ホーム » 配信情報トップ » BLOG » 投資知識 » 業種とはなに?東証の33業種について解説します 業種とはなに?東証の33業種について解説しますBLOG 投資知識 ニュースを読んでいて感じる疑問 株式投資をする時に必須になるのがニュースのチェック。毎日の市場状況をさまざまなメディアが分析して発信しています。その中で投資の初心者がぶつかり安いのが業種に関する説明です。例えば、「景気後退の懸念でディフェンシブ業種が買われました」、「円高が進み輸出関連業種が売られ、内需系の業種が買われました」などの解説を読んで、ディフェンシブとはなに?なんで景気後退で買われる?などの疑問を持ったこと、ありませんか? この業種シリーズでは業種の分類と考え方、そして市場状況に合わせた投資戦略までをわかりやすく説明します。明日からニュース読みが数倍は楽になるはずです。もちろん自分の業種選びにも活かせますよ。では、早速スタートしてみましょう。 業種はどうして重要? 株式投資をする上で、業種の動向や企業の業績を分析することは非常に重要です。業種ごとに異なる市場環境や企業の特性を理解することで、投資先の選択や投資判断をすることができます。そこで、日本の株式市場で分類されている33業種の概要を紹介します。 1.水産・農林業 農業、林業、漁業、水産業などを含む。日本の伝統的な産業であり、地方経済の重要な役割を果たしている。特に、水産業は日本の海洋国家として重要な産業であり、日本の株式市場でも一定の存在感を持つ。需要の安定性が高く、天候などの自然災害や政策変更の影響を受けやすい。 2.鉱業業 鉱山や採掘業などを含む。日本の鉱山業はかつては重要な産業であったが、現在は海外に生産拠点を移したり、代替可能な資源に転換するなどの変革を余儀なくされている。需要の変動が激しいが、原材料価格の上昇や新規鉱山開発の可能性によって株価が上昇することもある。 3.建設業 住宅や道路、鉄道、空港などの建設を行う。景気の影響を受けやすいが、公共事業や大型プロジェクトが進行すると需要が増える。 4.食料品業 食品や飲料などを生産・販売する業界。日本の食文化に根ざした企業が多く、国内市場においては一定のシェアを持っている。日本の大手スーパーマーケットやコンビニエンスストア、食品メーカーが含まれる。需要が安定しており、新商品の開発やマーケティングによって株価が上昇することもある 5.繊維製品業 繊維素材を用いた衣料品、寝具、カーペットなどの製造や販売などを行う業界。海外競合の影響を受けやすいが、新素材の開発や環境に配慮した製品の開発に注力する企業が増えている。 6.パルプ・紙業 パルプや紙の製造や販売などを行う業界。需要が安定しており、リサイクル技術の進歩によって需要拡大の可能性がある。 7.化学業 合成樹脂や医薬品、化学肥料などの製造や販売などを行う業界。幅広い企業が属している。原材料価格の変動や環境問題の影響を受けやすいが、半導体関連の素材開発など新製品の開発によって株価が上昇することもある。 8.医薬品業 医薬品の製造、販売を行う業種。大手製薬会社やジェネリックメーカーが含まれる。高い社会的意義があるため、需要が安定しており、新薬の開発や販売促進によって株価が上昇することがある。新薬の開発、承認などのニュースで株価が大きく動く傾向が強い。 9.石油・石炭製品業 石油・石炭の採掘、精製、販売を行う業種。石油精製業、LPG販売業、石炭業などが含まれる。日本はエネルギー資源に乏しく、海外からの輸入に依存しているため、価格変動や政治的なリスクに弱い。しかし、需要が安定しているため、一定の安定性を持つ業界である。 10.ゴム製品業 タイヤ、ホース、ベルトなどの製造、販売などを行う業種。日本の自動車産業と密接に関連しており、高い品質や技術力が求められる。景気動向や原材料価格の変動に左右されやすい傾向があります。景気が好調で自動車や建設業界が活況を呈していると、タイヤやホースなどの需要も増加し、業績が向上することが期待される。 11.ガラス・土石製品業 建築用ガラスや自動車用ガラス、セラミック製品、セメント、石灰などの製造や販売を行う業界。需要の変動が株価に大きな影響を与える。競合環境も激しく、価格競争が起こりやすい業界でもある。 12.鉄鋼業 鉄鉱石やスクラップを原料として鋼材を製造する業種。日本の代表的な業種の一つで、世界でも大きな存在感を持っている。原材料価格や需要の変動、国際情勢の影響を受けやすい。 13.非鉄金属製品業 アルミニウム、銅、亜鉛などの非鉄金属を原料とした製品の製造、販売を行う業種。原材料価格の変動が大きく影響し、需要と供給のバランスが崩れると価格が急騰することがある。また、非鉄金属製品の需要も経済の景気動向に大きく左右されるので、景気の変動によって株価が影響を受けやすい。最近の傾向としては、環境問題や気候変動の影響による注目度の高まりから、再生可能エネルギーへの転換が進む中で、太陽光発電や風力発電用の素材としても注目を集めている。このようなトレンドに合わせた技術開発や事業展開ができる企業に投資することで、将来的に株価の上昇が期待できる。 14.金属製品業 鋼材、非鉄金属、アルミニウム、銅などの金属を素材として利用し、各種製品を生産する業界。