【市場の総括】
2025年6月16日の東京株式市場は大幅に反発しました。終値は前週末比477円08銭(1.26%)高の3万8311円33銭で取引を終えました。不思議な上げという反応が多い中、この上昇がなぜ不思議と言われるか、その理由を理解するには、前週末の状況を振り返る必要があります。
16日の株価上昇の最大の要因は、外国為替市場での円安・ドル高基調でした。海外投機筋が日経平均先物に買いを先行させ、その後も断続的な先物買いによって、ほぼ一日を通じて上げ幅を拡大する展開となりました。
||米国市場は大幅な下落
13日の米株式市場は反落し、前日比769ドル83セント(1.79%)安の4万2197ドル79セント、ナスダックは反落し、前日比255.659ポイント(1.30%)安の1万9406.826、S&P500種も反落し、前日比68.29ポイント(1.12%)安の5,976.97で取引を終えました。
6月13日(金)の米国市場は、イスラエルがイランの核施設や軍事拠点を攻撃し、イランも報復攻撃を行ったことで中東地政学リスクが急激に高まり、大幅下落となりました。通常であれば、このような地政学リスクの高まりは日本株にも大きな下押し圧力となるため、週明けの日経平均は下落するのが自然な流れでした。
【 今後の投資戦略】
不思議高の要因
- まず注目すべきは、為替市場での円安進行です。安全資産への資金シフトで円高が進んで先週末の動きから一転、週明けのドル・円相場は144円台まで円安が進みました。
- 6月16日から2日間の日程で日銀金融政策決定会合が開催される予定でした。市場では、日銀の政策スタンスや今後の金融政策の方向性に関する何らかのヒントが得られるのではないかという期待がありました。
- 水曜日の高値から前日の安値まで、3日間で日経平均は1000円近く下落しており、自律反発期待の買いが入りやすい状況でした。
今後の戦略は?
イベントに注目する必要があります。まず、6月17-18日に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が注目ですね。FRBの政策スタンスと今後の金利見通しが、為替動向、ひいては日本株に大きな影響を与えるでしょう。
6月から7月にかけては、米国を中心に重要なスケジュールが盛りだくさんで、2025年相場にとっての勝負の時期になると予想されます。特に、7月初めには米相互関税「上乗せ分」の90日間停止の期限が到来するため、貿易政策の動向も重要な注目点です。
ここまでの要因をまとめて考えると、6月から7月にかけてはまだ変動性が高い動きが続きます。業績が安定して景気の影響を受けにくい、ディフェンシブ銘柄への投資を一定割合組み入れてください。
また為替市場では既に変動値が高い動きが続いていますので、円高または円安に極端に影響受ける銘柄への投資は慎重になるのが良いでしょう。
【各市場の動き】
株式指標 | ||
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日経平均(円) | 38,311.33 | +477.08(1.26%) |
TOPIX | 2,777.00 | +20.53(0.74%) |
為替(日本時間 16:00) | ||
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ドル・円 | 144.17 - 144.19 | +0.38(0.26%) |
ユーロ・円 | 166.53 - 166.54 | +0.68(0.41%) |
ユーロ・ドル | 1.1551 - 1.1553 | +0.0017(0.14%) |
海外株式 | ||
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NYダウ工業株30種(ドル) | 42,197.79 | -769.83(-1.79%) |
S&P500種 | 5,976.97 | -68.29(-1.12%) |
ナスダック | 19,406.826 | -255.659(-1.30%) |
債券・金利 | ||
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長期(10年)国債金利(%) | 1.445 | +0.045 |
米10年国債(%) | 4.402 | +0.039 |