【今週の焦点】
今週の東京市場は20日(月)が海の日で休場となり、実質的な取引は連休明けの21日(火)からの4営業日です。前週(7月13~17日)の日経平均株価は週間で4416円(6.44%)安と過去最大の下げ幅を記録し、6万4141円で取引を終えました。一時は6万2704円まで下落し、約2カ月ぶりの安値水準まで売り込まれる場面もありました。AI・半導体関連株の過熱感が意識される中で、韓国株の急落や米・イラン間の緊張再燃が重なり、キオクシアホールディングスがストップ安となるなど投資家心理が急速に悪化した1週間でした。
今週はこの急落局面からの反発が見込めるかどうかが最大の焦点です。加えて、国内外で決算発表シーズンが本格化し、7月22日には米アルファベット、7月23日には欧州中央銀行(ECB)理事会と、相場の方向性を左右するイベントが控えています。以下、資産クラスごとに来週の見通しを整理します。
【日本株:反発を試す展開、想定レンジは6万~6万8000円】
来週の日経平均株価は反発を試す展開が予想されます。想定レンジはおおむね6万~6万8000円で、下限については6万3000円程度とみる向きもあります。前週に急落したAI・半導体関連株の調整は一巡しつつあり、自律反発狙いの買いが入りやすい地合いです。台湾積体電路製造(TSMC)やオランダのASMLといった半導体関連の好決算を経ても過熱感から売られてきましたが、市場では業績期待は揺るがず健全な調整との評価も多く聞かれます。
目先の焦点は22日に発表される米アルファベットの決算です。大規模クラウド事業者が設備投資を継続できるかが注目されますが、悪材料を織り込んだ後だけに、市場予想並みの内容でも過度に売られる展開にはなりにくいとの見方が優勢です。ここで下げ止まれば、日本のAI・半導体関連株にも押し目買いが広がると期待されます。
一方で、キオクシアホールディングス、東京エレクトロン、アドバンテストといった国内の主力半導体株や、米国・韓国の関連株が下げ止まるかを見極める必要があります。過熱警戒感が強い中では、予想を上回る好決算が出ても何かしらが売りの口実にされるリスクは残ります。ハイテク株から、相対的に出遅れていた金融・小売・コンテンツなどの景気敏感株・内需系バリュー株へ資金がシフトする動きにも注目したいところです。
【米国株:中東情勢と大型決算がカギ、NYダウは5万1500~5万3500ドル】
米国株はNYダウでおおむね5万1500~5万3500ドルのレンジが想定されます。前週は好調な大手金融機関の決算が指数を支えた一方、半導体株の利益確定売りが重荷となり、一進一退の動きでした。
来週は決算発表が集中します。22日のIBM、テスラ、テキサス・インスツルメンツ、23日のインテル、ブラックストーン、24日のアメリカン・エキスプレス、ベライゾンなどが予定され、ハイテクから金融・通信まで幅広い業種の業績が相場を動かしそうです。同時に中東情勢も引き続き重要です。米・イランの対立を背景にエネルギー供給の正常化が見通しづらく、原油価格が高止まりしています。エネルギーの要衝である紅海が封鎖される事態となれば、原油高を通じて株価の下押し圧力となる恐れがあります。
【為替:円の下値は限定的、ドル円は160~164円】
ドル円はおおむね160~164円のレンジが想定され、円の下落余地は限られそうです。前週発表の6月の米消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)がいずれも市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が後退したことで、ドル高が一服しています。加えて、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内資産への配分を増やすとの思惑や、政府・日銀による円買い介入への警戒感も、円を下支えする要因です。
もっとも、高市政権の積極財政を背景に、ドルが下げる局面では投機筋のドル買い・円売りが入りやすく、160円を超える円高は進みにくいとの見方も根強い状況です。1ドル=162円台という歴史的な安値圏での推移が続いており、政府発言をきっかけに円高方向へ振れる可能性と、中東の緊張が高まれば有事のドル買いでむしろ円安が進む可能性の双方に注意が必要です。月末28~29日にはFOMCを控えており、それまでは手掛かりに乏しい中で中東情勢に一喜一憂する展開となりそうです。
