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4つの相場サイクルと投資戦略

株式投資における4つの相場サイクルと投資戦略

株式投資には、市場のトレンドを把握することが肝心です。しかし、市場の変動は複雑で、その理解には相当な知識と経験が必要となります。そこで、投資家たちは様々な指標や理論を用いて市場を分析し、市場の変動を予測することが求められます。

その中の1つとして、「4つの相場サイクル」があります。この4つのサイクルは、市場の変動を把握する上で非常に重要です。基本的に株式市場はこの4つのサイクルを繰り返していると言われています。4つの相場サイクルについて詳しく解説していきますので、ぜひご自分の投資に活かせてください。

4つのサイクル

金融相場について:金あまりが生み出す

まず、金融相場から。これは名前の通り、お金つまり金融に関係しています。不景気になり、企業業績が悪化すると株価は下がります。政府は景気対策等を講じ、中央銀行は政策金利を下げるなどの金融緩和を行います。そうすることで、市中に流通する資金量を増やして、金余り状態を作ります。

金あまりなのでそのお金を運用する必要が出てきます。資金は株式市場に向かうので、自然に株価は上昇していきます。このように金利が低下して、カネ余りなどで、株式の投資対象としての魅力が上がったことを好感して株価が上昇する相場を金融相場いいます。

金融相場に上がりやすい業種は?

金融相場は金あまりによって作られることは説明しました。それではこの相場で上がりやすい業種が分かれば、その業種たちを中心に投資をすれば有利ですね。ここでは金融相場の際に有利な業種について解説します。

1.金融業

金融業界は金融相場に敏感に反応します。金融政策や金利の変動が直接的に影響するのが要因です。金融商品の取引量や手数料収入が増加する傾向にあることが多く、金融業の株価が上昇することがあります。

2.不動産業

金融相場では金利が下がることは説明した通りです。低金利環境にある場合、低金利による住宅ローンの需要が高まるのは想像がつきますね。そのため、不動産業界は好調に推移することがあります。また、不動産業界においても金融商品の取引量や手数料収入が増加する傾向にあります。

3.証券業

株式や債券などの金融商品の取引量が増加するため、証券業界も金融相場に有利になる業種の一つです。手数料収入がメインの証券業界にとって、取引量が増加するのは収益が拡大するチャンスだというのはわかりますね?

4.通信業

こちらは直接というよりは直接影響を受ける業種につられて有利になるといえることです。つまり、証券情報の配信やネット証券などのオンライン取引の需要が高まり、金融商品の情報を提供するインフラとなる通信業界が金融相場に有利になる業種の一つといえます。

業績相場について:業績回復によって生み出される

金融緩和だけでは実物の経済はよくなりません。金融緩和の効果でやがて企業業績が回復しはじめます。業績が回復するので、株価に影響を与える主導権は企業業績に移っていきます。これが業績相場です。まとめると、企業の業績が市場に大きな影響を与える相場のことを指します。

これは経済学的な観点からすると、マクロ要因よりも個別銘柄の業績等のミクロ要因を背景に株価が上昇する相場といえます。ここは少し難しいのでまた別の記事で解説することにしましょう。

マクロ要因-経済成長率、金融政策、政治的リスク、外国為替相場、社会的トレンド、世界的な景気動向、自然災害などが代表的なものです。

ミクロ要因-企業の業績、財務状況、経営戦略、業界の動向、競合他社の動向、業界や企業のニュースなどが代表的なものです。

業績相場で有利な業種とは

業績相場は景気が本格的に回復する時だと理解すると、この時に有利になる業種もわかりやすいでしょう。つまり、景気拡大期に業績が好調であることが期待される業種で、景気敏感業種が代表的な例です。以下は、一般的に業績相場に有利になる業種の例です。

1.情報技術(IT)業界

デジタル技術の進歩により、IT業界は急速に成長しています。特に、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能などの分野では、需要が高まっており、IT企業の業績も好調な傾向にあります。これは代表的なグロース株(成長株)の例でもあります。

2.ヘルスケア業界

日本社会で急速に進んでいる高齢化に伴い、医療・介護サービスの需要が増えており、ヘルスケア業界は成長が期待されています。ある意味これは社会の大きな流れと関係しているので、マクロ・ミクロ的な要因の両方が入っているともいえます。

3.消費財業界

景気拡大によって消費者の需要が高まるので、消費財業界は業績が向上する傾向が強くなります。例えば、自動車、化粧品、家庭用電化製品、アパレルなどが挙げられます。

景気拡大はいずれ、行きすぎる場面を迎えます。例えばコロナの後、金余りによって業績が拡大した後、2021年から2022年にかけて大きな物価上昇を経験した米国経済のその例です。それでFRBがとった行動を覚えていますか?

