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重要経済指標と株価の関係(3. 雇用統計)

経済指標って何?どうして株価に影響するの?

日々変動する日経225。トップ企業の株価が変動するんだから日経平均が変動するのは当たり前。だけど、どうして、1日で500円以上もの価格が上下することが突然起きたりするのか???疑問に思ったことはないですか?FXにとどまらず、日経平均の動きに大きく影響する日米欧の経済指標についてシリーズに分けて説明します。3回目の今回の記事では雇用統計について解説していきます(第3回)。

2023年はアメリカ市場と連動することが例年より少なかった気がします。ダウはどんどん上げていますが、日経の動きはいまいちな日も。逆にアメリカは下げているのに、日経は上げている・・・
これまではアメリカ市場の動きを見て日経の予測もできたけど、最近はそれがあまりできていない、そう感じる人も多いでしょう。しかし、アメリカ市場は広大です。影響は少なからずあることは確かです。2024年はどんな市場になることでしょう。

経済指標の以前の記事はごちらをご覧ください

雇用統計ってなんだ?

米国雇用統計とは、米国労働省が発表する雇用に関する月次データで、雇用サイドから見た米国の経済の状況のことです。

米国雇用統計では多くの統計結果が発表されますが、特に注目される数字は「非農業部門雇用者数(NFP - Non Farm Payroll)」や「失業率」です。前者は、農業関連以外の産業で働く人の数や増減をまとめたデータです。後者は、米国内の失業者数を労働力人口(失業者数と就業者数の合計)で割った数値です。

原則、毎月第1金曜日に前月分の統計が発表されるので月次データとしての速報性があります。発表時間は米国時間の朝8時半です。

米国雇用統計のデータがメディアに流れる前後に為替や株が大きく動くことが多く、世界中の投資家にとって重要なイベントになっています。動画などのライブ放送をしているメディアもあるほど、注目されているのです。

雇用統計が世界経済の動向に重要な理由は?

米国の雇用統計は、あくまでも米国国内の指標です。それにも関わらず、どうして全世界はその結果に注目するのでしょうか?それは米国の経済規模から起因します。すごく単純に話をまとめると米国の経済規模が世界最大で、世界のGDPの約20%を占めていることから、世界市場に大きな影響を与えます。驚きましたか?全人類のGDPの20%を米国1国が占めています。

その経済の状況を示すのが雇用統計なので、それはみんなが気にするはずですね。世界が注目する理由は経済規模が大きいという理由もありますが、”FRBが金融政策の判断に雇用統計を重要視する”という理由もあります。それはどうしてでしょう?

なぜFRBは雇用統計を重要視するのか?

前述したとおり、FRBは景気の判断に雇用統計を重要視して金融政策の策定を行います。もちろん、雇用統計のみならず、CPIや、PPI、PCEなど他の指標も重要なインプットとなりますが、雇用統計が重要視されるのは大きく4つの要因に分けることができます。

    1. 雇用は経済活動の重要な指標:
      雇用統計は、労働市場の健全性を示す指標であり、経済活動の重要な要素です。雇用情勢が良好であると、消費者の支出が増え、経済成長が促進されることが期待されます。逆に雇用情勢が悪くなると、消費者の支出は減り、経済成長が止まってしまう可能性があります。

    2. インフレーションとの関係:
      FRBは物価安定を目指しており、雇用統計はインフレーションと密接な関係があります。雇用が増加すると、労働市場の競争が激しくなり、賃金が上昇しやすくなります。これによって消費者の購買力が増し、物価上昇の要因となる可能性があります。FRBはこのような関係を考慮して政策を調整します。

    3. 金融政策の調整:
      FRBは金融政策を通じて経済を安定させ、成長を促進しようとします。雇用統計は、金融政策の方向性を決定する際に重要な情報源となります。雇用情勢が改善すれば、FRBは景気刺激策を縮小するなど政策を調整する可能性があります。

    4. 市場の予想と信頼性:
      雇用統計は、市場参加者や投資家などにとっても重要な指標です。FRBが雇用統計を注視することで、市場が将来の金融政策に関する期待を形成しやすくなります。FRBが雇用統計を重視することで、市場の信頼性や透明性が高まります。

これらの要因から、FRBは雇用統計を政策決定における重要な指標の1つとなっており、労働市場の状況が経済全体の動向やインフレーションなどに大きな影響を与えるため、雇用統計の改善や悪化はFRBの政策方針に反映されることが一般的です。

次は金融市場の側面に目を向けましょう。雇用統計の発表とともに株価が大きく揺れ動くことはよく観察される現象です。雇用統計はどうして株価の動きに影響を与えるのでしょうか?

