ホーム » 配信情報トップ » BLOG » 投資に関係あるの?アメリカのデフォルト問題 投資に関係あるの?アメリカのデフォルト問題BLOG 投資知識 アメリカデフォルトのXデーはいつか、そんなニュースを目や耳にしたことはありませんか?聞いたことはあるけど、いつの間にか問題なく終息されていることも多いと思います。そうなると、投資にはあまり関係ないじゃ・・・と思いますよね。では、実際にはどうでしょうか。本当に投資には関係がないのでしょうか。今回はフォルト問題とは何か、なぜ問題なのか、株式市場はどう反応しているのか、簡単に解説します。 そもそもデフォルト問題とは? デフォルトは債務不履行のことです。債務不履行とは、お金を返す約束をしていたのに、約束通りの返済が出来ないことです。なのでアメリカのデフォルト問題とは簡単にいうと、アメリカ政府が借金の返済を行えなくなることになります。でもアメリカ政府の借金って、なに?国が借金して返せないことってある?疑問は次から次へと湧いてきます。では、じっくり解いていきましょう。まず、借金からみていきます。 政府の借金とは 主に国債などの公的負債のことを指します。アメリカでは政府が国債などを発行しますが、財源の規律を守るため借金できる上限が決められています。上限になると国債を発行できなくなるため、この上限を引き上げようとします。上限引き上げのためには議会の承認が必要となっていて、もし議会が承認しなければ、国債の償還や約束した利息の支払いができなくなり、デフォルトになります。では、次の問題。政府が借金を返せないことってあるの?はい、もちろんあります。すごく簡単にいえば、支出が収入を上回る状態が続き、これ以上は借金できませんと銀行が決めた上限を上回る、決めた利息が支払えないとなるとお手上げとなるわけです。これがデフォルトということです。そして、実際にデフォルトに陥る日がXデーと言われます。 アメリカがデフォルトになると何が問題なの? 米国債は信頼性が高い安全な資産として知られています。また、米国債の価格や利回りは世界の金融市場で指標となっています。そして世界中の投資家や外国政府が保有し、重要な資産運用先となっています。 デフォルトが発生するリスクが高まると、米国債の信頼性が損なわれる可能性が高くなります。アメリカ政府とはいえども、払えないものは払えないもの。信頼が揺らぐのは当然のことだとも言えます。そうなると世界の金融市場に大きな混乱を引き起こすおそれが出てきます。具体的には金利が上昇したり(国債の価格は下落)、株式市場が不安定になる可能性があります。 また国債は国がさまざまな公共サービスなどを運営するため、必要なお金を調達するために発行しています。そのためデフォルトになると、アメリカの経済に影響を及ぼす可能性も考えられます。 そもそもアメリカは実際にデフォルトになったことはあるの? 借金できる上限が制定されたのが1917年になります。1979年に定義上ではデフォルトに陥っていますが、証券発行事務が滞ったためのごく短期間の出来事であまり重大視されていません。それ以降、約100年以上経っていますが、今まで実際にアメリカ政府がデフォルに陥ったことは1度もありません。 陥ったことはありませんが、あぶない状況になったことはあります。有名なのは2011年のデフォルト危機が挙げられます。ギリギリまで交渉が続き、デフォルト直前で回避したことがあります。 アメリカのデフォルトは株式市場に影響するのか? 金融市場にはいろいろありますが、ここでは株式市場のNYダウと日経平均の動きをみてみます。 まずはデフォルト危機に陥った2011年の株価です。 NYダウはデフォルト回避するまで下がり続けています。またデフォルトが回避されても大きく下落しました。これは格付け大手スタンダード・アンド・プアーズが米国債を初めて格下げし、相場が不安定になったためです。直近高値(7月21日)の12,751ドルから安値(8月10日)の10,686ドルまで、約2週間の間に2065ドル(約16%安)も下落しています。アメリカ市場がこの状況なので、日本市場も影響を受けないわけではありません。 日経平均はNYダウと比べてデフォルト回避までは下げ幅は限定的でした。