【長期金利:居所を探る、新発10年債は2.60~2.80%】
国内の長期金利(新発10年物国債利回り)はおおむね2.60~2.80%での推移が想定されます。前週はGPIFが国内債券へシフトするとの思惑や、20年債入札での大口買いを受けて、一時2.675%まで低下しました。高市首相もGPIFによる国内金融資産への投資を後押しする方針に言及しており、金利の低下観測はくすぶっています。
ただし、一段の低下を見込む声は多くありません。2.6%前後は潜在成長率と期待インフレ率を踏まえればフェアバリューであり、拡張的な財政運営への警戒が上乗せ要因になるとの指摘があります。22日に予定される食品の消費税減税をめぐる協議は、来年度予算が拡張的になるかを探るうえで重要な材料です。米国の長期金利がFOMCまで方向感を欠く中、中東情勢とあわせて居所を探る展開が続きそうです。
【原油・金:原油は紅海封鎖リスクで上値試し、金は方向感探る】
原油相場は上値を試す展開が予想されます。イランがホルムズ海峡の再封鎖を宣言し、米国側も海上封鎖の再開を表明するなど、中東からの供給正常化が遠のくとの警戒が強まっています。米国のWTI先物は一時1バレル81ドル台と約1カ月ぶりの高値を付けました。ホルムズ海峡の迂回ルートである紅海までもが封鎖される事態となれば、供給が一段と細り、90ドル近辺まで上昇する余地があるとの見方もあります。
金相場は方向感を探る展開になりそうです。前週はFRB関係者のタカ派的な発言を受けた利上げ懸念や、中東情勢悪化に伴う原油高が逆風となり、一時は節目の1トロイオンス4000ドルを下回る場面もありました。FOMCを前に投資家が動きにくい中、利上げへの見方が大きく変わらなければ4000ドル近辺での推移が続くとみられます。
【Jリート:戻りを試す、東証REIT指数は1800~1850ポイント】
Jリート市場は戻りを試す展開が想定され、東証REIT指数はおおむね1800~1850ポイントのレンジが見込まれます。前週末時点の分配金利回りは4.985%と高い水準にあります。GPIFの資産配分変更をめぐる観測や長期金利の低下は、Jリート市場を下支えする要因です。割安感に着目した買いにも期待したいところです。米国によるイランへの軍事攻撃の状況をにらみつつ、株式・金利市場の動向に沿った展開となりそうです。
【今週の主なスケジュール】
7月20日(月):東京市場休場(海の日)、米6月景気先行指数、独6月生産者物価指数(PPI)
7月21日(火):独・欧7月ZEW景況感調査、米決算(スリーエム)
7月22日(水):6月貿易統計、英6月CPI、ティアフォー東証グロース上場、米決算(アルファベット、IBM、テスラ、テキサス・インスツルメンツ)
7月23日(木):ECB理事会・ラガルド総裁会見、ユーロ圏7月消費者信頼感(速報)、米新規失業保険申請件数、国内決算(ディスコ)、米決算(インテル、ブラックストーン)
7月24日(金):6月全国消費者物価指数(CPI)、日米欧7月PMI速報値、米6月新築住宅販売件数、国内決算(信越化学工業、中外製薬)、米決算(アメリカン・エキスプレス、ベライゾン)
【今週の投資戦略】
今週は、前週の歴史的急落からの反発を試す一方で、決算とイベントに神経質に反応しやすい相場を想定しておくべきです。基本シナリオは、AI・半導体関連株の調整一巡と自律反発ですが、過熱警戒感が根強い中では好材料が出尽くしと受け止められるリスクもあり、ボラティリティの拡大を前提とした位置取りが求められます。
戦略の軸としては、急落したAI・半導体関連株の下げ止まりを確認しながら段階的に拾う方針と、出遅れていた金融・内需系バリューへの資金シフトに乗る方針の両にらみが有効です。為替は円の下値が限定的で、円高方向への振れと有事のドル買いの双方に備える必要があります。原油の高止まりはインフレ・コスト面のリスク要因であり、価格転嫁力に乏しいセクターには引き続き慎重なアプローチが適切です。月末のFOMCと国内の財政・GPIF動向を見据えつつ、ポジションサイズの管理と分散を徹底したい局面です。
(本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任でお願いいたします。)