雇用統計はなぜ株価に影響するのか?

雇用統計はどうして株価の動きに影響を与えるのか?これも大きく4つの要因に分けることができます。

  1. 経済の健全性と見通し:
    雇用情勢が良好であると、消費者の信頼感が高まり、企業の売上や利益が伸びやすくなります。良好な雇用統計は、経済成長の強さを示唆し、企業の業績に対する期待を高めることが出来るため、これは投資家や株式市場にとってポジティブな要因となり、株価の上昇をもたらすことがあります。

  2. 金融政策への影響:
    雇用統計は、中央銀行(例えば、米国の場合は連邦準備制度、FRB)が金融政策を決定する際に重要な要素です。良好な雇用統計は、中央銀行が金利を引き上げる可能性があることを示唆することがあります。金利が上昇すると、企業の借入コストが増えたり、投資が減少する可能性があるため、これは株価に影響を与えることがあります。逆に、雇用統計が悪化すると、金融政策の緩和が期待され、これは株式市場にとってポジティブな要因となることがあります。

  3. 企業の収益見通し:
    雇用統計が改善すると、消費者の収入が増加し、消費支出が増える傾向があります。これは企業の収益にプラスの影響を与えることが期待されます。企業の収益見通しが良好であると、株主や投資家は企業の株を持つことを好む傾向があり、これが株価の上昇につながることがあります。

  4. 市場心理と期待: 雇用統計は市場の心理や期待に影響を与えます。経済全体の動向や将来の成長見通しに関する情報として、雇用統計は市場参加者の意思決定に影響を及ぼします。良好な雇用統計は市場の信頼感を高め、株価の上昇を後押しする要因となるのです。雇用統計はどうして株価の動きに影響を与える

雇用統計が株価に影響を与える理由がわかったので、最終的に日本の市場にどのように影響するのかを考えてみましょう。

雇用統計は日本の株価にどう影響する?

  1. グローバル経済の連動性:
    アメリカは世界最大の経済大国の1つであり、その経済動向は世界中の他の国々にも大きな影響を与えます。アメリカの雇用統計が改善すると、グローバル経済全体に良い影響をもたらす可能性があります。当然ながら日本の経済もその恩恵を受けるか、悪い結果になると悪影響を与えられることから免れることができません。

  2. 外国為替市場への影響:
    雇用統計の動向は外国為替市場にも大きな影響を与えます。その結果によって瞬時に数円の動きを見せるのも珍しくありません。良好な雇用統計は、米ドルの価値が上昇させる可能性があります。これは言い換えれば円安方向に働き、輸出企業などにとってプラスの要因となることを意味します。輸出関連企業が物色され、買われることで株価が上昇する動きにつながります。

  3. グローバル投資家の投資戦略:
    アメリカの雇用統計は、世界中の投資家にとって重要な指標の1つであり、グローバル投資家の投資戦略に影響を与えます。良好な経済指標が示されると、国際的な投資家はリスクを取りやすくなり、新興国や成長市場に資金を流すことがありますが、同時に日本の株式市場への投資を増やすこともあります。

  4. 世界的な市場の相関関係:
    グローバル化の進展により、世界の株式市場は相互に影響し合っています。アメリカの株式市場が良好な動きを示すと、他の国の株価にも一定の影響を与えることがあります。これは日本の株価においても同様で、アメリカの雇用統計が良好な場合、一般的に世界の株式市場全体がポジティブなトレンドを示すことがあります。

株価の変動には色んな要素が絡み合っている訳ですが、どうしてこんなに株価が動くの?と言う日はこれらの経済指標の発表が有った日というのは少なくありません。日本国内の指標だけでなく、海外の重要指標もこれからはチェックしていくと、トレードにも幅が出てくるかもしれませんね。

経済指標についてシリーズ3回に分けて掲載しましたが、いかがでしたか?少しでも投資の役に立つことができたなら幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

みなさまがマスマス幸せになりますように。

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