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世界一優しく先物とオプションを学ぶ入門シリーズ、7回目。
この桃の話でまた違うオプションについても考えてみましょう。
これまでの話をまとめて考えてみよう
美味しい桃を買うルールは、7月にできる桃を5,000円で買う権利を1箱当たり50円で販売する。
「私は10箱を買いたい」という場合はこの権利の価格50円x10箱で500円払うと、
夏になって私がこれを見て5000円で買うかどうかを決めることができる。
どうでしょうか、イメージすることができるでしょうか?
先物でも説明したロングとショートの話をしましょう。
なにかを買うことを英語ではロングと言います。
この場合はコールオプションの買い、コールオプション・ロングと呼びます。
そして、売った人はコールオプションの売りですので、コールオプション・ショートといいます。
コールオプション取引の概要はいいですね。
私にこれを提案してくれたのは良心的で良かったんだけど、農家の方は心配になりますね。
このような仕組みでお客さんにおいしいものを食べていただこうということはいいことなんだけど、
価格が下がってもこの桃を売らないといけないというのが農家の立場です。
そうすると実際に桃の価格が下がってしまったら、収入は減っていきますね。
農家はそれをどうすればいいのか、ちょっと心配になりますね。
そこで農家はこのようなおいしい桃の値段を守りたい、桃の値段が下がることに備えたいと考えています。
そして、日頃から知り合いになっている保険会社に、桃の値段が下がるのがちょっと心配なんです、
何かいい方法はないんでしょうか? という相談を持ちかけます。
保険会社からこういう提案が来ました。
桃の値段が下げすぎるのは、ちょっと防止しましょう。
いくら下がっても4,000円で売る権利がついた保険はいかがでしょうか、という提案が来ます。
「うん??」農家の頭ははてなマークでいっぱいです。
いったい何を言ってるの?とよく聞くと、こんな話でした。
7月になって桃ができあがりました。明らかに出来がよくなくて、いい値段がつきません。
桃の値段は、4,000円、3,000円、2,000円と、どんどん下がっていく状況です。
これは怖い!しかし、大丈夫。
保険会社が発行してくれたこの保険を使えば、3, 000円、2,000円になっても、
この保険を使うことで(権利を行使する)、桃を4,000円で売ることができるということです。
これは心強いですね。
その反対のケースも考えてみましょう。品質が良くて、4, 000円を下回らない、
逆に値上げをして5, 000円で出荷してもいいくらいです。
この状況でわざわざ4,000円で売る権利がついたこの保険を使いますか?
使う理由がないですね。その時は何をすればいいでしょうか?
この権利を使わずに高い価格で売ればいい。
その代わり、この保険を買うために支払った金額だけ放棄すればいいだけの話ですね。
魅力的な話だと思いませんか?
じゃあ、保険会社は何を売っている?
下がることに対する保険を売っていることになります。
4,000円で売る権利を1箱当たり60円という価格で販売します。いかがでしょうか?という提案が来ました。
あなたならどう思いますか?
相当、魅力的な話なんですね。4,000円まで下がるのはいいけど、
4,000円より下がっていくと、その下がった分に対して補償してくれるということですね。
今回は10箱ですので、保険金600円(10箱 * 60円)をかけて、まず10箱分を下がることに備えたい。
この結果は、7月の出来を見てから、権利を使うかどうかを決定する、という条件です。
これも2つのケースで考えてみましょう。
権利を使うときと、権利を使わずに放棄する時、どんなときに権利を使うかです?
まず、どんな状況になれば権利を使うのか?
例えば、天気があまり良くなくて、出来が悪いのがわかってきました。
品質が落ちて3, 000円まで値段が下がってしまいました。
つまり、市場に持っていって桃を売ろうとしても1箱3,000円しか値段が付いていません。
農家の方が取る行動は?
市場の価格が下がっていても大丈夫!
4, 000円で売りますという権利を喜んで使用します。
保険があってよかったと喜びたい場面ですね。
そうすると、今度は権利をどんな時に使わないのか?
これは簡単ですよね。
桃の出来が非常に良くて、値段が上がっちゃいました。市場に持っていったら、5,000円で売れますというところです。
そうすると自分だったらこの保険を使って売りますか?
わざわざこの権利を使って、4,000円で売るような人はいないですよね?
市場で普通に5,000円で売れるので権利は使う必要がない、これを放棄するだけです。
そうすると保険会社は、はい、保険金600円はいただきます、ということを言います。
下がっていく、押し込む(PUT)と考えてみてください。
値段が押し込まれて(PUT)下がってくるときに対するプロテクト、これを守る保険になっている、
これがプットオプションです。