自動車、航空機、建設、家電、電子機器などの幅広い産業に利用されており、様々な分野において必要不可欠な産業。株価は業績や経済の動向に大きく左右されるのが特徴。原材料価格の変動や需要の変化によって、業績が変動するため、株価もその影響を受けやすい。 15.機械業 自動車、航空機、建設、産業用機械などの幅広い分野で使用される各種の機械を生産する業界。需要が工業生産や建設投資などの景気動向に大きく左右されるため、景気の変動に敏感な業界とされる。高い技術力を持つ企業が多く、世界的な競争が激しい業界でもある。 16.電気機器業 電気製品の製造、販売を行う業種。家電製品、電力関連機器、半導体製造装置などが含まれる。自動車メーカーや家電メーカー、半導体メーカー、通信機器メーカーなど、顧客が多様であり、それぞれの顧客からの需要変動に敏感に反応する必要がある。株価は需要増加や技術革新などの業界全体の好調さに加え、企業の業績や財務状況、為替相場や原材料価格などの外部環境の影響を受けやすい。 17.輸送用機器業 自動車、航空機、鉄道車両、船舶など、輸送に関する機器を製造・販売する産業。経済成長や需要拡大に伴い、輸送需要が増加すると需要が伸びる傾向がある。世界的な需要の変化、特に新興国での需要の拡大が期待されると株価が上昇する傾向があり、景気後退や自然災害などの影響を受けると、下落する傾向がある。 18.精密機器業 半導体製造装置、光学機器、医療機器、計測機器など高度な技術を要する機器の製造・販売を行う産業。研究開発に多額の投資を行い、高い技術力が求められると同時にグローバル市場での競争が激しい。世界的な需要の変化やグローバル市場での競争環境によって影響を受けるので、決算発表時には株価が大きく動くことがある。 19.その他製品業 他の業種に分類されない多様な製品を扱う産業であり、多岐にわたる製品が含まれます。製品の種類が多岐にわたるため、ビジネスモデルの多様性があり、販売チャネルや事業領域が広範囲にわたる企業も多い。業種によっては、製品の特性や市場環境によって上記の特徴や株価の動きが異なるため、一概に語ることはできないが、新製品の開発や需要の拡大が期待される場合には株価が上昇する傾向がある。 20.電気・ガス業 電力、ガスの発電・送電・配電・販売などを行う業種。大手電力会社やガス会社が含まれる。日本の電力業界は、地域独占的な電力会社によって独占的に運営されており、ガス業界においても、都市ガス会社が地域独占的に供給している。株価は、政策や自然災害によって影響を受けやすい。政府のエネルギー政策や原子力発電所の稼働状況、天候による需要の変化などが、株価に大きな影響を与えることがある。近年は再生可能エネルギーの普及や自然エネルギーの開発が進んでおり、それに伴い株価が変動することもある。一方、地域独占的な事業体が多いため、競合他社との価格競争による業績の変動は比較的少ないという特徴がある 21.陸運業 物流や旅客輸送など、陸上での運送業務を行う企業を指す。経済活動の活発化によって需要が拡大し、景気の影響を強く受けやすい。また、燃料価格や運賃の値動きにも敏感で、燃料価格が上昇すれば、収益が減少することになる。需要や経済指標の変化、燃料価格の変動、自動車産業全体の動向などに大きく影響される。 22.海運業 船舶による海上輸送や関連するサービスを提供する業界。世界的な貿易の動向に大きな影響を受けやすい。具体的には、船舶会社やコンテナターミナル運営会社、船舶建造会社、海上保険会社などが含まれる。市場環境によっては、船舶の供給過剰や需要不足によって価格競争が激しくなり、株価が下落することもありえる。 23.空運業 航空機を用いた輸送サービスを提供する業界。具体的には、航空会社や空港運営会社、航空機メーカーなどが含まれる。代表的な企業としては、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)など。高い技術力を要することや、燃料費や人件費が大きなコストとなることが特徴。また、空港の需要と供給のバランスが取りにくいため、需要変動に対するリスクが高いことも特徴の一つ。 24.倉庫・運輸関連業 物流に関わる事業を展開する業種。具体的には、倉庫業、運送業、物流会社、陸上運送会社などが含まれる。景気変動に敏感で、景気の先行指標とされている。景気が良いと需要が増加し、業績が向上することから、株価が上昇する傾向がある。 25.情報・通信業 情報処理装置、通信機器、インターネット関連サービスなど、情報処理や通信技術を活用したサービスを提供する企業が含まれる業種。革新的な技術やサービスを提供することが期待されているため、注目されることが多い業界。世界的に需要が高まっているため、グローバルな経済情勢によっても株価が左右されることがある。例えば、世界的に景気が悪化した場合は、企業の業績に悪影響が出るため、株価が下落することが考えらる。 26.卸売業 製造業者や輸入業者から商品を仕入れて、小売業や企業に卸す業種。商品の種類も多岐にわたり、業界ごとに特化した卸売業者が存在することが多い。