売り価格規制の後、一般的には空売り価格規制前に空売りした株の買い戻しが入って、株価が上がりやすいです。よって一般的に空売り価格規制がされた後は、それ以上の株価下落を見込みにくくなり、空売り価格規制前に空売りした人は損が出る可能性が高くなります。
しかし、買い戻しが終わると再び株価が下落することもあるので注意が必要です。空売り価格規制が入ると、株価が乱高下することもよくありますので、取引する際は、細心の注意を払うようにしましょう。場合によっては一瞬にして大きな損失になってしまう可能性もあります。
空売り価格規制はいつ解除される?
空売り価格規制が解除されるのは、翌日の取引が終了するまでです。翌々日には解除されます。ただし、翌日の取引が終了したら、確実に解除されるわけではありません。翌日もトリガー価格を下回っていると、空売り価格規制は解除されないのです。
具体的に説明をしましょう。
- 3月13日:空売り価格規制が発動
- 3月14日:取引終了時まで価格規制続行。株価はトリガー価格を下回る。。
- 3月15日:引き続き空売り価格規制が続行。株価はトリガー価格を上回っていた。
- 3月16日:空売り価格規制が解除
このようにトリガー価格以下の株価が連続すると価格規制が続くこともあります。
空売り規制に抵触する行為は?違反すると罰則がある
空売り価格規制に違反した場合は30万円以下の過料が課せられることがあります。空売り価格規制に抵触しないよう、空売り価格規制のルールについてしっかり理解する必要があります。空売り価格規制に抵触する具体例を2つ紹介するので、参考にしてください。
- 50単元以下の発注を繰り返す
- 51単元以上の発注をするために、複数の証券会社を利用する
それぞれのポイントについてわかりやすく説明をします。
50単元以下の発注を繰り返す
50単元以下の発注は、空売り価格規制の対象ではありません。ただし、複数回50単元以下の発注を繰り返すと空売り価格規制をすりぬけるために意図的に発注していると判断される可能性があります。結果的に空売り価格規制に抵触し、過料を課される可能性がありますので、注意してください。
証券会社の取引については、金融庁(証券取引等監視委員会)がチェックをしています。取引直後に指摘をされなくても、しばらく経った後に指摘される可能性もありますので、疑わしい取引については、空売り価格規制の有無にかかわらず行わないようにしましょう。
51単元以上の発注をするために複数の証券会社を使う
1つの証券会社での発注を50単元以下に抑えていても、複数の証券会社を使って合わせたときに51単元以上の発注となった場合は、空売り価格規制に抵触する可能性があるので注意しましょう。
例えば、以下のようなケースが該当します。
- 証券会社A:20単元発注
- 証券会社B:20単元発注
- 証券会社C:20単元発注
このような疑わしい取引は、空売り価格規制に抵触する可能性が高くなります。怪しいと思われるような取引を行わないようにするのが重要です。
まとめ:空売り規制に抵触すると罰金あり!価格規制には要注意
空売りは下落相場でも利益が狙える取引手法でが、空売り価格規制についてはしっかり理解しておく必要があります。悪意がなくても、空売り価格規制に抵触するような取引をした場合は30万円以下の過料が課せられる可能性があるので、安全に株式投資を行なえるようルールの勉強を怠らないようにしましょう。
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