きみは今日、どのフロアから読む?
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週刊にっけいWEEKLY NIKKEI ── みんなでよめる統合版
金曜に大雨今週の日経の天気
月曜は少し下がり、火曜から木曜まで3日つづけて値上がり。でも金曜は1,369円安と大きく下がりました。週間ではおよそ597円(0.95%)の値上がり
日経平均は、日本を代表する225の会社の株の「クラスの平均点」のようなもの。今週は、AI(人工知能)にかかわるニュースが毎日のように株を動かしました。月曜日は503円安。火曜日はアメリカのAIの会社が株を売り出す準備を始めたと伝わり1,078円高。水曜日は韓国の半導体の会社の決算が良くて686円高、木曜日も705円高と3日つづけて上がりました。ところが金曜日は、アメリカの大きなIT企業の決算が期待にとどかず、1,369円安。1週間の合計ではおよそ597円(0.95%)値上がりしました。でも、もうひとつの物差し「TOPIX」は週間でほとんど変わらず(0.02%の値下がり)。同じ1週間でも、物差しによって見え方がちがった週でした。
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💡 前の日より上がった日はあか、下がった日はあおのまるだよ。
月原油が高くなり、日経平均は503円安
原油が高くなる
資源や商社は買われる
▼503円、TOPIXは上昇
火AIの会社の「株の売り出し」準備で1,078円高
株の売り出しを準備
半導体の株が買われる
▲1,078円、4日ぶりに上昇
水韓国の半導体の会社の好決算で686円高
成績がとても良い
株だけが買われる
▲686円、TOPIXは下落
木アドバンテスト1社で453円。705円高で3日つづけて上昇
そのまま
アドバンテストが買われる
▲705円、3日つづけて上昇
金1,369円安。でも値上がりした株のほうが多かった
決算が期待にとどかない
半導体の株が売られる
▼1,369円、4日ぶりに下落
会社が「今年はこれくらいもうかりそう」と前に発表していた見通しを、「もっともうかりそう」と上に直すことです。反対に、下に直すことは「下方修正(かほうしゅうせい)」といいます。上方修正は良い知らせなので株が買われることが多いですが、いつもそうなるとはかぎりません。
今週のできごとQ. 金曜日、日経平均は1,369円も下がったけれど、33業種の中でいちばん大きく上がった業種があったよ。それはどれ?
○×クイズ:正しいと思ったら○、ちがうと思ったら×!
今週、日経平均は0.95%上がったのに、TOPIXはほとんど変わらなかった(0.02%の下げ)。同じ1週間なのに、どうしてこんなに差がついたの?
ここから先は漢字がふえるよ(むずかしい漢字にはふりがな付き)
AI投資に「お金を出す側」が試された5日間
3連騰のあとの1,369円安
ここから漢字が増えます(難読語・専門用語にはふりがな)。同じ1週間を、一段深いところから見直します。
今週の値動きの中心にあったのは、「AIへの巨額の投資は、本当に回収できるのか」という問いでした。火曜は、米国のAI開発企業アンソロピックが新規株式公開(IPO)の目論見書を公表し、AI関連企業の資金調達への不安が和らぎました。水曜は韓国SKハイニックスの好決算がアジアの半導体株全体を押し上げ、その日の引け後にはアドバンテストが今期予想の上方修正と自社株買いを発表。木曜は米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を3.75〜4.00%に据え置き、アドバンテスト1銘柄で453円を押し上げました。
流れが変わったのは金曜です。28日の引け後に発表されたアルファベットの決算は予想を下回り、29日の米国市場で同社株は12.29%安。アマゾンも10〜12月の見通しが予想に届きませんでした。一方で、米国の7〜9月期のGDP(国内総生産)速報値は年率プラス3.4%と強く、出典記事は「問われているのは景気ではなく個々の企業の投資回収」と整理しています。
?上方修正を発表した会社の株が、なぜ下がることがあるの?
