【市場の見通し】
2026年7月30日の東京株式市場は、続落して始まりそうです。大阪取引所の夜間取引で日経平均先物9月限は日中清算値比1410円安の6万1040円で取引を終えました。29日の日経平均株価の終値(6万1434円19銭)を394円下回る水準です。TOPIX先物も前日清算値比53ポイント安の3946ポイントで、前日はプラスを維持したTOPIXにも売りが回っています。本日の日経平均の予想レンジは6万円~6万1600円と想定します。ここで押さえておきたいのは、29日の米国市場の下げ方が前日までと明確に違ったという点です。7月下旬の東京市場は半導体だけが売られる相場でしたが、29日はダウ工業株30種平均の下落率2.18%がナスダック総合指数の1.74%を上回りました。売られる対象が半導体から市場全体へ広がったということです。
為替は、ドル円がニューヨーク市場の終値で1ドル=163円87銭前後と、前日の東京市場から円安方向に戻しています。ただし米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが見送られたため、ここから新たなドル買い材料が出にくいとの見方も市場にはあります。円安は輸出関連の採算を支えますが、円安の背景が米国のインフレ警戒である場合、株式にとって素直な追い風にはなりません。需給面では、本日が7月末を権利確定日とする配当と株主優待の権利落ち日にあたります。もっとも7月末を決算期末とする企業は限られるため、指数への影響は小幅です。日銀金融政策決定会合は本日が初日で、結果と展望レポートの公表、総裁会見はいずれも31日です。政策金利は1.00%での据え置きが中心シナリオですが、利上げペースを速める姿勢がにじむかどうかが焦点として残ります。
米国市場は売られる対象が半導体から市場全体へ広がりました
29日の米国市場は、ダウ工業株30種平均が前営業日比1153ドル18セント(2.18%)安の5万1594ドル14セントと4営業日ぶりに大幅反落しました。下げ幅は2025年4月4日以来の大きさです。S&P500は1.52%安の7316.15、ナスダック総合指数は1.74%安の2万4442.94、SOX指数は285.44ポイント安の1万750.25と5日続落し、下落率は2.59%でした。半導体の下げが続いている点は同じですが、SOX指数の下落率が主要指数を下回ったのは久しぶりです。理由はFOMCにあります。政策金利は3.50~3.75%で5会合連続の据え置きとなりましたが、採決は9対3で、クリーブランド連銀、ミネアポリス連銀、ダラス連銀の3総裁がそろって0.25%の利上げを主張しました。会見でウォーシュ議長が物価目標に緩みはなく2%であると述べたにもかかわらず、市場はFRBがインフレへの対応で後手に回るリスクを織り込みに行き、10年物国債の利回りが上昇しました。加えて米国とイランの衝突が激化してWTI先物が7.2%高の84ドル94セントまで急騰し、恐怖指数と呼ばれるVIXは20.05へ上昇しています。
引け後の決算では明暗が分かれました。マイクロソフトの4~6月期は売上高が前年同期比18%増の900億700万ドル、純利益が31%増の357億6600万ドルとなり、クラウド関連の売上高が市場予想を上回って時間外で3.30%高の403.43ドルまで買われています。一方のメタ・プラットフォームズは純利益が14%減の158億ドルにとどまり、研究開発費の膨張と訴訟関連費用に加えて売上高見通しも期待に届かず、時間外で一時11%安まで売られました。同じAI投資の当事者でありながら評価が正反対に分かれたのは、需要の強さではなく費用の重さで選別されたからです。東京市場への波及を考えると、金利上昇と原油高という経路で内需・ディフェンシブにも売りが及びやすくなった一方、原油高は資源関連や商社にはプラスに働きます。前日まで有効だった半導体以外に逃げるという発想は、本日は通用しにくい局面です。
【本日の投資戦略】
本日の焦点は、日程の詰まり方そのものです。国内では東京エレクトロン、みずほフィナンシャルグループを含む135社が決算を発表し、引け後には武田薬品工業も続きます。東京エレクトロンは日経平均への寄与度が大きく、7月24日までに株価が高値から2割下げているため、中間期の見通しと韓国向けの伸びが指数の振れ幅を直接決めます。海外では米国の4~6月期GDP速報値、新規失業保険申請件数、個人所得と個人消費支出が同じ日に並び、イングランド銀行の政策金利発表、ユーロ圏のGDP速報値とドイツの消費者物価指数も控えます。米国時間の引け後にはアップルとアマゾン・ドット・コムの決算があります。つまり本日の東京市場は、材料を消化する時間より、材料を待つ時間のほうが長い一日になります。
そのなかで最も具体的に検証できるのが、決算という答え合わせです。29日引け後のアドバンテストは、4~6月期の売上高が前年同期比39.3%増の3675億円、営業利益が53.3%増の1900億円、四半期利益が93.8%増の1748億円と、いずれも四半期ベースの最高を更新しました。通期の営業利益予想は6275億円から8460億円へ、最終利益は4655億円から6600億円へと41.8%引き上げられています。それでも29日の終値は310円安の2万5200円で、数字と株価が逆を向いたまま引けました。夜間の私設取引では11.33%高の2万8055円まで買われており、本日の寄り付きでこの水準が維持されるかが第一の答え合わせです。第二が東京エレクトロンの中間期見通しです。マイクロソフトとメタの分かれ方が示したのは、強いのは需要で、疑われているのは費用だという構図です。同じ整理を東京の半導体に当てはめれば、テスタや製造装置のように需要の増加を受注と利益で証明できる企業と、投資負担が先に立つ企業とで、本日から扱いが分かれていく可能性があります。指数の騰落だけを追っていると、この分岐を見落とします。
具体的な行動としては、寄り付きの6万1000円前後をいったんの基準に置きます。下値の第一の目安は29日の安値6万448円90銭、その次が6万円の大台です。打診買いは6万500円への接近から3分の1ずつに分け、一度で入り切らないことを優先します。上値は6万1600円を戻り売りの目安とし、ここを超えて引けるようなら米国の金利上昇を東京市場が受け流したと判断できます。半導体を買うなら、決算という一次情報が既に出ている銘柄に絞るのが本日の合理的な選択です。原油高を受けて資源関連や商社は相対的に有利ですが、これは中東情勢という一日で反転しうる材料に乗る話なので、深追いはしません。建玉は通常の半分にとどめます。日銀会合の結果と総裁会見が31日、米国のアップルとアマゾンの決算も明朝に出るため、本日のポジションを持ち越すのは、金融政策と大型決算という2つのリスクを同時に取ることになります。持ち越すかどうかは、その前提を自覚したうえで決めるべき場面です。
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