【世界市場の総合分析: 今後の投資戦略】
2023年12月14日の東京株式市場は4営業日ぶりに反落しました。終値は前営業日比240円10銭(0.73%)安の3万2686円25銭。前日と同じパターンで、午前中はあげ、午後からは様子見が広がって上げ幅を縮小する展開でした。
||米国市場は史上最高を更新
米国市場は5日続伸しました。ダウ指数は5営業日続伸して512ドル30セント(1.40%)高の3万7090ドル24セント、ナスダックも5営業日続伸して200.567ポイント(1.38%)高の1万4733.964、S&P500種も続伸して+63.39(1.36%)の4,707.09で取引を終えました。
ダウ指数は2022年1月以来の高値を更新すると共に、過去最高値を更新、3万7000ドル台に史上初乗せました。ナスダック、S&P500種は共に年初来高値を更新しました。
FOMCの結果を受けて、利下げが示唆されたとの見方で投資家心理はリスクオンに傾きました。長期金利が一時的に4%を割り込みそうなところまで低下したことを受け、ナスダックの上昇幅が大きくなりました。
|| 円高の意識高まる日本市場
日本市場は米国の最高値更新を受けて、買いが先行してスタートしました。米国の長期金利が低下したことでナスダックが上昇、日本市場でも半導体関連などのグロース株が買われました。
市場の重石になったのは為替市場の動き。一時1ドル= 140円台まで急激な円高が進み、輸出関連企業を中心に売りに転じました。下げ幅は400円を超える場面もありましたが、 売り方の買い戻し、押し目買いが入って下げ幅を縮小して終りました。
円高の流れが株式市場を抑える
|| テクニカル的なレジスタンスライも気になる
前日同様、陰線で引けましたが、高値は切り上げて安値は切り下げながら迷いが強くなる流れとなりました。高値が意識されたところは前日と同じで、25日移動平均線にタッチしたら引けを残しながら戻りました。
今週に入って25日移動平均線が継続してレジスタンスになっている形になったので、上昇トレンド継続に入るためにはこの価格帯を素早く抜ける必要があります。
|| 円高は日本の株を押さえつけるのか
ダウ平均が史上最高値を更新、ナスダックとSP 500も年初来高値を更新するなど非常に好調な動きが続く米国市場とは対比的に日本市場は下げとなりました。
長期金利の低下に伴い、金利差の縮小が意識されて円高・ドル安が進みました。では円高は日本の株を押さえつける要因になり続けるのでしょうか。それはちょっと違うのではないでしょうか。
ドル・円の次の焦点は19日に予定されている日銀金融政策決定会合に移ります。植田総裁の発言で市場が大きく動いたのが先週から今週にかけて。今回の会合でマイナス金利解除の観測が高まりましたが、経済指標では3四半期のGDPが大幅なマイナスとなったことを考慮する必要があります。
景気への影響が大きい金利上げをこのタイミングで行うのが本当に適切なのか、日銀にも悩みは広がるので、今回早速解除に踏み切るのは難しいのではないでしょうか。
もちろん、植田総裁の発言でYCC修正に含みを持たせる内容が含まれると、円高・ドル安傾向は強まる可能性があります。
|| 日銀イベントまで通過すると半導体などグロース株を物色しよう
いろいろな可能性について言及してきましたが、金融政策決定会合を波乱なく通過する場合、アメリカの株高についていく流れになる可能性が高まります。年末特別講座でも来年はバリュー株の時代が終わり、グロース系の時代がスタートします。
半導体関連を始めとするグロス株への物色を続けるのが賢明な投資戦略と言えるでしょう。 東京エレクトロン、アドバンテスト、ルネサステクノロジーなどは、テクニカル的にも面白いところに来ているので、注目して良いでしょう。
3月から利下げ、確率が73%に上昇
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【各市場の動き】
株式指標
日経平均(円) | 32,686.25 | -240.10(-0.73%) |
TOPIX | 2,321.35 | -33.57(-1.43%) |
為替
ドル・円 | 141.84 – 141.86 | -3.97(-2.72%) |
ユーロ・円 | 154.50 – 154.51 | -2.76(-1.75%) |
ユーロ・ドル | 1.0890 – 1.0892 | +0.0105(0.97%) |
海外株式
NYダウ工業株30種(ドル) | 37,090.24 | +512.30(1.40%) |
S&P500種 | 4,707.09 | +63.39(1.36%) |
ナスダック | 14,733.964 | +200.567(1.38%) |
債券・金利
米10年国債(%) | 4.023 | -0.179 |