前回、内需関連株の中でも最も注目される業種【小売業】について解説しました。今回は日銀の利上げに伴い注目されている業種【金融業】について解説していきたいと思います。
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金融業は、金利や景気動向に強く影響を受ける業種で、内需型と外需型に分けられます。特に、日本国内の金利政策や個人・企業の資金需要に左右される内需型金融業は、景気サイクルを考慮した投資が重要です。
金融関連株
金融業の特徴
✅ 景気敏感セクター → 金利・景気・金融政策の影響を受けやすい
✅ 安定収益性(特に銀行・保険) → 預金・融資・手数料収入が中心
✅ デジタル化の進展 → フィンテックの台頭により変化が加速
✅ 景気動向と連動: 国内景気の行方に左右されます。
✅ 配当利回りが魅力:金融株は高配当の銘柄が多く、配当目的で長期保有する方が多いで
金融業セクターは、日本経済の基盤を支える重要な業界であり、日銀の政策や世界経済の動向に大きく左右されます。
セクター
- 銀行業(Banking)
メガバンク、地方銀行、信用金庫・信用組合・ネット銀行 - 証券業(Securities)
証券会社・投資銀行 - 保険業(Insurance)
生命保険会社・損害保険会社・共済組合 - 資産運用業(Asset Management)
投資信託(ファンド)運用会社・年金基金・ヘッジファンド・プライベートエクイティ - クレジットカード・リース業(Consumer Finance & Leasing)
クレジットカード会社・リース会社 - フィンテック(FinTech)
決済サービス・仮想通貨・ブロックチェーン企業・ロボアドバイザー
注目すべき指標
- 日銀の政策金利発表
- 長短金利差(10年国債利回り – 短期金利)
- GDP成長率
- 企業の資金需要(貸出動向)
- 失業率・消費者信頼感指数(CCI)
- 配当利回り(3%以上なら投資妙味あり)
- PBR(1倍以下なら割安の可能性)
それ以外にも、景気後退&不良債権リスク・海外経済の影響(特にメガバンクは海外投資の影響を受ける)・規制強化(貸金業法の改正、金融庁の指導など)などもリスク要因となるため、注意が必要です
金融業に最も大きな影響を与えるのは?
金融業セクターは、日本経済の基盤を支える重要な業界であり、日銀の政策や世界経済の動向に大きく左右されます。それでは金融業に最も大きな影響を与えるのは何でしょう?
金融業にとって最も大きな影響を与える要因の一つが、日本銀行(以下、日銀)の金融政策です。その金融政策を決定するのが「金融政策決定会合」です。特に2025年現在は金利のある世界に突入しており、金利に関するニュースが大きく市場に影響を与えます。この近隣の水準が決まるのも、日銀の金融政策決定会合です。それについて詳しく見ていきましょう。
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日銀の金融政策決定会合について
日本銀行の金融政策決定会合(金融決定会合)では、大体、1ヶ月から1ヶ月半に1度、日本の金融政策に関する重要な事項が議論・決定されます。代表的な議題として、以下のようなものがあります。
1. 金融政策の基本方針
- 現状の金融政策を維持するか、変更するかの判断
- 物価安定目標(インフレターゲット)に向けた政策の適切性
2. 政策金利(短期金利・長期金利)
- 短期金利(無担保コール翌日物金利)の誘導目標
- 長期金利(10年国債利回り)の誘導目標(YCC=イールドカーブ・コントロールの調整)
3. 資産買入れ政策(量的緩和政策)
- 国債の買入れ(長期金利を抑制するための調整)
- ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)の買入れ(市場の安定を目的とした施策)
4. 金融システムの安定性・経済状況の評価
- 日本経済の現状分析(成長率、物価動向、雇用状況など)
- 国際経済(米国、欧州、中国など)の影響分析
- 金融市場の流動性や銀行システムの健全性の確認
5. 円相場・為替動向
- 為替市場の動向が日本経済や金融政策に与える影響の分析
- 円安・円高の影響を考慮した対応策
6. 展望レポートの公表(年4回)
- 経済・物価見通しの発表
- インフレ率やGDP成長率の予測
7. マイナス金利政策の見直し
- マイナス金利の継続・解除の議論
- 銀行経営や金融市場への影響
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特に注目したいのは「金利」
日銀の金融政策決定会合における金利変更の影響一覧
金利変動 | メリット | デメリット |
---|---|---|
金利を上げる(利上げ) | ✅ 円高傾向 → 輸入コストが下がり、物価安定に寄与 | ❌ 企業の資金調達コスト増加 → 設備投資の抑制、景気減速リスク |
✅ 物価抑制(インフレ対策) → 消費者の生活コストが安定 | ❌ 住宅ローン・借入金の負担増 → 個人消費が減退する可能性 | |
✅ 預金金利の上昇 → 銀行預金の魅力向上、貯蓄が増加 | ❌ 円高による輸出企業の打撃 → 輸出競争力の低下、企業収益の悪化 | |
✅ 過度な金融緩和の正常化 → バブルの抑制、金融システムの安定 | ❌ 株価下落リスク → 投資マインドが冷え、資産価値が低下 | |
金利を下げる(利下げ) | ✅ 借入金利の低下 → 企業の資金調達がしやすくなり、投資や設備投資が活発化 | ❌ 円安傾向 → 輸入コスト上昇、物価上昇(インフレ圧力) |
✅ 住宅ローンの負担軽減 → 住宅購入の促進、住宅市場の活性化 | ❌ 預金金利の低下 → 預金の魅力減少、貯蓄が減る可能性 | |
✅ 円安による輸出企業の恩恵 → 日本企業の競争力向上、海外売上の増加 | ❌ 金融機関の収益悪化 → 低金利で利ざやが減り、銀行経営に打撃 | |
✅ 株価上昇しやすい → 投資が活発化し、景気刺激につながる | ❌ バブル発生リスク → 投機が過熱し、不動産や株価の急騰につながる可能性 |
補足:
- 金利を上げる(利上げ) → インフレ抑制や金融システムの安定を目的とするが、景気を冷やすリスクあり。
- 金利を下げる(利下げ) → 景気刺激には有効だが、円安やインフレ、金融機関の収益悪化リスクが伴う。
投資のポイント
金利が上昇すると、貸出金利が拡大し、銀行の利益増加が見込めるため、銀行銘柄が注目されます。逆に金利が低下すると、長期運用資産の利回り低下で収益悪化するため、保険やリース株は注意が必要となります。
景気の拡大期には 企業の設備投資が増えるため、リース業・銀行業に注目が集まります。逆に景気後退期には、貸倒リスク増加 するため、消費者金融・証券株は注意が必要となりますが、保険業には注目が集まります。