【今週の焦点】
今週の東京市場は27日(月)から31日(金)までの5営業日で、祝日による休場がなくフールタイム出場になります。前週(7月21~24日)の日経平均株価は週間で470円03銭(0.73%)高の6万4611円15銭と、3週ぶりに小幅反発して取引を終えました。ただし内容は決して強いものではありません。連休明けの21日に2000円を超える急反発で6万6000円台を回復し、22日には一時6万7592円まで買われる場面がありましたが、そこからは戻り待ちの売りに押され、24日は前日比1811円45銭(2.73%)安と急落して週を終えています。
週後半に相場を崩したのは、米国時間22日の取引終了後に決算を発表したアルファベット、テスラ、テキサス・インスツルメンツが揃って大幅安となったこと、そして中東情勢の緊迫化を背景としたWTI原油の急騰です。好決算が出ても株価が下がるという反応が続いており、AI・半導体関連株のバリュエーション面での過熱感が改めて意識される状況になっています。
今週の最大の焦点は、28~29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と30~31日の日銀金融政策決定会合という日米の金融政策イベント、そして29日以降に集中する米大型テック決算です。原油高がインフレ圧力として意識されるなかで、日米の中央銀行がどのようなメッセージを発するかによって、月末から8月にかけての相場の方向が決まる可能性があります。以下、資産クラスごとに今週の見通しを整理します。
【日本株:下値を探る神経質な展開、想定レンジは6万2000~6万7000円】
今週の日経平均株価は、下値を探る神経質な展開が予想されます。想定レンジはおおむね6万2000~6万7000円です。市場では上限を6万6000円、下限を6万2000円とみる向きと、上限6万7000円、下限6万3000円とみる向きに分かれており、いずれにせよ前週末終値の6万4611円を挟んだ振れ幅の大きい1週間となりそうです。
日経平均は24日の急落で75日移動平均線近くまで下押ししました。テクニカル面ではいったんの自律反発が期待できる水準ですが、世界的にAI・半導体関連株への売りの連鎖が続いているため、押し目買いが入りにくい地合いでもあります。24日夜の日経平均先物(ナイト・セッション)は日中終値比270円安の6万4290円で終えており、週明けは軟調なスタートが想定されます。
今週は国内決算が集中します。27日のキヤノン、29日の日立製作所と日本電気、30日のオリエンタルランド、31日のファナックと村田製作所など、AIインフラ関連からFA、内需まで幅広い業種の業績が明らかになります。前週に安川電機の決算で警戒感が先行したFA関連が見直されるか、AI代替懸念が強まっている情報サービスセクターがどう反応するか、金利上昇のメリットを受ける銀行株の決算がどう評価されるかが、個別物色の手掛かりになりそうです。
物色の方向としては、過熱感が残るAI・半導体関連への集中を避け、メガバンクなど金利上昇メリット銘柄や内需系バリュー株、そして中東情勢の緊迫化で見直されやすい防衛・資源関連へ資金が向かいやすい局面と考えられます。
【米国株:FOMCと大型テック決算が同時進行、NYダウは5万500~5万3500ドル】
米国株はNYダウでおおむね5万500~5万3500ドルのレンジが想定されます。前週末のNYダウは前日比235ドル60セント高の5万1947ドル25セントで引けた一方、ナスダック総合指数は161.87ポイント安の2万4975.82と下落しており、指数間の温度差が鮮明です。対イラン和平協議の再開を仲介国が模索していると報じられて原油が下落したことがダウを押し上げましたが、決算を発表したインテルをはじめ半導体株は総じて売られました。
今週の最大の材料は28~29日のFOMCです。市場が織り込む今回の利上げ確率は3割超(3割台半ば)まで高まっており、9月までの利上げ確率は8割を超えているとされます。ウォーシュFRB議長は経済認識や政策スタンスを明確に示していないため、今回利上げに踏み切れば市場とのコミュニケーションエラーへの懸念が強まりかねず、逆に見送りとなれば市場にはやや安心感が生じるとみられます。
