【世界市場の総合分析: 今後の投資戦略】
3万2000円台半ばに押し戻され、上昇か、下げ継続かの岐路にたった状態で週末を迎えて日本市場、来週はどんな動きになるのかを展望します。
|| 上値の重い展開を予想
日本市場は下値の固さを保ちつつ、上値の重い展開を予想します。中国と米国の景気見通しを立てる際にインプットとなる主要な経済指標のイベントが続きます。
次回のFOMCが19-20の予定で、来週の景気関連指標は追加利上げの有無を判断する重要な材料となります。注目度が最も高いのは13日発表予定の8月CPI(米消費者物価指数)、その結果によって市場は揺れ動くことになるでしょう。
続いてインプットになるのは14日の米8月小売売上高、米8月生産者物価指数(PPI)、15日は米9月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されており、神経質な相場環境を作るインプットとなる見通しです。
ナスダック指数のチェックポイント
|| 中国の景気動向、米中葛藤はリスク要因
米国の物価、雇用環境が気になる一方、中国の景気動向も大きな影響を与える要因です。インバウンドの期待が膨らんだところで不動産バブルの崩壊で一気に雰囲気が一変、不動産大手の資金難が中国の景気を冷やす可能性は十分あります。
そういう意味で15日発表される中国8月鉱工業生産、8月小売売上高の結果が中国経済の減速懸念を高めると、株価を押し下げられる要因となります。金曜日発表であるため、株価に反映されるのは週明けとなりますが、15日発表を睨んで積極的に買っていくことは期待しにくいでしょう。
その他、米中間の緊張が高まったことも少なからずの影響を与えます。政府機関に続き国有企業の職員を対象にiPhoneの使用を禁止するとの報道でアップルの株価は金曜日に少し反発したものの、2日間で6%強を下げました。
アップルの新製品発表が9月12日であり、このタイミングは狙った感満載の規制。毎年注目されるアップル関連銘柄の株価には少なからず影響を与えそうです。
アップルのみならず、米中の対決ムードは常にリスクを孕んでおり、緊張を高めるニュースが出る場合、市場はさらに変動性を高めるでしょう。
|| 国内は内閣改造が注目
国内で注目されるのは13日予定と速報があった岸田政権の内閣改造・自民党役員人事。支持率低迷に悩まされ、内閣支持率と与党第1党の政党支持率を足し合わせた、いわゆる「青木率」も50%を割り込んでいる岸田政権はサプライズを用意する可能性が高いと考えられます。
サプライズの定番メニューとなると、拡張的な財政政策で恩恵を受けると思われる建設をはじめとするインフラ系の業種・銘柄には注目が集まるでしょう。その他注目されるのはアップルの新製品に合わせて恩恵を受ける見込みだった銘柄群。
中国の”No iPhone”政策が広がりを見せると、アップル自身はもちろん関連部品メーカにも下押しの圧力がかかります。