今週の3行まとめ
- 実質4営業日の週です。日経平均の想定レンジは6万4000~6万8000円、方向は上値を試す形とみます。
- 12日夜の米CPIに東京市場が反応するのは13日。今週のボラティリティはこの日にピークを迎えます。
- 新規の買いは13日の反応を確かめてから。薄商いでついた値段は追いかけません。
今週の焦点
週末に相場の前提が変わりました。7日夜の米7月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比2万3000人の減少と、8万人前後の増加という市場予想を大きく下回り、5カ月ぶりのマイナスに転じました。5月分と6月分も下方修正され、2カ月合計で10万3000人分が消えています。失業率は4.2%から4.1%へ低下しましたが、市場は雇用の減速のほうを重く受け止めました。9月の利上げ確率は発表前の57%前後から44%前後へ低下し、米長期金利の低下を好感してハイテク株主導の上昇となっています。
東京市場は11日(火)が山の日の祝日で休場となり、実質4営業日です。お盆で機関投資家の売買が細るうえ、休場をはさむことで3日分の海外材料をまとめて織り込む日が生まれます。材料は12日(水)と13日(木)に集中します。12日の日本時間夜に米7月消費者物価指数(CPI)が発表され、東京市場がこれを織り込む最初の取引日が13日です。同じ13日の夜には米7月卸売物価指数(PPI)、米30年債入札、アプライドマテリアルズの決算が並びます。雇用が崩れる一方で物価が強く出れば、FRBは利上げと景気の板挟みになります。
日本株:薄商いのなか上値を試す、想定レンジは6万4000~6万8000円
想定レンジは6万4000~6万8000円とみます。前週末7日の終値6万5606円71銭は25日移動平均線6万5968円72銭のわずかに下、75日移動平均線の上で、2本の線に挟まれています。7日夜の日経平均先物ナイト・セッションは日中終値比650円高の6万6310円で終えており、週明けは25日線を上回る水準から始まる公算が大きい。上限は7月22日の戻り高値6万7592円を上抜けた先、下限は2本の線をともに割り込む水準にあたります。
押さえておきたいのは、日経平均への寄与度が高い半導体主力の決算が前週までに出終わっている点です。アドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシアホールディングスが7月中に、レーザーテックなども6日までに発表を終えました。今週、半導体を動かす材料は国内になく、13日のアプライドマテリアルズの決算という海外要因に移ります。指数を1銘柄で振り回す構図が、いったん途切れる週です。
国内の決算も主力が一巡し、指数を動かす個別材料は今週ありません。物色は前週までの決算内容を吟味した選別に移ります。注意したいのは商いの薄さで、機関投資家の売買が減ると個人投資家の影響度が相対的に強まり、低位株や材料株が突飛高と急落を繰り返します。少ない売買代金でついた値段は、翌週まで残りません。
米国株:CPIが利上げ観測を試す、NYダウは5万3000~5万5000ドル
NYダウで5万3000~5万5000ドルを想定します。7日のNYダウは前日比151ドル83セント高の5万4036ドル93セント、S&P500種株価指数は47.68ポイント高の7757.64で最高値を更新、ナスダック総合指数は342.263ポイント高の2万6690.615で引けました。米10年債利回りは前営業日比0.03%低い4.65%です。上限は前週更新した最高値圏を抜けた先、下限は7月末の5万2485ドルから切り上がった直近の押し目の水準にあたります。
最大の材料は12日のCPIで、市場予想は前年同月比3.4%、サービス価格の粘着性が焦点です。物価の強さが確認されれば、雇用が減っていても利上げが必要という議論が息を吹き返します。逆に鈍化が確認されれば、雇用の弱さと合わせて金利低下が進み、株式には追い風です。11日から13日にかけては3年債、10年債、30年債の入札が続き、低調ならCPIの内容にかかわらず金利上昇が重荷になります。
為替:介入後の戻りを試す、ドル円は156~160円
ドル円は156~160円を想定します。7日は157円80銭近辺で引けました。7月30日から31日にかけての日米協調介入で164円近辺から8月3日の155円21銭まで4営業日で9円近く下げ、足元は158円台まで戻しています。攻防ラインは200日移動平均線158円08銭で、維持できていれば160円付近までの反発余地、割り込めば157円台から156円が視野に入ります。