木曜は、28日に通期予想を上方修正した日立製作所が9.7%安、金曜は通期の純利益予想を17%引き上げた村田製作所が532円安でした。出典記事は金曜の動きを「決算の中身にかかわらず一方向へ振れている」と表現しています。株価はすでに「良い決算」をある程度織り込んで動いていることが多く、発表の内容が期待をどれだけ上回ったか、そしてその日の市場全体の気分(リスクを取りたいか避けたいか)によって、反応は大きく変わります。
日経平均のほかに、プロが必ず見る指数(平均点)がもうひとつあります。TOPIX(トピックス)――東証プライムのほぼ全銘柄を、時価総額で重みづけした指数です。今週の成績を比べてみましょう。
週間で日経平均は+0.95%、TOPIXは-0.02%と、向きまで逆になりました。日ごとに見ると、月曜は日経平均-0.80%に対してTOPIX+0.18%、水曜は日経平均+1.08%に対してTOPIX-0.14%と、2日も向きが逆でした。火曜(日経平均+1.73%、TOPIX+0.61%)と木曜(+1.10%と+0.29%)は同じ向きでも、日経平均の上げがTOPIXの3倍前後。金曜は日経平均-2.12%に対してTOPIX-0.95%でした。NT倍率(日経平均÷TOPIX)は先週末の約15.81倍から、金曜には約15.96倍へ上がりました。
金曜の下落率上位は非鉄金属(5.82%安)、電気機器(3.78%安)、ガラス・土石製品(3.36%安)。インテル向けの比重が大きいイビデンは1,500円安でストップ安でした。押し下げ上位5銘柄はアドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、イビデン、TDKで合計約1,265円。それでも33業種のうち16業種は上昇し、空運業5.12%高、海運業3.94%高、陸運業2.45%高と、資金は内需へ移りました。値動きの荒さを示す日経VI(ボラティリティー・インデックス)は33.82へ31%上昇しています。
新規株式公開(しんきかぶしきこうかい)
英語の頭文字でIPOともいう。それまで限られた人だけが持っていた会社の株を、初めて証券取引所で誰でも売買できるようにすること。会社は多くの投資家から資金を集められる。今週は火曜に、米AI開発企業アンソロピックが新規株式公開の目論見書を公表し、AI関連企業の資金調達への不安が和らいだ。
ETF(上場投資信託)
日経平均やTOPIXなどの指数に連動するように作られ、株と同じように取引所で売買できる投資信託。日本銀行は過去に大量のETFを買い入れてきた。金曜の金融政策決定会合では、政策金利の据え置きとあわせて、ETFの売却額を年約3,300億円から約8,600億円へ増やすことを決めた。
Q. 今週、日経平均は0.95%上がったのに、TOPIXは0.02%の下げでほぼ横ばいだった。この理由を50字くらいで説明してみよう。
2本の線を重ねると、日経平均とTOPIXの差は木曜日に2ポイント以上まで開いた。その差は金曜日にどうなった?
