米国株の急落、その背後で何が起きている?~今後の戦略と日本市場のヒントも
みなさん、今週の相場には本当に驚かされましたね。調子良く上昇していたアメリカ市場が、8月1日に突然大きく崩れました。「昨日まであの強さはどこへ…?」と、画面の数字を二度見した方も多いのではないでしょうか。
何がそんなに市場を動かしたのか?
今回の急落、要因はいくつかあるのですが、特に大きなインパクトがあったのは「雇用統計の悪化」。最近まで「アメリカは強い!」と思われていたものの、7月の新規雇用の伸びが大きく鈍り、加えて過去分も下方修正。雲行きが大きく変わった瞬間です。その上、トランプ大統領が突如「追加関税」を発表。すでに貿易摩擦で神経質になっていた市場が、一気に崩れ始めました
[Fact]
米国株は8月1日(金)、主要3指数がそろって大幅下落。
ダウ平均:前日比約-540ドル(-1.2%)
S&P500:-1.6%(過去2ヶ月で最大下落幅)
ナスダック:-2.2~2.5%
急落の主因は2つ
雇用統計の大幅悪化:7月の新規雇用は市場予想(11万人増)を大きく下回る7万3,000人増。失業率も上昇、数か月前のデータも下方修正。
トランプ政権の追加関税発表:複数の貿易相手へ新たな高関税を課し、サプライチェーンや企業コストの混乱が一段と意識された。
円キャリートレードの巻き戻し:日銀の金融政策修正で、ドル買い・株式投資が一斉に手仕舞いされ、急落が加速したとの指摘も。

どんな業種・銘柄が大きく影響を受けた?
特に痛手を受けたのはハイテクと消費関連株です。Amazonは決算が不調で-8%超、Appleも2.5%下げました。半導体や消費財、関連小売も大きく売られるなど、「強い」と思われていた銘柄の脆さが露呈。S&P500の中でも一般消費財など“景気敏感セクター”の下落が目立ちました。
今後8月以降の米国市場の見通し
もともと夏相場は動きが鈍りやすい季節。ですが、今年は貿易摩擦や景気減速リスクがさらに高まっており、不安定さが続く見方が優勢です。FRBは9月利下げの観測が高まっていますが、それも裏返せば「景気に警戒信号が灯っている」証左。そのため、短期的な反発があっても本格的な回復には慎重さが必要です。
昨年の同じ時期との違い
昨年(2024年)はインフレ沈静化&積極的な利下げ観測で相場は堅調でした。今年は企業業績の頭打ち、貿易摩擦・金利転換点など多重リスクがかかっているため「去年と同じ感覚」では対応しきれません。
日本市場への影響
米国株の下落を受けて、日経平均・先物も急落。特に半導体・自動車など米国依存度の高い外需関連が大きく売られ、金融株へも波及。反面、ディフェンシブ銘柄や高配当株、内需主導の中小型成長株には資金がシフトしています。
投資家が今意識したいスタンス
「突然の値動き」はプロでも身が引き締まるもの。
米国株中心なら“ハイテク1本槍”は削減を。セクター分散とヘルスケア・生活必需品などディフェンシブ株を意識。
日本株のみの方は、外需系は注意して内需・高配当・資本効率改善銘柄に注目。円高にも備えを。
日米両方持ちなら、ETF・先物など金融商品も活用。ボラティリティは脅威でなくチャンスと考えて。
今後注目すべき具体的な6銘柄と投資戦略
【米国株】
Advanced Micro Devices(AMD)
- AIやデータセンター向け半導体需要増。業績好調期である一方、ボラティリティも大きい。
- テクニカル的には押し目買い狙い、75ドル前後で仕込み直し。決算後の動きを見てリスク管理徹底。NextEra Energy(NEE)
- 再生エネルギー推進&ディフェンシブ色で景気後退局面にも強い。
- 配当着実で長期のインカム狙いに◎。50日移動平均線を下割れたら一部利確推奨。Salesforce(CRM)
- 生成AI・クラウドの潮流加速、利益率も改善。
- 200日移動平均線の上維持を確認し、中期分散買い。決算での押し目拾いも有効。

【日本株】
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任天堂(7974)
- 夏の消費シーズン、新作IP強化。業績期待&ROE高さも魅力。
- 上昇トレンドに乗った押し目を待ち、イベント期は短期売買も。 -
NTT(9432)
- 高配当と構造改革進行で大型資金が入りやすい。ディフェンシブの代表格。
- 200日線前後の値固めで買い増し、安定成長の長期投資も。 -
エア・ウォーター(4088)
- インフラ・医療・産業用ガス大手で景気耐性あり。PBR1倍割れの割安成長。
- 25日線を意識しながら、下値でコツコツ拾い、中長期で配当も享受。
