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週間展望および投資戦略2023年8月14日- 8月18日

【世界市場の総合分析: 今後の投資戦略】

日本はお盆休み、海外の投資家は夏休み。どちらの投資家も市場から離れて、閑散相場が確実視される市場。来週の展望について解説します。

||盛り上がりに欠ける上値の重い展開を予想

来週の日本市場は前述した通り、参加者自体が少ない上に、材料不足で盛り上がり欠ける、変動性を伴う展開を予想します。市場の最優先材料は「米国インフレ」、「米国長期金利の動向」です。

いずれも米国の材料ですが、全世界の市場がこの話題に連動しているので、日本市場もここから自由になれません。まず、「米国インフレ」について。具体的には「米国インフレの長期化懸念」とするのがよいでしょう。

週末に注目を集めていたのは米国のCPI(米消費者物価指数)とPPI(米卸売物価指数)。結果は?見事に市場予想を超えてきました。10日発表の7月のCPIは13カ月ぶりに上昇率が上振れ、11日発表のPPIも市場予想を上回りました。

|| 市場の動向は長期金利の動向次第

落ち着きをみせて、インフレのピークアウトを確信していた市場にとって水を差す材料。金曜日の米国市場は続伸しましたが、PPIの結果が上値を抑える要因となりました。

水曜日まで4.0-4.05%で落ち着きを取り戻していた長期金利は金曜日には4.178%まで急騰、上値を縮小して4.158%で終わったとはいえ、8月4日の高値に接近しており、ハイテク株は引き摺り下ろされる材料となりました。

インフレ圧力の高まりによって長期金利の高止まりが鮮明になる場合は、ハイテク株には継続的な逆風となり、ナスダックの影響が強くなっている日本市場には下方圧力としてかかるでしょう。

米国長期金利の推移

||円安効果に期待すべきか?

米国長期金利の上昇により為替市場では急速な円安が進みました。一時145円台にのせた円安は、来週も円安継続の流れが続く見通しです。YCC修正による日本長期金利の上昇が予想されるとしても、米長期金利の上昇スピードが上回り、日米の金利差はむしろ拡大、円安はゆっくりでありながらも進むと予想します。

円安は市場を救うか?

では、円安効果による株高がハイテク株への下方圧力を相殺して上回ってくれるか?という疑問が自然に湧いてきますが、それは難しいでしょう。前述した通り、半導体にオールインしたかたのような現在の日本市場に大きく影響するのはナスダックの動向。

さらに、ナスダックの先行指標とされるSOX指数の動きは要チェック。2023年8月に入ってからのSOX指数は下落に反転しており、6月23日の直近安値も割り込んでさらに悪化するかが懸念材料となっています。

SOX指数の懸念材料が顕在化する場合、日本市場にも大きな影響を及ぼし、ハイテク株、さらに対象が広がりグロース株全般への圧力になることも考えられます。

SOX指数の下落には要注意

||注目はインバウンド関連、バリュー株、原油関連

ここまでの材料をまとめて戦略を組み立てていくと、まずグロースを避けて、業績が注目されるバリュー株に着目。実際の7月中旬から先週まで業種別の当落率を集計すると、PBR1倍以下の低PBRのバリュー業種の上昇が目立ちます。

例えばPBR0.76の海運業が15.4%の上昇、PBR0.70の鉄鋼が12.3%の上昇などに対して、電気機器(PBR2.03)は-3.3% 、精密機器は1.3%の上昇に甘んじる様子。

業績発表が終わり、材料に欠ける相場ですが、業績結果を持っているからこそバリュー株の物色はチャンスありでしょう。

||訪日外国人客数の結果次第でインバウンドは盛り上がる

次に注目するのはインバウンド関連。3 連休前の市場を盛り上げたのは旅行、百貨店などのインバウンド関連。中国からの団体旅行が解禁されるとの報道が手掛かりとなりました。

16日に7月の訪日外国人客数が発表される予定で、6月の数を超えると(ほぼ超えると予想されていますが)、さらに期待は高まるでしょう。指数の発表前もそうですが、発表されてからも、結果が失望につながる場合でも短期のショートトレードには活用できるので、夏バテ相場においては救世主のような業種となるでしょう。ただし、一つ懸念材料は中国の経済指標が悪化しており、個人消費の回復が遅れていること。このまま中国の成長が停滞する場合は、インバウンドどころではない、世界的な問題となるので、中国経済の動向には常にアンテナを張っておく必要があります。

|| 猛暑、台風、洪水・・・気象異変でエネルギーの需要は高まる

8月9日に話題になったのは原油価の動き。2022年11月以来の高値で1バレル84ドルを突破しました。記録的な猛暑は原油に対する需要を高め、米景気の底堅さ、絶妙なタイミングでの産油国の減産継続が重なった結果でした。

その結果を受けて、ENEOS、INPEX、出光興産などの原油銘柄が急騰、上昇率上位を占めました。国際エネルギー機関(IEA)の月報では、「年末まで記録的な需要が続く」とコメントしており、当分原油価の高止まりは続きそうです。

原油関連業種は一時的な材料ではなく、中期的な注目が集まるので、これから年末にかけて物色の対象に入れ続けてよいでしょう。

原油は1バレル84ドルを突破

|| 暑い、暑い!なんといっても健康一番!

がりがりくんがほしい・・・・

温暖化ではなく、熱帯化だ!という宣言まで出ているくらいですが、本当に暑いですね。それだけでなく、日本は台風が連続で本土を直撃。一体どうなってるんだ、今年は?叫びたくなる気持ちですが、叫んで暴れる元気すらない暑さの連続です。

体調は大丈夫でしょうか?

トレードも健康あってからこそ頑張れること。無理せずに、適切にエアコンを使いながら(電気代の請求書はあまりみたくありませんが)、しっかり体調管理してください。

なんといっても健康が一番!

残った暑さを乗り越えて、また元気な姿で再会することを楽しみにしております。

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【各市場の動き】

株式指標

日経平均(円)32,473.65+269.32(0.84%)
TOPIX 2,303.51+20.94(0.92%)

為替

ドル・円 144.94 – 144.96+0.18(0.12%)
ユーロ・円 158.67 – 158.72-0.25(-0.15%)
ユーロ・ドル 1.0946 – 1.0950-0.0031(-0.28%)

海外株式

NYダウ工業株30種(ドル) 35,281.40+105.25(0.29%)
S&P500種4,464.05-4.78(-0.10%)
ナスダック13,644.849-93.137(-0.67%)

債券・金利

米10年国債(%)4.152+0.046
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