【世界市場の総合分析: 今後の投資戦略】
2023年の9月も最終週を迎えます。正真正銘、最後の四半期、2023年も残すところ3ヶ月に突入します。最後の四半期を迎える一週間、相場を展望します。まず、今週の動きを予想するために重要なインプットとなる米国市場の動きからです。
|| 週末の米国市場は軟調
米国市場は続落しました。ダウ工業株30種平均は4営業日続落して、前営業日比106ドル58セント(0.31%)安の3万3963ドル84セント、ナスダック総合株価指数は4営業日続落して、前営業日比12.178ポイント(0.09%)安の1万3211.807、S&P500種株価指数も続落して前日比-9.94(-0.22%)の4,320.06で取引を終えました。
さらなる金融引き締めは選択肢から外れていないと発言したFRB高官の発言内容が追加利上げ、景気の冷え込みに対する警戒感を強め、投資家心理が悪化した結果、市場で売りが広がりました。
全米自動車労組(UAW)によるストライキ拡大のニュースも投資家心理を冷やしました。景気後退への懸念から景気敏感業種の売りが目立ち、資本財関連の業種も下げました。ハイテク関連では4%安を記録したテスラの下げが印象的でした。
|| 日本市場は底堅い展開を予想
米国市場は下押しの圧力が高まる中、日本市場は底堅い展開を予想します。9月22日金曜日の午後の動きがその根拠になります。朝方は米国市場の下落を背景に400円を超える下げ幅を記録していた市場は日銀の金融緩和政策の維持が決定されたことを背景に急速に下げ幅を縮小しました。
今週に入ってその背景が変わることはないので、米国市場とは相関が薄れ、下げにくい展開になることが予想されます。また、日本企業の業績に対する期待が相場を支えると要因の一つとなります。
ただし、念頭に入れておくことは米国市場の軟調とかけ離れて一方的に強くなることは難しいということです。米国市場が世界に影響を与える以上、日本市場だけが強さを保って一人勝ちが続くことは考えにくいからでしょう。
|| 米国長期金利の動向は常にチェック要因
市場を揺るがす要因は米国の長期金利。米国の長期金利の指標となる10年物国債の利回りは高止まりが続いています。週末の長期金利はさらに上昇して、2007年11月以来、16年ぶりの高水準となる4.5%まで記録しました。
長期金利の低下を招く強い要因が見当たらない現状において、高止まりは続きそうで、日本の国内金利も上昇しやすい背景を考えると、「日米揃っての長期金利上昇」というシナリオが浮かびます。
シナリオが顕在化すると年末に向けて日米揃って市場が下向く可能性は十分想定されます。グロース株にはさらなる逆風が吹き、金利敏感業種にも下押しの圧力がかかります。割安さに着目したバリュー株の物色が続くので、明確な切り返しがみられない限りはグロース株への転換は当分考えない方がよいでしょう。