景気動向や需要の変化に影響を受けやすく、景気が好調であれば需要が増加、反対に景気が悪化すれば需要が減少する。インターネットの普及により、オンラインでの購入が増加する中、卸売業者もネットショップを開設するなどして、オンライン需要に対応している。このような動きも株価に影響を与える。 27.小売業 商品を直接消費者に販売する業種。デパート、スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストアなどが含まれる。消費者の消費パターンや景気に影響を受けやすく、景気が好調な場合、小売業の売上高が増加、株価は上昇する傾向がある。オンライン販売の急速な普及や、新しいテクノロジーの導入、消費者のニーズや嗜好の変化など、市場環境が急速に変化するのも特徴の一つ。 28.銀行業 預金や貸付、外国為替業務、投資銀行業務などを行う金融機関のことを指す。顧客から預かった資金を、貸付や投資などのビジネスに活用し、利益を得ることが目的で、国内外の中央銀行や金融規制当局の監督下にあり、定期的な報告や資本規制などの厳格な規制を受けているのが特徴。金利や経済の動向に影響を受けやすく、たとえば、金利が上昇すると、銀行の融資や投資活動の収益が増加するため、株価が上昇する可能性がある。一方、金利が下がると、銀行の収益が減少するため、株価が下落する。国内外の経済の変化や政策の動向にも敏感に反応するのが特徴。 29.証券・商品先物取引業 証券や商品先物などの金融商品の売買や仲介を行う業界。投資家から手数料や売買差益を得ることが主な収益源であるため、市場の動向に強く影響を受ける。たとえば、株式市場が上昇すると、証券会社の取引量や手数料収入が増加するため、株価が上昇する。国内外の経済や政策の動向にも敏感に反応し、たとえば、国内経済の不況や政府の金融政策の変更が行われると、証券会社の業績に影響が出るため、株価が動く可能性がある。インターネットを通じた個人投資家の急増や、仮想通貨などの新しい金融商品の台頭により、証券・商品先物取引業界のビジネスモデルが変化している。 30.保険業 保険商品を提供し、保険料や保険金の受け取りを行う業界。保険商品の提供による保険料収入や、運用による保険資産の運用収益が主な収益源。一般的には、自動車保険や生命保険、医療保険などがよく知られている。市場の動向に影響を受けるが、業界特有の要因もあり、たとえば、天災や自然災害などのリスクに直面すると、保険会社の支払い負担が増加するため、業績に悪影響を与える可能性がある。金融商品や経済の動向にも影響を受けやすく、低金利環境が長期化すると、保険会社の運用収益が減少するため、株価が下落する可能性がある。 31.その他金融業 銀行業、証券業、保険業、信託業などに該当しない金融業の総称。主に、消費者金融、クレジットカード会社、リース会社、投資信託会社、ベンチャーキャピタル、投資アドバイザー、外貨両替業、仮想通貨取引所などが含まれる。主に個人向けの金融サービスを提供することが多く、銀行や証券会社などと比較して、比較的小規模で柔軟なビジネスモデルを持っていることが特徴。また、テクノロジーの進歩や新しいビジネスモデルの登場によって、競合が激化している業界でもある。「その他金融業」も、金融市場の動向に影響を受けるので、金利や為替相場の変動、マーケット全体の動向などが株価に反映されやすいのが特徴。 32.不動産業 土地、建物など不動産の賃貸、売買、管理を行う業種。住宅やオフィス、商業施設など様々な用途があり、その需要は比較的安定しており、固定資産であるため、流動性が低く、価格変動も比較的緩やかであるのが特徴。需要や供給の変動、政策の変更、金利の変動、自然災害などが株価に影響を与える。 33.サービス業 法律、会計、コンサルティング、旅行、教育、保険、人材派遣業、広告業、ITサービス業、など、多岐にわたる業種が含まれるため、最も曖昧な業種とも言える。消費者の需要や経済の動向に大きく影響を受けやすいが、多様な業種が含まれるため一概には言い切れない。 以上が、日本の株式市場における33業種についての説明でした。株式投資を行う上で、業種についての知識は非常に重要です。業種ごとに景気動向や市場の状況が異なるため、どの業種に投資するかによって投資リスクやリターンが大きく変わってくるからです。また、企業がどの業種に属するかは、企業価値の評価や業績分析にも重要な指標となります。同じ業種の企業同士を比較することで、業界のトレンドや企業間の競争力を把握し、投資判断を行うことができます。ただし、業種によっては、一部の大手企業が市場シェアを占め、競争が激しくないため、業界全体が成長しづらい場合があります。逆に、成長著しい業種には、新興企業が次々と参入し、競争が激しくなる場合もあります。情報・通信業はその代表例と言えるでしょう。これらの点も投資判断において考慮する必要があります。最後に、業種分類は国や地域によって異なるため、投資する国や地域における業種分類も確認する必要があります。次の記事では関心の高い米国の業種分類について説明します。これもまた楽しみにしてください! 関連投稿 2023年 6月22日の日経概況 2023年 6月19日の日経概況 2021年5月13日の日経概況