データとグラフで読む、いちばん深いフロアです
指数の構造 ── 値がさ半導体株が開いた「2ポイントの乖離」
最終フロア。2本の指数を重ねて描き、乖離が生まれるしくみと、正解のない問いまで。学術・実務レベルの用語にはふりがなを付けています。
月曜は日経平均が99.20へ下げた一方、TOPIXは100.18と先週末を上回り、2本の線は逆方向に分かれました。火曜はそろって上げ(100.92と100.80)、水曜は日経平均だけが102.01へ上がってTOPIXは100.65へ下げ、再び逆向きに。木曜は日経平均103.14、TOPIX100.94で差は約2.2ポイントと今週最大になりました。金曜は日経平均が100.95へ大きく沈み、TOPIXは99.98と先週末をわずかに下回って、差は約1.0ポイントに縮んで週を終えています。
株価平均型(225銘柄)
構成銘柄の株価を(調整のうえ)平均する。1株の値段が高い「値がさ株」の影響が大きい。火曜はアドバンテスト1銘柄で約601円と、上げ幅1,078円の半分超。木曜もアドバンテスト1銘柄で453円を押し上げた。逆に金曜は押し下げ上位5銘柄で約1,265円と、下げ幅1,369円の9割超を占めた。時価総額加重型(プライム全銘柄ベース)
会社の規模(時価総額)で重みづけして平均する。市場全体のお金の動きに近い。水曜は値下がりが1,096銘柄(全体の70.5%)に広がり、日経平均が+1.08%の日に-0.14%と反落した。月曜は値上がり818銘柄が値下がり686銘柄を上回り、鉱業や商社の上昇で+0.18%となった。プロは両指数を見比べて、動きが一部に偏っているのか市場全体に広がっているのかを診断する。今週は火曜・水曜・木曜の上げが「値がさの半導体株に偏った上げ」、金曜が「値がさ株に偏った下げ(値上がり807銘柄が値下がり714銘柄を上回った)」の典型例だった。NT倍率が1週間で約0.15倍上がったことは、週全体として値がさの半導体株に資金が集まっていたことを示している。
前回号(10/19〜10/23)では、「27〜28日のFOMC、29日の米7〜9月期GDP速報値と9月の個人消費支出価格指数、アルファベット・マイクロソフト・アマゾンの決算、30日の日銀会合。週明け26日に日経平均が金曜の安値6万1462円を下回らずに始まれるか、2.8%を割った長期金利がどう動くか」に注目としていました。結果は、FOMCは政策金利を3.75〜4.00%に据え置き、日銀も30日に据え置きを決めたうえでETFの売却額の増額を決めました。米GDP速報値は年率プラス3.4%と強い内容でした。アルファベットは予想を下回る決算で29日に12.29%安、アマゾンは10〜12月の見通しが予想に届かず、これが金曜の大幅安につながりました(マイクロソフトの決算の中身と、9月の個人消費支出価格指数の結果は出典記事に詳しい記載がありません)。26日の日経平均は6万2449円で始まり、安値6万1462円は下回りませんでした。長期金利(10年物)は26日に2.770%と2.8%を割ったままでしたが、28日に2.825%と2.8%台へ戻り、日銀の据え置き後の30日には2.756%へ再び低下しています。
Q1水曜は日経平均+1.08%に対してTOPIX-0.14%と逆向きだった。一方、金曜は日経平均-2.12%に対してTOPIX-0.95%で、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回った。この2日に共通する構造を、「値がさ株」「時価総額加重型」「寄与度」という語を使って150字程度で説明せよ。
Q2今週、国内の長期金利(10年物国債の利回り)は火曜に2.782%へ上がり、不動産業は3.09%安と下落率首位、銀行業は2.26%高だった。ところが木曜は、長期金利がほぼ横ばい(2.829%)の中で銀行業が2.54%高と上昇率首位になった。銀行株の動きを決めるのは金利だけなのか、根拠とともに述べよ(正解はない)。
本紙の「因果の鎖」も理解のための整理であり、実際の相場は無数の要因が同時に働いた結果だ。今週の原油高による下げから、AI企業の上場申請と半導体の好決算による3日続伸、そして米大型IT企業の決算をきっかけにした大幅安までを一本の筋で語ることはできても、そこには中東情勢と原油・米国の企業決算とAI投資の回収への見方・日米の金融政策・国内の長期金利・為替・指数の計算方法・TOPIXの構成銘柄入れ替えに伴う売買という要因が複雑に絡み合っており、事後にすらすべてを説明することはできない。「もっともらしい一つの物語」を疑う姿勢そのものが、市場リテラシーの核心である。市場に単一の説明はない。
最深部まで読破!
今週きみが手に入れたもの:上方修正/新規株式公開/ETF(上場投資信託)。
来週は11月3日(火)が文化の日で東京市場はお休みです。金曜に半導体株から空運・海運などの内需株へ移った資金の流れが、半導体の下げ止まりを待たずに続くか。値上がり銘柄が過半を保てるか、33.82まで上がった日経VIが落ち着くかが見どころです。答え合わせは次号で。
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