決算面では、29日のマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アーム・ホールディングス、クアルコム、30日のアップル、アマゾン・ドット・コムと、時価総額上位の大型テックが週の後半に集中します。前週までの流れを踏まえれば、好決算でも材料出尽くしと受け止められるリスクは高く、AI投資の継続性とクラウド事業の伸びが確認できるかが相場全体の分岐点になります。30日には4~6月期GDP速報値と6月の個人消費支出(PCE)物価指数も控えており、景気とインフレの両面から材料が出てくる1週間です。
【為替:円安圧力が継続、ドル円は161~166円】
ドル円はおおむね161~166円のレンジが想定されます。前週は一時1ドル=163円99銭前後と、1986年11月以来およそ40年ぶりの円安水準まで下落しました。原油急騰によるインフレ加速がドル買い材料として意識され、じりじりと上値を切り上げる展開が続いています。
円買い方向の材料も残っています。防衛ラインとされる160円を大きく上回る水準にあるため為替介入への警戒感は強く、高市政権からも円安を牽制する発言が相次いでいます。国内金融資産への投資拡大期待も円を下支えする要因です。
一方で、30~31日の日銀金融政策決定会合では政策金利の据え置きがほぼ確実視されています。日銀が利上げペースを市場想定より加速させることに柔軟な姿勢との報道も伝わっており、ここでハト派的なメッセージが出れば急速に円安が進むリスクがあります。逆に前倒し利上げを示唆する内容であれば、円高方向への巻き戻しが入る可能性もあります。イベント前はポジション調整中心、通過後に値幅が出る展開を想定しておきたいところです。
【長期金利:上昇基調が継続、新発10年債は2.75~2.95%】
国内の長期金利(新発10年物国債利回り)は、おおむね2.75~2.95%での推移が想定されます。前週末24日の水準は2.810%で、前週末の2.705%から10.5ベーシスポイントの上昇となりました。原油高を起点としたインフレ懸念と、拡張的な財政運営への警戒が重なり、上昇方向の圧力がかかりやすい地合いです。7月9日には2.875%まで上昇した場面もあり、2.9%台をうかがう可能性も視野に入ります。
最大の材料は31日の日銀会合の結果と展望レポート、そして植田総裁の会見です。政策金利は据え置きが有力視されるものの、物価情勢を踏まえた展望レポートの記述や総裁の発言次第では、早期利上げ観測が一段と強まる可能性があります。29日のFOMC後の米長期金利の動きとあわせ、週後半にかけて神経質な展開が続きそうです。
【原油・金:原油は供給不安で高値圏、金はFOMC待ちで方向感を模索】
原油相場は高値圏でのもみ合いが予想されます。WTI先物は前週に5営業日続伸し、一時1バレル93ドル台と約1カ月半ぶりの高値を付けました。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海でサウジアラビアの原油タンカーを攻撃し、ホルムズ海峡に加えて紅海の航行にも支障が生じるとの警戒が強まったことが背景です。前週末には対イラン和平協議の再開を仲介国が模索しているとの報道で下落する場面もあり、外交交渉の進展次第で振れ幅が大きくなりやすい状況です。
金相場は方向感を模索する展開になりそうです。前週は米国とイランの戦闘終結に向けた協議進展への期待と、米利上げ観測を背景としたドル高が重荷となり、24日には一時1トロイオンス4000ドルを割り込む場面がありました。週末時点では4050ドル近辺で下げ渋っています。FOMCでタカ派姿勢が強まれば金利を生まない金には逆風となる一方、中東情勢が再び緊迫すれば安全資産としての買いが入りやすく、イベント通過までは方向が定まりにくい局面です。
【Jリート:底堅い展開、東証REIT指数は1820~1900ポイント】
Jリート市場は底堅い展開が想定され、東証REIT指数はおおむね1820~1900ポイントのレンジが見込まれます。前週末24日の東証REIT指数は1860.41ポイントと前日比8.69ポイント高で引け、週間では22.12ポイント(1.20%)の上昇となりました。株式市場が週後半に崩れるなかでも上昇しており、相対的な底堅さが目立ちます。