しかし、NYダウが大きく下がる(デフォルト回避後や米国債格が下げされる)と急落しています。直近高値(8月1日)の10,040円から安値(8月9日)の8,656円まで、約1週間の間に1,384円(約13%安)も下がりました。 2023年のデフォルト問題による影響は限定的 2023年5月にもデフォルト問題がありました。2011年同様、ギリギリまで交渉が続いて、デフォルトときまっている期限の直前に回避することができたことです。その時の株価をみてみます。 NYダウは下落していますが、2011年ほどではありません。直近高値を協議前の5月5日とし、安値はデフォルト回避前の5月25日とすると、高値33,748ドルで安値32,586ドルです。約2週間の間で1162ドル(約3%安)下げています。またデフォルト回避後はすぐに上昇傾向になっています。 日経平均は、デフォルト問題などないかのように上昇が続いています。その後、33年ぶりの高値を更新して大きく上昇したことは記憶に残ることです。 2011年と2023年の違い 2011年と2023年では似た状況にも関わらず、株価の下落率が大きく違っています。それはなぜでしょう? 2011年はオバマ政権でした。借金できる上限を引き上げるため議会で協議したものの、オバマ大統領が率いる民主党と共和党が対立。財政赤字を削減する法案で折り合いが付きませんでした。オバマ大統領と下院議長との交渉が膠着したこともあり、アメリカでデフォルトが現実に起こるかも、という不安が強くなって株価が大きく下落したと考えます。 あれ、大統領がいる方が立場が強いんじゃないの?と思うかもしれません。この当時、共和党は下院の過半数を占めていました。法案は投票によって採決するのですが一定数の賛成票が必要で、共和党から反対が多く、大統領や民主党が望む法案がなかなか通りませんでした。結果的には民主党が共和党に譲歩し、何とかギリギリでデフォルトを回避しています。 では2023年はどうでしょう。バイデン大統領が率いる民主党と共和党との協議はやっぱり平行線をたどっていました。また、2011年同様に共和党は下院の過半数を占めています。しかし、バイデン大統領と下院議長がデフォルト回避に向けて協議を続けることが出来ていたこと、原則合意することを事前に表明されたことから、不安やリスクはあるものの株価の下げ幅は限定的だったのではないかと考えます。 デフォルト懸念の時に投資で気を付けることとは 今回はアメリカのデフォルト問題と株式市場への影響について考えてみました。 アメリカではデフォルト問題はリスクと考えられ、株価は下がる傾向があるように見受けられます。一方で日本もアメリカと同じ傾向が見られますが、2023年はデフォルト問題の時期でも株価は上昇しています。その要因として考えられることは、米国の著名投資家バフェット氏が12年ぶりに日本へ来日し日本株を買う可能性を示唆したことや、海外投資家が日本株へ大量の資金を投じていること。リスクを上回る買いが日本市場へ入ってきたと考えます。 今まで危機はあったものの、乗り越えてきたことを考えると、アメリカが実際にデフォルトに陥る可能性は低いと考えられます。ただ、信頼性が高い米国債の格付けが下がったり、実際にデフォルトが現実味を帯びてきたとき、そして万が一デフォルトになったとき、金融市場が大きく動くことは大いに考えられます。 投資をするうえでは必要以上に心配することはないですが、ニュースをチェックしたり、上昇している、下降しているなどトレンドを把握することは大切だと思います。また、日頃から自分の投資ルール(損失ルール)を守った運用をすることで、実際に何か起こったときでも損失は限定されるものと考えます。 最後まで読んでくださりありがとうございました。 投資において利益を出していくためには、自分の投資ルール(損失ルール)を決めておくことがとても重要です。TBLでは、損失設定をどこに設定するのか、価格を1円単位で学びます。もし自分の投資ルールに迷われていたら、この機会にプロの投資家ジョンと一緒に投資の勉強を初めてみませんか。Written by W. 関連投稿 債券と株価の関係~債券と金利の関係シリーズ3~ 時代にあわせて変わることに成功した企業 1,000円の下落、投資家の心得は? Part1