はい、その通り、利上げを通じた金融の引き締めです。そして相場は逆金融相場に向かいます。

逆金融相場について

業績相場が拡大しすぎると、金融引き締めのサイクルが来ます。政府や中央銀行の大事な役割の一つは、景気が拡大しすぎてインフレになることを抑制し、物価を安定させることです。そのため、景気拡大時は金融引き締めによって金利が上げられます。2022年から2023年にかけて米国のFRBは大幅な利上げを断行しました。それによってGAFAをはじめとする大手のハイテク企業も2022年末から2023年にかけて業績不振に陥りました。これが逆金融相場から逆業績相場に移行していくプロセスです。

逆金融相場で有利な業種とは

逆金融相場では、株価や投資商品の価格が下落するなど金融資産の価格が下落するため、金融資産を売却して現金化する動きが強まります。そのため、逆金融相場では、金融資産に対して、実物資産に投資する方向性が増す傾向があります。市場からお金が消えていくわけです。企業にとっては資金調達のコストが上昇する厳しい状況でもあります。

そのため、この相場では特定の業種というよりは企業の財務健全性をチェックすることが重要になります。

つまり、負債が少ない、自己資本比率が高い、キャッシュフローが健全でフリーキャッシュフローが豊富など、倒産可能性が低い企業を選別することが求められます。

逆業績相場について

4つのサイクルの最終局面となる逆業績相場は、金融引き締めにより景気が下落し、企業業績が悪化して株価が下がる相場を指します。FRBの急速な利上げで2023年の3月にSVB(シリコンバレー銀行)が破綻したのはいい例です。

注目されるセクターは、景気と業績の連動性が低いいわゆる「ディフェンシブ業種」です。景気が悪化し需要が減少することが予想されるため、消費者にとって不可欠ではない製品やサービスに対する需要は低下します。その分、生活必需品や安全・安心に関するサービスなど、需要が減少することが少ないディフェンシブ業種は有利になります。

以下に、逆業績相場で有利な業種の例をいくつか挙げます。

1.食料品業界

 食料品は消費者にとって必需品であり、需要が減少することはありません。食費まで削ることになると経済が相当なダメージを受けていることを意味するので、政府や中央銀行も早急に対策を講じてくるでしょう。

2.医療・福祉業界

逆業績相場であっても、病気や怪我をする人はいるし、病院に行かないわけにはいけないので、医療・福祉サービスなどは需要が減少することは少ないことが考えられます。さらに、景気が悪化すると、ストレスなどの原因によって心身の不調を訴える人が増加することがあるため、メンタルヘルスに関するサービスも需要が高まる可能性があります。

3.通信業界

逆業績相場であっても、人々はコミュニケーションを必要とするため、通信業界は需要が減少しない代表的な例です。また、インターネットの普及によって、在宅勤務やオンライン教育などが増加しているため、需要が拡大する可能性があります。コロナ禍の際に在宅勤務が大きく前進したことを考えるとわかりやすいでしょう。

4.電力・ガス業界

これも生存に関わることですね。電力・ガス業界は、生活に必要なエネルギーを供給する業界であるため、需要が減少しにくくなります。最近は再生可能エネルギーへのシフトが進んでおり、常にホットなセクターになりつつあるという側面もあります。

相場のサイクルが変化する要因となるのは?

相場サイクルが変わるきっかけになるのは、中央銀行の金融政策です。当然、金融政策の変化を把握することは非常に大事になってきます。従って、投資家にとっては金融政策決定会合や金融政策に大きな影響を与える雇用統計などの重要経済指標が重視されます。注目する経済指標やセクターは、今の相場がどの局面にあるのかを意識することによって変わってきます。

いかがでしたか?

株式投資において、相場サイクルを理解することは非常に重要です。相場サイクルを理解することで、株価の動向を予測し、適切な投資判断を下すことができます。

また、大根を切るように「今日から業績相場!」と切り分けることはほぼ不可能です。常に変化する経済環境の中で、「これくらいで業績相場入りかな?」と把握するくらいはできるでしょう。何が言いたいかというとし、相場サイクルはあくまでも一つの指標であり、株価の動向を正確に予測するものではないということを認識しておかなければなりません。

長い記事を最後まで読んでくださりありがとうございました。

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