逆指値注文は、単純に指値注文の逆だと思っていませんか?逆指値注文の意味を勘違いしたまま覚えている方も少なくないでしょう。この記事では、逆指値注文とは何か、指値注文の仕方に加え、発注の具体例を交えながらわかりやすく説明しています。
また、指値注文をどのような場面で使えばよいのかという活用方法も紹介しています。逆指値注文とは何かを正しく理解することで、よりリスクの少ない投資が可能です。ぜひ参考にしてください。
逆指値注文とは?指値注文の一種ではない!
逆指値注文は名称から指値注文の一種としてとらえられがちですが、実際は異なる注文方法です。逆指値注文の特徴と指値注文との違いについて解説していきます。
逆指値注文とは?
逆指値注文とは以下のような注文方法です。
- 株価が指定金額以上になったら買い注文
- 株価が指定金額以下になったら売り注文
通常の指値注文や成行注文とは逆の注文方法になるので逆指値注文といわれます。
指定価格に達すると自動で発注が行われるので、 お勤めなどで株価変動のチェックが難しい人は、あらかじめ逆指値注文をすることによりチャンスや損失を逃すことがなく売買が可能です。
逆指値注文は指値注文と組み合わせることも可能です。これを逆指値付通常注文 (OCO注文)といい短期で利益確定したいけど損失拡大も回避したい場合に用いられます。
指値注文との違い
指値注文とは以下の注文方法になります。
- 指定した株価以下で購入したい場合
- 指定した株価以上で売却したい場合
指値注文することにより、市場価格よりも安く購入できる場合や高く売却できる可能性があります。
指値注文は逆指値注文に対して逆の意味合いでとらえがちですが、単純に逆ではありません。逆指値注文では、株価が希望する価格になるまで発注されることはないからです。逆指値の発注は証券会社が監視をおこない、希望価格に到達した時点で発注されます。
また逆指値注文は成行で注文を行えますが、指値注文はあくまで指値で発注されるので市場次第で約定しない可能性を考慮する必要があります。価格をとにかく重視したい場合は指値注文で、約定することを重視したい場合は成行で注文するのがいいでしょう。
また指値注文は、現在の株価水準から近い価格で行わないと約定が難しいので、リアルタイムで市場の動向をチェックできる人に向いています。
逆指値の注文方法
逆指値の注文方法ですが、まずは「売り」と「買い」どちらもトリガー価格 (逆指値条件) を設定することが必須です。トリガー価格の項目は証券会社によりますが、〇〇円以下になったら、〇〇円以上になったらと記載されていることが多い傾向です。
トリガー価格を設定したあとは、指値か成行を選択します。指値の場合は、指値 (予約価格) の設定が必要で、板の状況によっては約定しない可能性もあるので注意が必要です。成行の場合は、トリガー価格に株価が到達したら売買が成立して約定されます。
また注文の際には、期間設定が可能で「当日中」、「今週中」、「期間指定」が選択できます。「期間指定」の最大設定日が証券会社により異なります。
逆指値注文の例
実際に逆指値で注文する例を売り注文と買い注文に分けて解説していきます。「売り」「買い」どちらも指値と成行の発注が分かれているので状況にあわせて選択する必要があります。
逆指値での売り注文の例
■株価が現在505円銘柄に対して、500円以下になった場合に「売り」の逆指値注文を500円の指値で発注した場合
株価が500円まで下落した時点で発注が入り約定します。ただし指値の場合は、板の状況や売却株数によっては約定しない可能性もあるので損切りなどの場合は慎重に行いましょう。
■株価が現在505円銘柄に対して、500円以下になった場合に「売り」の逆指値注文を成行で発注した場合
株価が500円まで下落した時点で発注が入り約定します。成行なのでほぼ約定されますが相場の急落によっては想定以上の安値で約定することもあります。
逆指値での買い注文の例
■株価が現在500円銘柄に対して、510円以上になった場合に「買い」の逆指値注文を510円の指値で発注した場合
株価が510円まで上昇した時点で発注が入り約定します。ただし指値の場合は、売りと同様に板の状況や購入株数によっては約定しない可能性もあります。
■株価が現在500円銘柄に対して、510円以下になった場合に「買い」の逆指値注文を成行で発注した場合
株価が510円まで上昇した時点で発注が入り約定します。成行なのでほぼ約定されますが、相場の急騰や購入株数が多い場合は想定以上の高値で約定する可能性もあります。
逆指値の活用方法
逆指値はどのようなシチュエーションで利用するのか活用方法を解説します。どちらも自動で発注されますので事前に設定しておけば、リスクを抑えつつ効率的な投資が可能です。
利益を確定する
保有株にある程度の含み益が出ている場合、急落に備えて一定の利益確保のために逆指値で売り注文が有効です。
例:500円で100株購入し現在600円の状態で利益確定したいけど、まだ上昇の気配がある場合
逆指値590円でトリガー価格を設定し、585円で指値注文を発注する。
株価が下落して590円になっても、逆指値注文が発注されて585円に下がった時に約定されます。お勤めなどで市場のチェックが困難な人や複数の銘柄を短期売買する人には効率的に保有株を決済できます。とくに短期の場合は値動きが激しいときがあり、大きな損失を防止するためにも逆指値注文は有効な方法です。
損失のコントロール
投資では利益確定以上に損失を減らすことが重要ですが、逆指値注文では損失のコントロールも可能です。想定が外れて株価が高値と安値を切り下げながら下落した場合は、逆指値で売り注文を行なうことによって損失を抑えられます。
例:500円で100株購入し現在490円まで下がり、このまま株価が下落しそうな場合
逆指値480円でトリガー価格を設定し、成行注文を発注する。株価が480円になった時点で逆指値注文が発注されて480円以下で約定されます。
指値注文だと買い注文と売り注文の割合によっては売却が成立しない場合があり、約定しないとさらに含み損が増える可能性もあります。損切りを行う際は、確実に売却できるように成行で発注しましょう。
また逆指値注文では通常注文と組み合わせることにより、株価が上昇しそうなときに安く買いたい場合や値が下がりそうなので空売りを仕込みたい場合にも効果を発揮します。
まとめ:逆指値を活用してリスクをコントロールしよう
逆指値注文は売買局面こそ指値注文の逆ですが、取引方法としては異なるものだということを認識してください。逆指値注文ではトリガー価格と指値か成行の選択が必要で、トリガー価格になるまで発注されることはありません。逆指値を上手く活用すれば上昇相場の銘柄を買いそびれることもなく、下落局面での損失を抑えられるかもしれません。
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