分配金利回りは4.90%と依然として高い水準にあり、割安感に着目した買いが下値を支えそうです。ただし長期金利との利回り差(イールドスプレッド)は2.09%まで縮小しており、前週の2.23%から大きく低下しています。長期金利の上昇が続けば相対的な魅力が薄れる点には注意が必要です。31日の日銀会合で早期利上げ観測が強まる場合は金利上昇が重荷となるため、週後半の動きには警戒しておきたいところです。
【今週の主なスケジュール】
7月27日(月):6月企業向けサービス価格指数、5月景気先行指数・一致指数改定値、独7月IFO企業景況感指数、米6月耐久財受注、中6月工業利益、国内決算(キヤノン、マクニカホールディングス)
7月28日(火):米連邦公開市場委員会(FOMC、29日まで)、米6月卸売在庫、米5月ケース・シラー住宅価格指数、米7月消費者信頼感指数、米7月リッチモンド連銀製造業指数、国内決算(日東電工、カプコン)、米決算(ボーイング、テラダイン)
7月29日(水):FOMC結果発表・ウォーシュFRB議長会見、6月工作機械受注、アイ・グリッド・ソリューションズ東証グロース上場、ビーエイブル東証スタンダード上場、国内決算(日立製作所、日本電気)、米決算(マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アーム・ホールディングス、クアルコム)
7月30日(木):日銀金融政策決定会合(1日目)、米4~6月期GDP速報値、米6月個人所得・個人消費支出(PCE)物価指数、欧4~6月期GDP速報値、独7月CPI速報値、イングランド銀行(BOE)政策金利発表、7月消費者態度指数、国内決算(オリエンタルランド、カルビー)、米決算(アップル、アマゾン・ドット・コム)
7月31日(金):日銀金融政策決定会合の結果発表・展望レポート・植田総裁会見、7月東京都区部消費者物価指数、6月失業率・有効求人倍率、6月鉱工業生産速報値、6月小売業販売額、6月住宅着工件数、中7月製造業PMI・非製造業PMI、欧7月CPI、米4~6月期雇用コスト指数、米7月シカゴ購買部協会景気指数、米7月ミシガン大学消費者態度指数確報値、国内決算(ファナック、村田製作所)、米決算(シェブロン)
【今週の投資戦略】
今週は、FOMCと日銀会合という日米の金融政策イベントに、米大型テック決算と国内主力企業の決算が重なる、極めて材料の多い1週間です。しかも原油高を起点としたインフレ懸念が金利上昇と円安を同時に引き起こしており、相場を動かす軸が株式単独ではなく、金利・為替・商品を含めた複合的なものになっている点に注意が必要です。
基本シナリオは、FOMCの利上げ見送りと日銀の据え置きによる無難な通過ですが、FOMCの利上げ確率が3割を超えて織り込まれている以上、サプライズが起きた場合の値動きは大きくなります。イベント前に持ち高を大きく傾けるのではなく、結果を確認してから動く姿勢が基本です。
物色面では、AI・半導体関連は好決算でも売られる展開が続いており、決算を跨いだ強気のポジションは避けたいところです。代わりに、金利上昇の恩恵を受けやすい銀行株、中東情勢の緊迫化で関心が集まりやすい防衛関連、そして資源・エネルギー権益を持つ商社などが、相対的に取り組みやすい選択肢と考えられます。Jリートは株式が崩れる局面でも底堅く、分配金利回り4.9%という水準は下値を支える材料ですが、長期金利がさらに上昇する場合は魅力が薄れる点を織り込んでおくべきです。
為替は161~166円のレンジ内でも介入警戒と日銀メッセージで振れやすく、輸出関連のポジションは為替前提の見直しが必要になる可能性があります。原油高はコストインフレとして幅広い業種の利益を圧迫しますので、価格転嫁力の乏しいセクターには引き続き慎重に臨みたいところです。ボラティリティの拡大を前提に、ポジションサイズの管理と分散を徹底したい1週間です。
(本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任でお願いいたします。)
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