【市場総括】
2023年8月31日の東京株式市場は続伸しました。終値は前営業日比285円88銭(0.88%)高の3万2619円34銭。長期金利の下落が続き米国市場で追加利上げ観測が後退して上昇、買いが進みました。米国のハイテク関連が買われたことで日本市場も半導体、ハイテク関連を中心に買いがすすみました。中国のPMIが市場予想を上回ったことはインバウンド関連の買いを誘導しました。
本日も最後までしっかりお読みください。
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【米国市場の動向】
米国市場は続伸しました。ダウ工業株30種平均は4営業日続伸して、前営業日比37ドル57セント(0.1%)高の3万4890ドル24セント、ナスダック総合株価指数は4営業日続伸して、前営業日比75.554ポイント(0.5%)高の1万4019.311、S&P500種株価指数も4営業日続伸して前日比+17.24(0.38%)の4,514.87で取引を終えました。
前日に続き、雇用関連・経済指標がピークアウトの数値となり、市場は強気が継続しました。8月のADP全米雇用リポートは非農業部門の雇用者数は前月に比べ17万7000人増、市場予想を下回りました。
2023年4~6月期のGDP(改訂)が速報値から下方修正されたことも追加利上げに対する懸念を和らげ、上昇が続きましたが、上値は重く、上昇幅を減らして終わりました。長期金利の低下はハイテク関連への買いを促し、ナスダックは1ヶ月ぶりの高値で引けました。
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【日本市場の動向】
日本市場は米国市場で追加利上げ観測が後退して上昇したことを背景に買いが進みました。長期金利の下落が続き、米国のハイテク関連が買われたことで日本市場も半導体、ハイテク関連を中心に買いがすすみました。
中国の8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が前月から上昇して、市場予想も上回ったことはインバウンド関連の買いを誘導しました。長期金利の下落にも買われていた銀行業は流石に幅のある下げとなりました。
業種別の動きは33業種中、29業種が上昇、3業種が下落、1業種が変化なし。上昇が優勢な展開が続きました。前日強かった金融関連が弱く、銀行業、証券・商品先物取引が下落率1,2位を記録しました。その他、倉庫、水産などの内需系が限定的な上昇幅で下げに近い動きとなりました。
輸送用機器が円安の動きで継続して強く、陸運業、空運業など前日まで弱かったインバウンド関連が巻き返し、サービス業も強く伸びました。その他製品、鉄鋼、化学など景気敏感に属する業種の上昇が目立ちました。
【日本市場のテクニカル分析】
日経の日足は上髭の方が長い陽線を形成しました。上むけのギャップは本日で終了、それでも前日の高値と安値をしっかり切り上げる上昇の形で、抵抗になりやすい指標を上抜いてきました。
高値では一目均衡表の先行スパン1を抜けましたが、終値で接して終わっています。これが最後の抵抗で、安値では基準線に支えられています。RSI,ストキャスティクスなどのオシレーター指標はまだ過熱感を示さないところでさらなる上平均線そう余地はありますが、明日は週末で、午前中にはポジション整理の売りが出るので、乱高下が予想されます。
商いは4兆円を超えました。東証プライムの売買代金は4兆2191億円、売買高は16億6428万株。東証プライムの値上がり銘柄数は1244銘柄、値下がりは513銘柄、変わらずは77銘柄でした。
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【世界市場の総合分析: 今後の投資戦略】
米国市場で長期金利が急落することでハイテク関連銘柄への買いが続いています。ピーク時4.36%を超えていた金利が7営業日で−0.264と、-6.05%も下落しています。
ADP雇用リポートもJOLTに続いて市場予想を下回る結果になったことが背景にありますが、残すのは明日の夜発表される雇用統計。その結果まで労働市場のピークアウトを示すことになると市場はさらに上を目指す動きとなるでしょう。
もちろん、逆の場合も想定しておく必要があります。反対の結果になった場合は、直近の上昇が大きかった分、巻き戻しによる下げも早くなります。いずれにしても雇用統計発表前後してはFX、先物市場が乱高下するので、夜間に取引を行うトレーダーは注意が必要です。夜間取引を行わない方は、あえてチャートみずに、ぐっすり寝た方が健康によいでしょう。
市場にもう一つよい影響を与えたのは予想を超える中国の経済指標。いつも予想を裏切る内容になることが多く、データの信憑性も少しの課題を持っていますが、インバウンド関連は反応しました。
8月のPMIが49.7、前月から0.4ポイント上昇に加え、前年度比の同期間比でも49.4から0.3ポイント上昇、先週まで色国出ていた中国の景気に対する懸念を軽くしました。
時間は早いもので明日から9月相場、受け渡しベースではすでに9月相場がスタートしています。過去63年間のデータで検証すると、9月の月間騰落率は-0.5%と、最も不調な月となっています。
8月の末日まで順調に伸びてきた日経、9月のジンクスを破って33年ぶりの高値をまた更新しにいけるのか、注目が集まります。投資戦略は変更なしで、資金の流入が続いているハイテク、精密機器関連の動向に引き続き注目、短期的には出遅れ感のある非鉄金属、医薬品に注目すると共に、建設業、食料品、石油などの割高感には注意が必要です。
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【各市場の動き】
株式指標
日経平均(円) | 32,333.46 | +106.49(0.33%) |
TOPIX | 2,313.38 | +9.97(0.43%) |
為替
ドル・円 | 146.45 – 146.46 | ±0.00(0.00%) |
ユーロ・円 | 159.04 – 159.05 | +0.58(0.36%) |
ユーロ・ドル | 1.0862 – 1.0866 | +0.0042(0.38%) |
海外株式
NYダウ工業株30種(ドル) | 34,852.67 | +292.69(0.84%) |
S&P500種 | 4,497.63 | +64.32(1.45%) |
ナスダック | 13,943.757 | +238.626(1.74%) |
債券・金利
米10年国債(%) | 4.117 | -0.085 |