ホーム » 配信情報トップ » BLOG » 日本の東証33業種と米国11セクターの比較
日本と米国の業種の比較

日本の東証33業種と米国11セクターの比較

はじめに

全回の記事では日本と米国の業種について詳しくみてきました。今回の記事では、日本の東証33業種と米国の11セクターの違いについて詳しくみていきましょう。日本の業種と米国のセクターを比較し、それぞれの特徴について解説していきます。

<参考>業種とセクターの解説記事をまとめました

日本の東証33業種とは?

業種とはなに?東証33業種

米国の11セクターとは?

米国の11セクターとは?

日本の東証33業種と米国の11セクターの比較

日本の東証33業種と米国の11セクターを比較すると、いくつかの違いがあります。

違い1.数字の通り、数の差がある

まず、分類しているセクターの数に差があります。米国の場合、GICSに基づく11のセクターで産業を分類していますが、日本の場合は33の業種に分類されています。米国はグローバル基準に合わせていますが、日本の業種は日本独自の基準といえます。

つまり、証券コード協議会(全国の証券取引所と証券保管振替機構によって運営)が、「日本標準産業分類」を基本として「33業種」を定めたものが現在の分類です。数が違うので、当然米国のセクターはより広範囲な産業をカバーしていますが、日本の業種はより細かく分類されているわけです。

例えば、日本の場合、金融関連の業種は銀行業、証券・商品先物取引業、その他金融業がそれぞれの業種として分類されていますが、米国の場合は金融セクターに統合されています。

日本はメインビジネス、米国は収益の主な源が分類の基準

もう一つの大きな違いは分類の基準です。日本の33分類は、企業の主な事業に基づいて分類されています。それが収益の中でどれだけ占めているのかは別にして、メインのビジネスがなんなのかで分類されています。一方、米国基準のGICSは、企業の収益の主な源に基づいて分類されています。つまり、GICSは、企業がどのようなサービスや製品を提供しているかではなく、どのようなビジネスモデルを持っているかに基づいて分類されます

各セクターが占める割合は国によって異なる

当然のことですが、両国の経済状況によってセクターの構成比率が異なる傾向があります。例えば、日本は世界的な医薬品メーカーが多数存在し、医薬品業種は株式市場において重要な役割を果たしているなど、製造業が業種区分の中心となっています。反面、米国は情報技術やGDPの7割を占める個人消費を反映して、消費財などのセクターが重要な役割を果たしています。

日本の業種区分にみられる問題点

国の事情によってセクターの構成比率が異なるということは説明しました。実は日本の業種区分にはいくつかの問題点があります。ここではその問題点について考えてみたいと思います。

問題点1. 国際的な比較が困難である

一番の問題点はこれです。上述したように日本の業種分類は日本独自の分類方法で世界どこにも存在しません。他の国際的な業種分類とは異なるため、国際的な比較が困難であることがあります。これは、日本の企業が国際的な競争環境において不利になる可能性があるということを意味します。

問題点2. 変化する産業構図に対応できてない

日本の業種分類は、古くから存在する業種、つまり製造業を中心に構成されています。しかし、現代のビジネス環境では、新しい業種が次々に登場しており、既存の業種の枠に収まらない企業が増加しています。このため、日本の業種分類は、現代のビジネスに対応することができず、投資家にとって情報が不足している場合があります。

問題点3.業種の分類が複雑すぎる

日本の業種分類は、33の業種に分類されているため、一般的な国際的な分類よりも細分化されています。このため、企業の業種が複数の業種にまたがっている場合があり、比較や分析が難しくなっています

日米の業種区分、いかがでしたか?これで、各国の市場構成、業種については詳しくなったのではないでしょうか。

投資家は、各セクター/業種の動向を把握し、市場状況や業績の動向を分析することで、適切な投資先を選ぶことができます。しかし、セクターや業種によっては、市場の状況や景気動向に大きく影響を受けることがあるため、投資家はリスクを適切に把握し、投資判断をする必要があります。

次の記事では、このように違う角度から業種を分類してみたいと思います。国ではなく、景気が変化する時に違う反応を見せるという区分で業種について考えて投資家の具体的な行動についても説明します。

次の記事:ディフェンシブ業種と景気敏感業種

TBLオンライン教育センター
お買い物カゴ