上限を160円に置いたのは、そこに近づくほど追加介入への警戒が強まるためです。上がるほど上値リスクが増える構図です。材料は米国側に偏っており、12日の物価指標が強ければ米金利の上昇を通じてドルが買われます。当局側では、米財務長官が必要であれば追加の共同介入への参加をためらわないと述べている点が重しです。
長期金利:上値の重い上昇基調、新発10年債は2.70~2.90%
国内の長期金利は2.70~2.90%を想定します。8月6日時点は2.765%で、週内には4日に2.855%と1996年10月以来およそ30年ぶりの高さを付ける場面がありました。上限は7月9日の2.875%を上抜けた先、下限は7月中旬の水準です。積極財政への警戒が残るうえ、協調介入をきっかけに9月の日銀の追加利上げを織り込む動きが出やすくなっています。
ただし一方的な上昇にはなりにくい。円買い介入で円安が一服したことは輸入インフレの圧力を弱め、米長期金利が雇用統計を受けて低下したことも上値を抑えます。上を試しながら上げ切れない1週間になりそうです。
原油・金:原油は供給不安で底堅く、金は利上げ観測の後退で急伸
原油は底堅い展開が続きそうです。WTI先物9月限の7日終値は前日比0.84ドル高の1バレル78.13ドルでした。ホルムズ海峡の開放に向けた合意案に、米国とイスラエルの船舶の通航を禁止する内容が盛り込まれたと伝わり、正常化には時間がかかるとの見方が買いを支えています。原油が再び上昇すれば、インフレ懸念を通じて株式の重荷になります。
金は急伸しました。7日のNY金先物12月限は前日比100ドル10セント高の1トロイオンス4399ドル70セントで引けています。利上げ観測の後退とドル安が買いを誘いました。分岐点は12日で、物価が強ければ金利を生まない金には逆風、弱ければさらに買われやすくなります。
今週の主なスケジュール
8月10日(月):日銀金融政策決定会合における主な意見(7月30、31日分)、6月国際収支、国内決算(楽天グループ、住友金属鉱山)
8月11日(火):山の日の祝日で東京市場は休場、米3年債入札、豪準備銀行が政策金利を発表、米決算(シスコシステムズ)
8月12日(水):米7月消費者物価指数(CPI)、米10年債入札、7月工作機械受注、国内決算(東京海上ホールディングス)
8月13日(木):米7月卸売物価指数(PPI)、米30年債入札、7月国内企業物価指数、米決算(アプライドマテリアルズ)
8月14日(金):米7月小売売上高、米8月ミシガン大学消費者態度指数速報値、国内決算(電通グループ、アシックス)
今週の投資戦略
1つ目は、新規の買いを13日(木)の寄り付き後まで待つことです。12日夜のCPIに東京市場が反応するのは13日です。10日と12日は指数を動かす国内材料が乏しく、この2日間で建てた持ち高は、結果次第でそのまま含み損に変わります。そして13日の反応は、上げ幅ではなく業種の広がりで判定してください。上げているのが半導体だけなら、それは戻りではなく買い戻しです。
2つ目は、決算で評価された銘柄に的を絞ることです。通期計画を引き上げた銘柄、AIデータセンター向けの需要が数字で確認できた銘柄に対象を限り、決算前の期待だけで買われている銘柄からは離れます。指数を追う理由が乏しい週は、個別の裏付けがある銘柄しか持たないことです。
3つ目は、円のポジションを点検することです。ドル円が160円に近づく場面では、追加介入への警戒が強まります。外貨建て資産を持っているなら、160円をヘッジ比率の見直し時点として先に決めておきます。逆に158円を割り込む場面は、輸出関連企業の想定為替レートを点検し直す局面です。どちらに振れても、水準を決めてから動くのと、動いてから考えるのとでは結果が変わります。
リスク管理は数字で決めておきます。75日移動平均線6万5309円を終値で割り込んだら、その日のうちに買い持ちを整理する。この線の上で持ちこたえているあいだは、13日にCPIへの反応を確かめてから動いても遅くありません。
(本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任でお願いいたします。)
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