2025年入って世界で最もホットな話題はDeepSeekの登場です。ChatGPTと比較されながら、AI競争の筆頭に立っている2つのツール、なにが違うのか?言われてもよくわかりませんね。本記事では根底にある考え方、“オープンソース”を中心に分析していきます。インターネット初期の話も交えながら面白く語っていきますので、あまり硬くならず、怖がらず、楽しんでください。
マイスペ―スを覚えていますか?
2000年代に入って日本のMIXIのように一世を風靡したマイスペースを覚えていますか?あれ?どこかで聞いたことがあるぞ?という方もいると思いますが、ほとんどの人の記憶からはすでになくなっているでしょう。実はフェースブックよりも大きいSNSだったというと、えっ?そんなのがあった?となりますね。今日はその歴史とオープンソースの重要性について考えてみます。
2000年代初頭、ソーシャルメディアの世界ではマイスペースとFacebook(現在はメタ)が激しい競争を繰り広げていました。マイスペースは当初、ユーザー数でリードしていました。日本でもマイスペースのサービスを利用した人はいたでしょう。日本ではMIXIがソーシャルメディアとして全盛期を迎えていた頃です。
マイスペースは2000年代初頭に非常に人気がありました。特に2005年から2008年にかけて、マイスペースは世界中で多くのユーザーを持ち、ソーシャルメディアのリーダーとしての地位を確立していました。Facebookは2004年2月4日に登場しましたが、はっきりいってマイスペースのライバルにも考えられない時期でした。
しかし、最終的にはFacebookが勝利を収めました。その成功の一因は、Facebookのオープン性にありました。
Facebookは、開発者向けにAPIを公開し、サードパーティのアプリケーションやサービスがFacebookプラットフォームと統合できるようにしました。この文章だけではITに詳しくない方には難しいので、少しわかりやすく説明します。
Facebookは、他の会社や個人の開発者が自分たちのアプリやサービスをFacebookと連携させるための「API」という仕組みを提供しました。APIは、異なるソフトウェアやアプリケーションが互いに通信するための「仲介役」と理解するのがよいでしょう。例えば、あなたが天気予報アプリを使っているとします。そのアプリは、天気予報に必要なすべてのデータや処理能力を持っているわけではありません。天気を分析するにはとてつもなく大きなデータと処理能力が必要になります。そのような分析はスーパーコンピュータ上で行われ、最終的な分析データを外部に提供します。このデータを提供する出入り口がAPIという仕組みです。
アプリはAPIを使って天気情報を提供するサーバーにリクエストを送り、サーバーからの応答を受け取ります。アプリ側でするのはそのデータに基づいて見やすいように整ったり、地域別に検索できるように並べ替えたりすることです。これにより、アプリは最新の天気情報を表示することができます。
話を本題に戻して、このAPIの公開によって、例えばゲームやショッピングアプリなどがFacebookとつながり、ユーザーがFacebookのアカウントを使ってログインしたり、Facebook上で友達と共有したりできるようになりました。APIを公開しない場合は、すべて自前で開発することになり、独自で一貫性のあるサービスが提供できるようになります。その代わり、外部のアイデアと拡張性が阻害される閉鎖的な構造になってしまうデメリットがあります。
このオープンなアプローチにより、Facebookは迅速に新しい機能やサービスを提供でき、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができました。ここからFacebookの躍進がスタートします。一方、マイスペースは閉鎖的なプラットフォームであり、開発者が自由に機能を追加することが難しかったため、競争力を失いました。
オープンソースの重要性は、百科事典の進化にも見られます。かつて、ブリタニカ百科事典は最高の権威を持つ百科事典として知られていました。1768年に初版が発行され、長い間、学術的な情報源として高い評価を受けていました。子供の頃、本棚に数十冊のセットがずっしりと並んでいる風景を覚えている人も多いでしょう。しかし、情報技術の進歩とともに、ブリタニカはデジタル化され、オンライン版が登場しました。
ブリタニカは、110人のノーベル賞受賞者や5人のアメリカ合衆国大統領を含む4,000人以上の寄稿者と専任の編集者約100人によって書かれており、その内容の質と信頼性は非常に高かったものでした。
次回の記事でブリタニカを窮地に追い込んだ要因と百科事典の歴史について紹介します。
楽しみにしていてくださいね。